隣地との境界線上にあるブロック塀をめぐり、近隣トラブルに発展してしまうケースは少なくありません。
この記事では、境界ブロックの積み方や撤去費用、危険なブロック塀の見分け方などをご紹介していきます。
境界とブロック塀についての知識を深め、早めに対策をとっていきましょう。
境界ブロックの積み方!芯積みはトラブルになりやすい!?
自分の敷地と隣地を区別するために、コンクリート製のブロック塀を建てることがあります。
しかし、その積み方に種類があることをご存知でしょうか?
ここではまず、境界ブロックの積み方について学んでおきましょう。
境界ブロックの積み方は、主に三種類です。
●内積み:境界線より内側に積む方法
●外積み:境界線より外側に積む方法
●芯積み:境界線上(中央)に積む方法
内積みにおいては、境界線よりも内側ということで、自分の敷地内に積むことになります。
よって、設置費用も自分で全額負担するのが通常です。
一方、外積みとは、隣地に積むことを指しますから、設置費用は隣地所有者が負担することとなるでしょう。
そして、最もトラブルに発展しやすいと言われているのは、芯積みです。
境界線の中央部分に積むことから、設置費用は両家がそれぞれ負担します。
基本的に、ブロック塀は設置費用を負担した人の所有物となりますので、所有権も両家にあるということになるのです。
そうなると、のちのち問題になってくるのは、ブロック塀のメンテナンスです。
修繕や取り壊しのタイミングなども、両家で話し合いの場を設ける必要性が出てくるでしょう。
境界ブロックを芯積みにするメリットはある?
境界ブロックを芯積みにすることで、なにかメリットはあるのでしょうか。
メリットとしては、設置費用やメンテナンス費用などの負担額が少なくて済むということが挙げられます。
また、境界線上にブロックを積むことで、互いの敷地に少しゆとりが生まれます。
これは、少しでも土地を有効利用したい「狭小地」にとって、うれしいポイントとなるはずです。
そのほか、境界ブロックの構造やデザインに、自分の意見を取り入れてもらうことも可能でしょう。
こういったメリットがありますが、前述したような境界トラブルが発生しやすくなることも忘れてはなりません。
共有のブロック塀なら、設置だけでなく管理体制も全て、両家の話し合いによって決まっていきます。
どの程度まで直すのか、修理ではなく取り壊すべきなのか、いつ工事するのか、費用は折半にするのかといった細かいところまで、決めていかなくてはなりません。
どちらか一方の独断でメンテナンスすることは許されないので、近年はそれぞれの土地に塀を建てるケースが増えてきました。
敷地面積に余裕があり、将来的な境界トラブルを阻止したいのであれば、内積みでの設置がおすすめと言えそうです。
トラブル回避!共有でブロック塀を設置する際の注意点
前項では、内積みでの設置をおすすめしましたが、もし隣地境界線上にブロック塀を建てることになったら、以下のポイントに注意してください。
【塀の高さはほどほどにする】
境界塀に限ったことではありませんが、背の高いブロック塀を設置することで、通気性や日当たり、防犯性に問題が生じる可能性が出てきます。
そのため、低いブロック塀とフェンスを組み合わせることなども検討してみてください。
【費用負担額のルールを確認しておく】
共有していくブロック塀の設置費用は、必ずしも「折半にしなければならない」というルールがあるわけではありません。
そのため、隣地所有者が高額な塀の設置を望んでいるならば、そちらがより多くの費用を負担すべきだと考えられます。
【合意書を取り交わしておく】
ブロック塀の管理体制などについては、互いが納得する内容の合意書を作成しましょう。
そうすることで、将来土地の所有者が変わったときにも、境界トラブルへと発展しにくくなります。
共有している境界ブロックの撤去費用は?
それでは、「隣地境界線上のブロック塀を撤去したい」となったら、どうすべきでしょうか。
まずは、ブロック塀を共有している隣地所有者に、その旨を伝えてください。
そして、同意を得られるなら折半での撤去となるでしょう。
しかしながら、撤去理由によって負担額に差が出てきます。
「塀のデザインを変更したい」等の自己都合となると、撤去費用は全額自分で支払うのが一般的です。
一方、経年劣化による撤去の場合には、折半とすることが多くなります。
メンテナンスを怠っているブロック塀は、数十年程度で倒壊する危険性がありますから、注意が必要です。
倒壊によってケガ人が出てしまった場合には、所有者が賠償責任を負うことになります。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、両家で定期的に話し合えるといいですね。
肝心な撤去費用ですが、目安は一平米で5,000円~8,000円程度です。
ただし、そこからさらに人件費や運送費も上乗せされていきます。
危険なブロック塀の見分け方が知りたい!
前項では、ブロック塀の倒壊について触れましたが、危険なブロック塀の見分け方を覚えておきましょう。
劣化の進んだブロック塀には、以下のような特徴があります。
●施工から長い年月が経過している
いくらメンテンナスをしていても、30年以上前に建てられたブロック塀は、寿命を迎えているかもしれません。
●傾いている
ななめに傾いているブロック塀は、かなり劣化が進んでいると判断できます。
そのほか、揺れやグラつきが確認できるときも、撤去や修繕を考えましょう。
●ひび割れている
表面にひび割れがあると、内部へと雨水が入りやすくなります。
埋設された鉄筋がもろくなっていく原因となるので、倒壊の恐れは否定できません。
●透かしブロックが多い
透かしブロックとは、穴のあいたコンクリートブロックを指します。
こちらは、通気性や装飾性を向上させるために用いますが、その使用数が多いと耐久性には劣ってしまいます。
●高さが2.2メートルをこえている
建築基準法では、ブロック塀の最大高さは「2.2メートル以下」とされています。
(※昭和56年6月1日に改正されました)
ちなみに、隣地との境界塀に関しては「2メートル以下」となるのが通常です。
背の高すぎるブロック塀は、地震などによって倒壊するリスクがありますから、早めに対応してください。
こうした判断材料を踏まえながら、境界ブロックの安全性を再確認してみましょう。
トラブル回避のためには、日々の点検も欠かせませんね。
ブロック塀を内積みしていてもトラブルに発展!?
最後となりますが、ブロック塀を自分の敷地内に建てたとしても、トラブルへ発展してしまうケースもあるようです。
それは、隣地所有者から「境界線が違う!」と、クレームがきてしまうパターンです。
このようなトラブルを回避するためには、事前に境界線を明確にしておく必要があります。
正しい位置に境界標を明示することで、のちのトラブル防止につながるでしょう。
また、「筆界確認書」という書類の存在も大切です。
筆界確認書とは、それぞれの土地の所有者同士が「境界線について合意を交わした」という証明となる書類のことを指します。
こちらの書類があれば、もし境界標が紛失したとしても、もとの正しい場所に設置し直すことが可能です。
そして、信頼できる手がかりがないというときには、「確定測量図」の作製から検討してみてください。
ご自宅のブロック塀は大丈夫?隣地とのトラブルに注意!
今回は、境界のブロック塀についてお話ししてきましたが、参考になったでしょうか?
境界ブロックが「芯積み」だとしたら、それは隣地所有者との共同塀です。
そのため、少しでも劣化が見られるようなら、メンテナンス方法について話し合ってみてください。
また、近隣トラブルを阻止するためにも、境界標の位置を再度確認しておきましょう。