お父さんの日曜大工から、DIY好きの女子まで、モルタルの用途はさまざまです。
そんなモルタルは、セメントに砂を混ぜて、水を加えて練ったものになります。
しかし、今までモルタルを扱ったことのないかたにとっては、未知の世界です。
そこで今回は、モルタルの用途、そしてモルタルの作り方をご紹介します。
モルタルの使い道って?
大規模な工事現場で使うイメージのモルタルですが、概要でもお話ししたとおり、DIYでも使われるようになってきました。
ご家庭でモルタルを使うとしたら、どのような使い道があるのかみていきましょう。
●目地
レンガを敷き詰めたり積み上げたりするときなどに、モルタルはレンガ同士をつないだり空洞を埋める目地として使うことができます。
ガーデニングが趣味の方であればアーチを固定したりと、目地としての利用が一般家庭で多い使い方です。
●接着剤(接合材)
キッチンの壁や玄関の床などにタイルを敷いて楽しむ場合、モルタルは接着剤として使うことができます。
コンクリート下地の上にモルタルを敷き詰めて、そこにタイルを置いて貼っていきます。
●補修材
軽度のヒビ割れであれば、モルタルで補修できる場合もあります。
ただし、大規模の補修が予測される場合には必ず専門家に調査してもらい、プロに依頼することをおすすめします。
●吹付工
崖面をモルタルやコンクリートで覆う工法を吹付工といい、トンネルの覆工でも使われています。
特殊なモルタルで施工していく必要があり、専門的な技術が必要になるので、一般家庭での使い道とはかけ離れてしまいますが、モルタルの代表的な用途のひとつです。
色々な用途のあるモルタルを、セメントと砂、水で作って活用してみましょう。
モルタルはセメントと砂と水で作られる
色々な使い道があり、日曜大工やDIYで活躍しそうなモルタルは、セメントと砂を混ぜて、練りながら作っていきます。
セメントは粉末ですが、水を加えることで硬くなっていきます。
そのため、セメントを保存するときは、湿気のある場所に置かないようにしましょう。
続いて、骨材と呼ばれる砂が必要になります。
粒径が小さい砂は細骨材、砂利や砕石といった砂は粗骨材と呼んでいますが、総称して骨材といいます。
ちなみに、モルタルとの違いをよく比べられるものにコンクリートがあります。
モルタルとコンクリートの違いは、骨剤として砂の他に石(粗骨材)が入っているかどうかです。
最後に水ですが、ご家庭で使う分には、水道水で問題ないでしょう。
これらを混ぜてモルタルを作っていくのですが、ただ混ぜ合わせるだけではできあがりません。
勘だけで配合してしまえば、必ず失敗してしまいます。
では、どのくらいの配合を目指せばいいのでしょうか。
使用目的別にセメントと砂の配合を変えよう
モルタルを作るためには、セメントと骨材と水の配合が不可欠です。
では、どういった比率で配合すればいいのかというと、実は明確な基準は存在しません。
コンクリートの場合は配合比率と強度について定めているJIS規格があるのですが、モルタルについては記述されていないのです。
とはいえ、セメントや砂、水の量が適当では綺麗な仕上がりになりませんし、用途に合った粘度や強度にすることもできません。
そこで、以下のような慣例的に使われている比率を元に、用途別で配合してみてください。
質量比で配合する場合、セメントを1とすると、砂を2~3の割合にして、そこに水を0.6の割合をめやすにゆるくなりすぎないように徐々に加えていきます。
砂の分量は、セメントに必要な硬さに応じて調整します。
例を挙げると、接着剤として使いたいのであれば、セメント1に対して砂2がおすすめです。
また、仕上げ材として使う場合にはセメント1に対して砂3の配合がいいです。
対象になるものや使用目的によって配合を調整してみましょう。
配合が心配なかたは、はじめからセメントと砂が配合されているインスタントモルタルを使ってみるのもいいかもしれません。
水を加えるだけで、モルタルができますよ。
セメントと砂の配合が決まったら、しっかりと混ぜ合わせていくのですが、その前に必要な道具を用意しましょう。
モルタル作りに必要な道具はある?
