世の中にはさまざまな建築材料がありますが、建材だけでなく園芸材料としても使われている資材があることをご存知ですか。
パーライトという人工発泡体です。
改良用土や土壌改良材として園芸材料で使われますが、モルタルなどと配合してすぐれた建材としても使われています。
どのような資材なのか、詳しく見てみましょう。
園芸材料だけどモルタルと配合すれば建材にも!パーライトって何?
自宅の庭でガーデニングや自家菜園をする時間は、癒しの時間です。
土を触っているだけで心が落ち着きますし、花が咲いたときや野菜が収穫できたときの喜びは大きなものです。
ガーデニングをするためには用土や肥料が必要になりますよね。
さまざまな種類の用土や肥料、堆肥などがありますが、そのひとつにパーライトがあります。
パーライトは、ガラス質の火山岩を粉砕し、急激に高温で加熱することによって膨張させた人工の発泡体です。
水分が急激に蒸発することにより、多孔質の構造を持ちます。
白色で砂状になっており、真珠石とも呼ばれています。
そして、顕微鏡で見るとパールのような輝きを持つため、それが名前の由来ともいわれています。
多孔質であることから通気性や透水性にすぐれ、ガーデニングなどの園芸で改良用土として使われています。
また、断熱性や保温性、吸音性にすぐれ、軽量であることからモルタルなどと配合して建材としても使われており、多方面で活躍する資材となっています。
2種類あるパーライトとその特徴
パーライトは2種類あり、それぞれ特徴が異なります。
○黒曜石パーライト
黒曜石を熱して発泡させたパーライトです。
内部に空気を多く含む気泡をたくさん持ち、多孔質の構造で軽量になっています。
そのため、水はけが良く透水性にすぐれています。
水はけが悪い土に配合して改良用土や土壌改良材として使われます。
軽量なので鉢底石としても優秀です。
そして、黒曜石パーライトは水をミネラル水に変えるといわれ、根腐れ防止にも使われています。
○真珠岩パーライト
真珠岩を熱して発泡させたものが真珠岩パーライトです。
黒曜石よりも水分が多いため、熱したときに大きく膨張して壁が破壊された構造を持ちます。
そのため、内部まで水分が浸透する形状になっています。
保水性の高さが特徴です。
水持ちの悪い土や土壌に配合すると保水性を高めてくれます。
通気性も保ちつつ、水持ちも良くしたいというときに適しています。
パーライトの持つ透水性や通気性、保温性、軽量であるという特徴ももちろん持ち合わせています。
土と配合すれば改良用土に、モルタルなどと配合すれば建材に、汎用性の高さがパーライトの魅力ですね。
軽量骨材としてモルタルなどと配合すれば建材にもなる
園芸材料としてだけでなく、建材としてのパーライトも見てみましょう。
建材としてのパーライトは、軽量骨材として使われています。
パーライトには2種類あることは前項でお話ししましたね。
これは建材でも同様で、黒曜石パーライトと真珠岩パーライトの2種類があります。
黒曜石パーライトは排水性を高める場合に、真珠岩パーライトは保水性を高める場合に使われます。
粒状もしくは粉状で、両方を配合したものもあります。
サイディングボード、スレート板、モルタルやコンクリートと混合した建築資材、石膏板や吸音材などの成型品、プレミックスモルタルなどその用途は幅広いです。
軽量性だけでなく、断熱性や不燃性、吸音性など建材として必要な性質を兼ね備えており、とても優秀な建材として重宝されています。
パーライトとモルタルを配合するとすぐれた建材に!
モルタルやコンクリートにパーライトを配合したものはパーライトモルタル、パーライトコンクリートと呼ばれ、パーライトが持つ特徴がそのまま活かされた建材となっています。
まず、通常のモルタル・コンクリートよりも軽量であることです。
重量は通常のものの1/2以下といわれています。
そして、特筆すべきはその耐火性と耐熱性です。
耐火性は通常のモルタル・コンクリートのおよそ4倍、耐熱性はおよそ8倍にもなります。
パーライトを配合するだけで不燃性や耐熱性がぐんと向上し、すぐれた建材になることがわかりますね。
そして、吸音性も通常より高まります。
施工性・加工性は通常のものと変わらず、簡単で扱いやすいです。
粒度や重さによってさまざまな加工や使い方ができるのもポイントです。
内外装板として一般住宅に、セメント板として工場やビルの屋根や天井に、塗料として外壁塗装にも使われます。
耐火性の高さから、耐火金庫など耐火物用の建材や素材としても使われています。
このように幅広くさまざまな分野で使われていますので、気づいていないだけできっと誰でも見たことがある建材といっても良いでしょう。
園芸材料としてパーライトを土に配合して使ってみよう
さて、建材としてのパーライトモルタルやパーライトコンクリートについてお話ししてきました。
しかし、日常生活で建材としてパーライトを使うことは少ないですよね。
どちらかというと、園芸材料としてのパーライトのほうが身近かもしれません。
そこで、家庭菜園やガーデニングでのパーライトの使い方をご紹介します。
パーライトには2種類ありましたね。
それぞれ使うポイントが異なります。
○黒曜石パーライト
水はけが悪い土、水が染みこまない土、根の発育が良くない土に配合して使用します。
パーライトは通気性も高めますので、植物に酸素が供給されやすくなり、土の微生物も活性化させてくれます。
黒曜石パーライトは水をミネラル水に変えてくれるといわれていますので、根腐れ防止にも役立ちます。
○真珠岩パーライト
保水力がない土に配合して使用します。
水をくれてもザーザーと通り抜けていってしまうような土は、保水力がなく植物を育てるのに適していません。
真珠岩パーライトは保水性にすぐれているため、改良用土として有効です。
パーライトの軽量性を活かしてハンギング
パーライトは軽量ですので、鉢を軽くするという目的にも使うことができます。
その軽量性が活躍する場面は、ハンギングバスケットです。
フェンスや軒下、ひさしなどに吊るすハンギングバスケットは花やグリーンをいろいろな角度から楽しむことができますし、見た目にもおしゃれです。
パーライトは無菌なので、室内に吊るす場合でも使いやすいですよ。
軽量になるため柱や天井への負担が減り、室内ハンギングにもぴったりです。
そして、パーライトを土に配合して使用するときは、定期的に土に混ぜ込むという作業を行いましょう。
パーライトは軽量のため、だんだんと表面に上がってきてしまいます。
また、使いすぎると植物が上がってきてしまうこともあります。
パーライトの量は、主に使う土の10%~20%ほどにしておきましょう。
土壌改良や土の軽量化だけでなく、ほかにも保温性と断熱性にもすぐれているため植物の越冬・越夏にも役立ちます。
建材から園芸材料まで、パーライトは有能でしたね。
モルタルやコンクリートなどの建材として改良用土などの園芸材料として、パーライトはあなたの生活を見えないところで支えてくれているのです。
知られていないけれど便利な資材
パーライトという資材について、知らなかった人もいるでしょう。
家庭菜園やガーデニングをする人であれば、園芸材料として身近に使っているかもしれません。
そしてそのパーライトが、建材としてあなたの住宅に使われているかもしれません。
私たちの生活は、さまざまなすぐれた資材によって便利に快適に過ごせているのですね。