家賃を振込で払う!発生した振込手数料の仕訳はどうする?

アパートやマンションなどの賃貸物件を借りている方のなかには、住宅兼事務所としている方もいらっしゃることでしょう。

その場合も、住宅として使用する場合と同じように家賃を支払わなければなりませんが、その支払方法はさまざまです。

支払をするとなれば当然仕訳をする必要がありますが、振り込みで家賃を支払っている場合に発生する振込手数料はどのように仕訳をしているのでしょうか。

そこで、今回は賃貸物件を住宅兼事業所として借りている方のために、関係する仕訳についてや振込手数料に関してもお話しします。

賃貸物件を事業所として借りた!家賃以外にかかるものは?

賃貸物件を住宅兼事業所として借りた場合は、住宅として借りた場合と毎月払わなければならないものは変わりません。

また、契約した最初の段階でかかる費用も、敷金・礼金・保証金・前家賃・仲介手数料・火災保険料・鍵の交換費用などがありますが、こちらも住宅のみとして借りた場合と変わりません。

契約する際の費用は必ずかかる訳ではなく、物件によってかからないこともありますし、上記以外の費用がかかることもあります。

毎月支払わなければならないものは、家賃以外に管理費または共益費もあり、駐車場の契約をしていて毎月駐車場代がかかるのであれば、それも支払う必要があります。

また、家賃の支払方法が振込の場合、一般的には振込手数料は借りた方の負担になります。

それぞれ1か月ごとに仕訳をしなければなりませんが、住宅兼事業所としてアパートやマンションを借りている場合は、毎月かかる費用全額を経費にすることはできません。

経費として仕訳できる金額の計算方法があるので後程ご説明しますが、先に、家賃の支払方法がいくつかあるのでそちらを見ていきましょう。

家賃の支払方法は?仕訳には差し支えない?

家賃の支払方法がいくつかありますが、場合によっては家賃以外の費用がかかる場合もあります。

①大家さんに直接手渡しで払う方法

近年、この方法での家賃の支払は減っているとはいいますが、いまだ少数の賃貸物件ではこの方法で支払われているところもあります。

大家さんのところに毎月家賃を持って行かなければならないので、面倒に思う方もいらっしゃるかと思いますが、住んでいる物件の設備にかんすることや些細なことも相談しやすいといいます。

また、ご近所とのトラブルにかんしても知らせておけるという点から考えると、メリットだといえるでしょう。

②借りる人の口座から引き落とされる

賃貸物件の家賃の支払に多く見られるのがこの支払方法で、家賃を借りた人の口座から引き落とすというものです。

こちらから、出向くこともないので楽なように感じますが、残高不足により家賃の支払がされない可能性も懸念されます。

定期的に、引き落とし口座にどのくらいのお金が残っているかを確認するようにしましょう。

③大家さんや管理会社の口座に入金する

こちらも「②」と同様に一般的によく見られる家賃の支払方法です。

この方法も、毎月家賃を振込に行くという手間があるといえますが、自分のタイミングで家賃を支払うことができます。

そのため、その他の引き落としが先にされてしまって「残高が不足してしまった」というようなことを避けることができます。

しかし、振込の際に生じることのある振込手数料は借りた方の負担になります。

また、住宅兼事業所として使用している場合、家賃の他に振込手数料の仕訳をしなければならなくなります。

このことから考えると、仕訳を行うということを前提とすれば「①」と「②」は手間がないといえますが、「③」であったとしてもそれぞれ仕訳を行えば差し支えはありません。

家賃は毎月かかる!費用の按分は?