セメントと砂のほかにも、モルタル作りで用意したいものがあります。
▼手袋
水を加えて湿ったモルタルは、強アルカリ性になります。
素手でセメントを触ると、手荒れの原因になってしまいますので、必ず手袋をして作業を行ってください。
▼ゴーグルとマスク
モルタルが目に入ると、失明してしまう可能性もあります。
また、粉末のセメントを吸い込まないように、マスクも装着しましょう。
モルタルを作るときは、小さな子供やペットが近づかないようにすることも大切です。
▼トロ舟・トロおけ
セメントと砂を混ぜたり、水を加えて練っていくときに使います。
少量であればバケツでも構いませんが、量がある場合はトロ舟が使いやすいです。
▼シャベル・スコップ
モルタルを混ぜる作業で必要です。
先のとがったものではなく、平らなものが使いやすいです。
▼バケツ
セメントと砂に加える水を入れたり、水を張ったバケツのなかで道具を洗うときなどに使用します。
▼計量カップ
少量のモルタルを作る場合、水を入れるときに使うと便利です。
▼コテ・コテ板
コテはモルタルを塗るときに使います。
コテ板は必ず必要になるわけではありませんが、使う量のモルタルをコテ板に乗せておくことで効率的にモルタルを塗ることができます。
セメントと砂が混ざったら水を加えて練っていこう
必要な道具が揃ったら、セメントと砂を目的別に配合し、混ぜ合わせていきます。
この時点では、サラサラとした粉末状です。
しっかりと混ざったら、中心を少し窪ませて、必要分計量した水を加えていきます。
少しずつ水を入れながら、しばらく練ってみましょう。
しっかりと練っていくと、ペースト状に変化していきます。
ペースト状にならないからと必要分以外の水を加えてしまうと、練っていくうちにドロドロとしたゆるい状態になってしまい、モルタルとして使えなくなってしまいます。
ドロドロの状態になってしまうと、後で調節しなおすことが難しいので、水は慎重に加えてくださいね。
また、水分量の多いモルタルを使うとヒビ割れの原因にもなりますので、目的によっては使用しないようにしましょう。
水を足しすぎてしまうと後戻りはできませんが、「少し硬いかな?」と思う程度にとどめておけば、水を加え、再度練り上げれば使うことができます。
水分量が丁度いいモルタルの状態は、すくったときに流れ落ちない柔らかさです。
モルタルは時間が経つと固まっていくので、必ず使いきれる量を作りましょう。
綺麗に仕上げるコツと使った道具の後処理
セメントと砂、水によってできたモルタルで、DIYは充実します。
最後に、モルタルを使う上で注意していただきたいことをお伝えします。
モルタルは乾燥によって固まっていくのですが、急に乾燥することでヒビ割れがしやすくなるのです。
せっかく一生懸命塗ったのに、翌日にヒビ割れていたら悲しいですよね。
一人で作業するとなると、結構な重労働ですから、悲しみもひとしおです。
このような事態にならないよう、ゆっくり時間をかけて乾燥させていきましょう。
ビニール袋、または水で濡らして固く絞った布を、塗り終えたモルタルに被せ、数日かけて乾かしていきます。
このような対処をするかしないかだけでも、仕上がりに差が出てきます。
そして、使い終わった道具の処理をしましょう。
道具にモルタルが付着したままだと、そのまま固まってしまい、落とすのに苦労してしまいます。
しかし、決して手洗い場などでモルタルが付いた道具を洗ってはいけません。
排水管のなかでモルタルが固まり、詰まりの原因になってしまいます。
道具を洗うときは、水を入れたバケツのなかで洗いましょう。
このとき、できるだけ少量の水で洗えば、その後の処理も大変ではなくなります。
道具を洗った後の水は、ご自宅の庭に水が入るくらいの穴を掘り、そこに流して処理しましょう。
モルタルで楽しくDIY
難しそうなモルタル作りですが、セメントと砂の配合をきちんと行い、水を加え過ぎず慎重に練っていけば、誰でも作れます。
コツを掴んでくれば、DIYで活用することができます。
そんなモルタルを扱うときは、本文でお話した注意事項を守り、安全に使用しましょう。