建築士になるためには?大学で文系だった人でも進める道とは

自分の進路を決めるタイミングは、基本的には高校進学や大学進学などの時期となります。

しかし、大学に進んでからや社会人になってから、自分のやりたいことが見つかる人も多いものです。

そのなかには、大学は文系を選んだけれど、建築士の仕事に就きたいと考えるようになる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、そのような方のために、建築士についてのお話や、これからどのような進路を選べばよいのかというお話をしていきます。

建築士とはどんな仕事?建築士の種類とは

建築士という職業は、大まかに言うと、建築法に基づいて様々な建築物の設計や工事を監理(指揮・監督)する仕事です。

就職先の企業としては、建設会社・住宅メーカー・設計事務所などが当てはまり、個人事務所を開業する人も多くいます。

「建築士」のなかにも次のような種類があり、それにより取り扱うことのできる建築物が違ってきます。

●一級建築士

・取り扱える建築物の大きさに制限がない
・住宅から高層ビルまでほとんどの建築物の設計や工事の監理を行なうことが可能

●二級建築士

・一般的な住宅の設計や工事の監理を行なうことが可能(延べ面積が30m²から300m²までの鉄筋コンクリート造や鉄骨造、木造の建築物)

●木造建築士

・木造限定となりますが、1階または2階建ての延べ面積が300m²以下の木造の建築物の設計や工事の監理を行なうことが可能

建築士の仕事と分類については上記のようになります。

これらのような建築士になるために必要なことを次章からお話ししていきます。

大学に行かなければならないのか、文系ではなれないのかなどの疑問についても後ほど触れていきます。

それぞれの建築士の国家試験に必要な受験資格

建築士になるためには、まず、国家資格を取得することが必要です。

その国家試験を受ける際にも、以下のように、学歴や実務経験などの細かな受験資格というものがあります。

建築士の種類によってもその受験資格が違いますので、間違えのないようにしてください。

●一級建築士の受験資格

・四年制大学(要指定科目の取得)卒業後に2年実務経験が必要
・短期大学(建築系)を卒業の場合は実務経験は3~4年必要
・二級建築士の資格を取得した場合は、二級建築士としての実務経験が4年必要

●二級建築士の受験資格

・四年制大学(要指定科目の取得)卒業であれば実務経験がなくても受験が可能
・建築の指定科目を学修可能な高校を卒業した場合、実務経験が3年必要
・建築系の学歴がなかったとしても7年以上の実務経験があれば受験が可能

●木造建築士の受験資格

・二級建築士の受験資格と同内容で受験が可能

上記のように、建築士の種類によって受験資格が異なりますが、次に、そもそも建築系の科目というのは、理系・文系どちらなのかというお話をしてきます。

建築士になるためには?大学は文系ではない?

建築系の学科のなかには、「建築工学」という科目があります。

建築物というのは、見た目のきれいさやデザイン性だけでは成り立たず、工学的な理論も必要なものです。

まず、建築物に一番重要とも言える安全性ですが、建築物の安全性を理解する目的として、構造力学を学ぶことが必要になります。

その構造力学はどのようなものかと言うと、物理学をより建築物にあてはめて考える学問とされています。

数式を使い、柱・梁・壁などが地震に耐えられるかどうかの計算をすることがあります。

その他にも、建築構造の種類やそれぞれの構造の特徴、建築物のなかで人間が快適に過ごすための空調関係についてなどを学ぶ学問となります。

このように、建築系の科目のなかでも、物理学を用いることもあることや、ほとんどの建築系の大学の受験科目には数学や理科が必須科目となっています。

そのため、建築士になるために大学に行く場合は、文系よりも理系科目を特化することが必要だと言えます。

文系の大学でも建築士の仕事に就ける?

建築士の仕事に就きたいと考えている方のなかには、現在大学生で文系の学部に通っている方や、文系の大学を卒業して社会人になっているなど、様々な状況の方がいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでお話をしてきたように、建築士の試験を受けるためには、建築系の科目を取得することが必要になりますので、何らかの形で、建築系の科目を学ばなければなりません。

現在文系の大学に通っている方は、可能であれば、学部の転科や建築学科のある大学・短大・専門学校のいずれかに入り直すことが必要です。

そして、大学は卒業して社会人になっている人が一から建築士を目指すという場合も、建築学科のある学校へ入ることがおすすめです。

大学のなかには、社会人入試制度を取り入れている学校や通信制で学べる学校もありますので、現在の仕事を続けながら学ぶということも不可能ではありません。

ただ、時には、周囲の人の理解と協力も得ることも必要になりかねませんので、日頃からの周囲の人とのコミュニケーションも大切にしておくことも大切です。

大学や理系・文系の前にこれも大切!建築士に必要な能力

建築士になるために進むべきなのはどのような大学か、必要なのは理系か文系か、などを知ることも大切ですが、それとあわせて、建築士に必要とされている能力をご紹介していきます。

●発想力が豊であり、建築が好きかどうか

建築士は、白紙の状態(ゼロ)から線を引きながら建築物を創造していくのが仕事です。

何もない状態から発想し想像してものをつくることを得意とする人に向いていると言えるでしょう。

もちろん、「様々な建築物を見ることが好き」だということもポイントです。

自分の目で様々な建築物を見たり、写真を撮ったり研究をしたりするなど本当に建築物が好きだという気持ちが必要です。

●デザイン性

建築物には、安全性や機能性ももちろん必要ですが、見た目の美しさ・デザイン性も求められています。

そのため、建築物の構造だけではなく、デザインに関しても知識や感性を持つことが大切です。

同時に、内部の構造や壁や天井の色なども実際の建物がないなかで想像できる能力も必要とされています。

建築士になるために!大学や学校を選ぶポイント

前章でお話ししたこともふまえて、大学は文系だったけれど、これから建築士になることを固く決意した方は、これから建築系の大学や学校を選ぶこととなるでしょう。

そこで、建築系の大学や学校を選ぶ際のポイントについてもご紹介します。

建築系の大学や学校と言っても、それぞれの学校によって特徴が違います。

最終的には、建築士の試験資格を得ることが目的だとしても、専門的に学ぶ事柄によっては、就職してその先の仕事にも関係してくる場合があります。

たとえば、建築学科ではあっても、設備の分野に特化した学科で学ぶことによって、建築物のなかでも建築設備を専門として活躍していくことが可能になります。

自分がいずれどのようなことを専門としていきたいのかまでを考えることで、どの学校を選べばよいのかをしぼることができるでしょう。

それぞれの学校の特徴を知るために、ホームページを見たり、実際にオープンキャンパスなどに出向いたりし、自分の専攻していきたい分野を学べるかどうかまで調べたうえで、進路を選ぶことをおすすめします。

建築士の適性もふまえて新たな道の選択を!

建築士になるためには、国家試験を取得することが必要です。

ただし、その国家試験を受験するには、必要な受験資格があります。

これから、一から建築士の道を目指すためには、様々な手段がありますが、そのなかでも、建築系の大学へ進学することが王道と言えるでしょう。

大学を受験し直すことや学び直すことは容易なことではありませんが、建築士の適性もあり、「建築士になる!」と決意をした方は、ぜひ、自分の目指す道を進んでいってください。