それでは、振込手数料や家賃など、毎月かかる費用の仕訳について見ていきますが、経費として計上できる金額の計算方法を先にお話ししておきます。

賃貸物件全体を事業所として使用しているのではなく、住宅兼事業所として使用してる場合は毎月かかる費用を按分します。

計算式は、次のとおりです。

「家賃×事業所」として使用している割合(%)=経費にできる額

例えば、家賃が50,000円で広さが20m²あるとして、事業所として使用している広さは10m²だとします。

そうすると、10m²なので半分である50%は仕事用として使用していることになります。

これを先ほどの計算式に当てはめていくと、50,000×50%=25,000となるので、25,000円を経費にすることができます。

しかし、これはしっかりと「仕事場」と「プライベート空間」が明確になっている場合であり、実際の按分はもっと曖昧であるケースが多いといいます。

実際「どのくらいを事業所として使用しているか判らない」という方も多く、50%から70%程度で経費の計上をしている方や、面倒だから家賃に振込手数料を含めている方もいるようです。

しかし、必ずしも50%から70%に該当する訳ではありませんし、業種によっても按分は変わります。

普段は外で仕事をしていて、住宅で1時間程度事務作業を行うのでは50%から70%は無理があるといえるでしょう。

家賃が振込!振込手数料も按分するの?

先に、家賃を振込で支払うと振込手数料がかかることがあるとお話ししました。

振込手数料の金額は金融機関によっても違いはありますが、大体800円程度と高額ではないものの、1年間支払続ければ9,600円にも及びます。

事業主によっては「振込手数料の全額を経費として計上している」という方もいらっしゃいますが、振込手数料も按分(あんぶん)するのが正しいです。

振込手数料の按分の方法は、家賃の割合と同じになるので先ほどを例に考えると、振込手数料の50%を経費にすることができるということです。

しかし、このような計算を毎月行うとなると、仕訳する手間が増えてしまいます。

それならば、振込手数料のかからない金融機関を利用していただくとよいのかもしれません。

住信SBIネット銀行は、同行宛の振込手数料は何度でも無料で行え、他行宛の場合は無条件で毎月1回は無料になります。

ちなみに、会員ランクが高くなればなるほど、他行宛の振込手数料が無料になる回数も増えます。

家賃や振込手数料の仕訳は?

ここからは、仕訳にかんして見ていきましょう。

まずは、毎月かかる家賃・管理費(共益費)と、振込手数料のかかる金融機関を使用したと想定した場合の仕訳です。

家賃は50,000円・管理費は3,000円・事業用の口座からの支払で振込手数料は800円・按分は50%とします。

家賃の勘定科目は、地代家賃で按分した25,000円を借方に、貸方には普通預金で25,000円と仕訳をします。

そして、振込手数料は支払手数料として800円を按分した400円を借方に、貸方には普通預金で400円と仕訳をします。

管理費は、家賃と一緒に支払っているのであれば、管理費の金額を家賃と足して地代家賃として考えます。

このことを踏まえて処理をすると、次のようになります。

地代家賃 26,500円 / 普通預金 26,500円

支払手数料 400円 / 普通預金 400円

振込手数料や家賃以外に毎月かかるものの仕訳

これまで、家賃や振込手数料の仕訳にかんして見てきましたが、毎月生活するとなれば水道や電気、オール電化でなければガスなどの支払をする必要があります。

光熱費も家賃や管理費(共益費)、振込手数料と同じように合理的な基準を決めて按分します。

・水道、ガス

住宅を事務所として使用するとなると、水道の使用はお手洗い・キッチン、ガスはキッチンで使用するイメージですが、どちらも1日中使用している訳ではないかと思います。

水道代の按分は全体の数%から20%程度の割合が一般的とされていますが、使用頻度が低い場合は経費に含めないこともあります。

・電気

私生活や仕事を問わずに電気を使用している時間に対して、仕事で電気を使っているのがどのくらいの時間であるかで按分するケースが多いです。

例えば1日10時間電気を使用していて、その内の2時間は仕事で電気を使っているとすれば、全体の1/5が仕事で電気を使っているということになるので、その分を経費で計上できます。

住宅兼事務所でも按分すれば経費にできる

今回は、住宅兼事務支所として賃貸物件を借りている場合、家賃や管理費・振込手数料や、光熱費などを経費で計上することができるか、またどのくらい経費にできるのかについてもお話ししました。

家賃や管理費、振込手数料はどのくらいの面積を使用しているのかで按分しますが、光熱費は割り出し方が違うので注意しましょう。

仕訳をする際の参考にしていただければ幸いです。