不動産関係のご近所トラブルとして、隣家との境界トラブルが挙げられます。
隣家との境界トラブルは頻繁に発生しており、それを防ぐためには境界標を設置するという方法があります。
境界標とは、自分と隣家との土地の境界が分かるような目印となるものです。
記事では、境界標の必要性や種類、また杭を造ったときの費用負担などを解説していきます。
隣家との境界が分からない!境界標の必要性
家を新しく建てるために土地を購入した場合や塀を建て直したい場合、または土地を売りたい場合には、隣家との境界が分かっていることが大切です。
なぜなら、隣家との境界トラブルは様々なところで発生していて、そのほとんどが土地の境界がハッキリしていれば防げるものだからです。
それでは、土地の境界を表すものとしてどのようなものがあるのでしょうか。
ひとつ例を挙げると「境界標」というものがあります。
境界標とは、隣家と自分の土地の境界を表すための目印になるものです。
境界標は両家の合意のもとで決めるものですから、境界標さえしっかりと定めておけば境界トラブルは防げるといっても過言ではありません。
ところが、境界標が設置されていないケースが多くみられるのが実態で、そのために境界トラブルは発生しています。
そのことからも、隣家との境界が分かるような境界標を設置することは大切なことかと思います。
しかし、設置するにも自分だけで勝手に設置するわけにはいきませんし、杭の費用は誰が払うのかの問題も出てきます。
土地を手に入れたら杭の費用がかかるかも!境界標の有無
土地を手に入れたら確認したい事項は沢山ありますが、境界トラブルを避けるためにも境界標が設置されているかの確認が大切です。
もし境界標がなければ、境界標を設置することを検討したほうがいいでしょう。
境界標があれば、塀を建てる際にもスムーズに設置することが可能ですし、自分の土地と相手の土地との境界がはっきりすることによって自分の土地活用を心置きなくできますよね。
後々、土地を売ったりする際にも、境界標があれば手続きも簡単に済むことが考えられます。
境界標である杭を設置する費用はかかりますが、後々のトラブルを考えると設置しておいたほうが気持ちの面でも安心です。
それでは、境界標があればそれだけで安心かというと、そうではない場合もあるようです。
例えば、境界標が設置されていたとしても、それが正しい位置にあるのか、杭が動かされていないか、または杭自体が腐ってしまっているなど、杭として機能しているかどうかの確認が必要になるからです。
土地を手に入れたらまずは境界標の確認と、境界標があればそれがきちんと機能しているかの確認は必ずしておきましょう。
杭の費用がかかっても境界標は設置したい!境界標で防げる境界トラブル!
ここでは、実際にある境界トラブルの例について確認していきましょう。
隣家との境界が分かっている場合でも、境界標が設置されていないと後々トラブルが発生する場合があります。
例えば、境界を知っているどちらかの住人が亡くなってしまい、片方の住人が一方的に境界を主張してくるような場合です。
境界が両家の間で分かっている間に境界標を設置していれば良かったのですが、片方の住人が亡くなってしまったことによって、その家族は境界がどこか分からず、隣家の境界への主張が合っているのか合っていないのか分からなくなってしまうことがあるのです。
また、隣家が塀を造り直す場合にも境界トラブルは発生しやすいです。
例えば、隣家が古くなった塀を造り直す際に、境界をはみ出して塀を造り直されてしまうようなケースです。
境界標で境界をはっきりさせておかなかったために隣家に境界をはみ出して塀を造られてしまい、後からはみ出てると主張しても造り直しはしてもらえないということもあるのです。
トラブル例を見てみると、杭の費用がかかったとしても境界標を設置することは意味がありそうですね。
境界標を造る場合!杭の種類はどのようなものがある?
境界標を造りたいと思った場合、杭にも種類があります。
こちらでは、杭の種類について解説していきます。
〇コンクリート杭
コンクリート杭は、一般的に設置されていることが多い杭になります。
コンクリート造りのため、永続的な使用が見込めます。
〇石杭
石杭は、美しく堅い花崗石などで造られています。
永続性に優れていますが、材料そのものの価値が高いことや加工の大変さから費用は高くつきます。
〇プラスチック杭
プラスチック杭はプラスチック製のため、大量生産が可能で安価ではありますが、軽いため安定感がないのが欠点です。
最近では、補強するためにコンクリートや御影石などと組み合わせたタイプのものも造られています。
〇木杭
木杭は、木でできているため腐食してしまうことが欠点として挙げられます。
1~2年で腐食してしまうことが多いため、永続的に使うというよりも仮杭としての使用がすすめられます。
〇金属標
金属標は、真鍮・ステンレス・アルミなどで造られたプレート状になっているものです。
境界がはっきりしない時はどう決める?
境界標の設置を検討する場合、境界がどこなのか確認する必要があります。
境界については両家の合意が望ましいため、境界がどこなのかは両家で確認しなければなりません。
もし境界がはっきりしていない場合は、両家での話し合いによって明確にしていく必要があります。
境界がどこなのかという法律は特に決まっているわけではありませんので、お互いの納得がいくような形で決めていかなければなりません。
もし隣家との話し合いがうまくいかない場合は、裁判を行うか、境界問題についての専門機関に相談する方法があります。
裁判の場合は、境界確定訴訟という形になります。
専門機関での相談の場合は、境界問題相談センターという機関に相談します。
境界問題相談センターは土地家屋調査士会が運営しており、土地家屋調査士と弁護士が話し合いの仲介役として働いてくれます。
裁判まで起こしたくない方には、こちらの境界問題相談センターでの相談がおすすめです。
次項では、境界標の設置での杭の費用について解説していきます。
境界標の杭の費用はどちらが負担するのか?
境界標を造るために、境界がどこなのかはっきりさせる必要がありました。
境界が決まっていない場合は、両家の話し合いで決める必要もありましたね。
それでは、境界が決まって境界標を造るとした場合、杭の費用はどちらが負担することになるのでしょうか。
境界は自分と隣家の土地の間にできるものでありますので、境界標は自分だけの負担ではなく、隣家も負担する必要があります。
民法でも境界標を設置する費用負担は、基本的に折半とすることという決まりがあります。
どちらか片方だけが負担するようなことはないのです。
また、設置に関してもどちらかが勝手に設置するようなことはせず、お互いの合意のもので設置することが望まれます。
合意が得られていない場合は、費用の支払いをしてもらえないこともあるのです。
境界トラブルを避けるための境界標ですが、境界を決めること、境界標の設置など、隣家と協力して行わなければなりたたないものであると言えるでしょう。
境界トラブルを避けるなら境界標の設置を
不動産においての境界トラブルは多く発生していますので、自分もそのトラブルに巻き込まれないとは限りません。
境界トラブルを防ぐには、境界標の設置がおすすめです。
境界標を設置しておけば、境界トラブルに発展しなかった例がいくつもあるからです。
境界標の設置には境界の確認が必要ですが、境界がどこなのかは両家の話し合いで決める必要があります。
境界標の費用も両家での折半が基本となっていますので気をつけましょう。