原状回復と現状回復!読み方は同じだけど違いはあるの?

賃貸のアパートやマンション、オフィスなどの契約を交わすとき、退去時には入居したときの状態に戻してもらうよう、契約内容に記載されています。

このようなことを、原状回復や現状回復などと表記されていますが、どちらが正しい使い方なのでしょうか。

また、似たような言葉で、原状復帰というものもありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

原状回復におけるトラブル回避法も併せてご覧ください。

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現状回復は間違い?不動産では原状回復を使う

不動産の契約書でよく見かける「原状回復」という文字。

どういった意味があるのかと調べてみると、「原状回復」と書かれていたり、「現状回復」とかかれていたり、とてもややこしいですよね。

はじめに、原状回復と現状回復の違いについて解説していきます。

原状と現状の意味は、それぞれ次のとおりです。

▼原状(げんじょう)の意味

・初めにあった状態
・もとのままの形態

▽使用例

・原状回復
・原状に戻す
・原状を復元する

▼現状(げんじょう)の意味

・現在のありさま

▽使用例

・現状を見る
・現状を判断する
・現状を語る

同音異義語なので使い分けに迷ってしまいますが、全く違う意味であることがお分かりいただけるかと思います。

漢字も一つ違いでややこしいですが、こういった違いがあることから、不動産契約で使うべきなのは「原状回復」のほうといえます。

言葉の意味からして、「原状回復」が正しい使い方です。

現状回復は間違い!では原状回復義務はどんな意味があるの?

不動産契約で見かける原状回復。

読み方は同じですが、現状回復は間違いで、原状回復とするのが正しい使い方でした。

使い方を理解したうえで、改めて原状回復の意味を確認してみましょう。

不動産で使う原状回復とは、一般的にいうと、契約をする前の状態に戻すことを表しています。

そして、それらを原状回復義務としていて、賃貸借契約書の特約に書かれていることが多いのです。

賃貸物件では多かれ少なかれ入居と退去が繰り返されているため、賃借人、賃貸人の双方に原状回復義務が生じます。

退去した部屋に新たな入居者を迎えるためにも、原状回復に努める必要があるというわけです。

考えてみれば、前に住んでいた人の形跡があったら、「ここに住みたい」という気持ちも薄れてしまいます。

間取りも環境も気に入っていたとしても、いい気分にはなりません。

賃貸人側からしても、ずっと空室のままでは困ってしまいます。

こういったことから、原状回復義務を特約にしているのです。

トラブルになりやすかった原状回復義務

原状回復とは、契約をする前の状態に戻すことを表しているとお話ししました。

しつこいようですが、現状回復は間違いで、原状回復が正しい使い方です。

原状回復義務ですが、契約する前の状態に戻すことは不可能に近いことでもあります。

入居から退去する日まで一度も部屋に足を踏み入れていないのであれば可能かもしれませんが、多くの方は生活をしたり、会社を営んだりしますよね。

そうしたなかで、防ぎようのない汚れや損耗は避けようがない部分であるため、それらをどう修繕していくかで、賃借人と賃貸人との間でトラブルが発生していました。

賃借人からしたら、普通に生活をしていただけなのに、必要以上の修繕費を請求されては困ってしまいますし、賃貸人側になってみると、汚した部分は責任を取ってもらいたいと思うことでしょう。

そのため、原状回復をめぐるトラブルを回避するべく、ガイドラインが設けられたのです。

以前とは違い原状回復をめぐるトラブルとガイドラインが明確に!

賃貸住宅からの退去時、原状回復をめぐるトラブルが多いことから、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表することになりました。

国土交通省も「原状回復」を使用していることから、「現状回復」は間違いであるということが明確になりました。

原状回復によるトラブルを未然に回避するガイドラインでは、借りたときの状態に戻すことを原状回復とするわけでないことを伝えています。

以前とは違い、こうしたガイドラインがあることで、賃借人と賃貸人を含んだ建物賃貸借契約に関わる全ての人が同じ認識を持つことができるようになりました。

ガイドラインは1998年に公表されたのち、2004年に改訂、2011年に再改訂されていますので、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

また、2011年の再改訂では交換年月を追加していて、入居時からの経過年数を考え、原状回復費にかかる負担割合算定の際に欠かせない項目になっています。

1年間部屋を借りた場合と、10年間部屋を借りた場合では、損耗の仕方に違いがあるという見方をするべきという意味が込められているのです。

こうしたガイドラインがあるのとないのとでは、大きな違いですよね。

改訂前にトラブルが起きやすかったことがうかがえます。

新築であっても入居時にはチェックしよう

原状回復をめぐるトラブルを起こさないためには、双方立ち会いのもと、入居時に物件の状況を確認することをおすすめします。

なぜかというと、傷や破損がある場合、入居する前のものであったのか、入居した後のものであるかを判断することができるからです。

立ち会いで物件の状況を確認することで、後々トラブルに発展する確率を下げることができることでしょう。

「見た、見てない」「言った、言ってない」ということがないように、傷や破損のある場所を撮影しておくといいですね。

では、建物が新築であった場合はどうでしょうか。

新築の建物であれば損耗は生じないはずですが、施工ミスや施工中についた汚れや傷がないとは限りません。

取り付け部分に不具合がないかも、確かめたいポイントになります。

新築だからこそ、全てが貸借人によるものだと判断されかねませんので、必ず立ち会いのもと確認しましょう。

立ち会い確認ができない場合は、メモに残し、写真を撮って記録しておきます。

そして、記録したものをコピーして、相手方にも知らせましょう。

こうした事前チェックをするかしないかの違いで、補修費用の負担割合が変わりますので、覚えておいて損はありません。

はじまりは、原状回復と現状回復のどちらが正解かというお話でしたが、深堀してみると原状回復のもつ意味と内容が分かってきましたね。

原状回復でも現状回復でもない!原状復帰ってどういう意味?

間違いやすい原状回復と現状回復ですが、もうひとつややこしい用語があります。

それは、「原状復帰」です。

今度は読み方が違いますが、原状回復とどういった違いがあるのか分かりませんよね。

原状復帰の意味は、変化や劣化する前の状態に戻ることをいいます。

または、もとの状態に戻すことを意味しています。

原状回復の異称として使われていて、使う場面で表現方法が変えられているのです。

簡単にいうと、原状回復は公的な場所での表現になり、法律用語になります。

一方、原状復帰は建設業などの建物賃貸借契約に関わる方々が使う表現です。

建設用語といってもいいかもしれませんね。

使い方の例とすると、「原状回復のための原状復帰工事」といった表現です。

もとの状態に戻すということにおいては同じ意味合いがありますが、少し違ったニュアンスになります。

意味を理解すると分かること

きっかけは、原状回復と現状回復の違いについてでしたが、原状回復の意味を理解することで分かることもありましたね。

原状回復の基準を知っていれば、退去時、貸借人と賃貸人との間にトラブルが起こる可能性は低くなります。

間違ったままの知識では意味がないですから、今回のように何が違うのかなど、疑問に持つことは大切なことですね。