モルタル壁は味わい深く、ナチュラルな仕上がりになるため「マイホームの外壁に取り入れたい」という方も多いかもしれません。
いざ家を建てたあとに、LANケーブルや防犯カメラの電源コードを通す穴がない場合は、モルタル壁に穴をあけなければならなくなることもあります。
そこで今回は、モルタルとは何か、工法の種類やモルタル壁に穴をあける手順などもお伝えします
モルタルとは?
モルタル壁に穴をあける方法をお話しする前に、モルタルについてご説明します。
モルタルとは、セメントといわれる白い粉のようなものに、砂と水を合わせたものをいいます。
使用方法はコテを使って伸ばす方法以外にも、特殊な機械を使ってモルタルを吹き付ける方法などもあります。
モルタルが住宅に使用される主な場面は、外構などでレンガ同士を貼り付けるノリのような役割として、建物の外壁などです。
さまざまなものを混ぜることによって模様に変化を付けたり、色を付けることもできたりするので、オリジナルデザインのものを造ることができるのも特徴です。
そのため、モルタルは「個性的な住宅を建てたい」「ナチュラルなイメージにしたい」という願いを叶えるのにもってこいの素材だといえるでしょう。
モルタル壁のメリットとデメリットは?
次に、外壁にモルタルを使用することのメリットとデメリットを見てみましょう。
最初にメリットですが、サイディングのように金具や釘などで貼り付けるものではなく、吹き付けたりコテで伸ばしたりして塗っていくものです。
そのため、サイディングにあるようなつなぎ目が生まれないということです。
円柱のような湾曲したデザインの外壁も自在に造ることができるうえに、モルタルと一緒に混ぜるものによっては、色以外にも質感を変えることもできます。
それから、モルタルの外壁は金属ではないため、金属系サイディングのように表面が高温になることもありません。
さらに、耐火性が高く、職人の手で丁寧に造られていることから耐久性も高いといわれています。
一方で、ひび割れを起こしやすいことがデメリットといえるでしょう。
のちにお伝えしますが、ひび割れなどの穴や亀裂などをそのまま放置しておくと、雨水やホコリが入り込んでさらなる劣化を招くこともあるので避けたいところです。
また、築年数が経過することによって外壁を触ると白っぽい粉が手に付く「チョーキング現象」が起こったり、モルタルが剥がれてしまったりすることもあります。
ちなにみ、モルタルは押される力にはとても強いものの、引っ張られる力には弱いという特徴があります。
モルタル壁はどんなものがあるの?
モルタル壁を仕上げる方法は4つに分けることができるので、それぞれがどんなものであるのかをお話ししましょう。
●リシン
細かい粒のようにクラッシュした石とセメント・樹脂・接着剤などを混ぜて吹き付けたものです。
年代でいうと、1970年から1980年くらいの間の住宅に多く使用されていたものです。
●スタッコ
セメントに骨材となるものを混ぜ込んで吹き付けるものをスタッコといいます。
リシンよりも若干厚みがあるのが特徴で、重量感や高級な雰囲気の住宅にも用いられます。
●吹き付けタイル
リシンとスタッコの両方は、砂利やセメントを混ぜそれを吹き付けて行われましたが、吹付タイルはそういったものは混ぜません。
合成樹脂などの結合材や軽量骨材などが主に混ぜられているので、仕上がりが滑らかなのが特徴です。
タイルガンというものを使用して吹き付けます。
●左官仕上げ
これまでの方法は吹き付けによるものでしたが、左官仕上げはコテを使用して弧の形が残るように仕上げます。
そうすることによって、味わい深い仕上がりとなり、手作り感ややわらかなイメージを演出することができます。
次項からはモルタル壁の下地についてや、穴あけの方法をお伝えします。
穴をあける前に知っておこう!モルタル壁の下地はどうなってる?
モルタル壁に穴をあけるとなると、知っておきたいのが壁の下地に関してです。
一般的なモルタル壁を例に、下地がどのようになっているのかをご説明します。
まずは、一番下にあるのが「下地の板」になります。
下地の板は、数センチの幅の隙間がある木の板を、垂直や水平に打ち付けたものです。
そして、下地の板のうえに「防水紙」というアスファルトフェルトを専用のテープで接着させます。
防水紙があることによって水の侵入を防ぎつつ、モルタルのアルカリの性質によって起こりうる下地の板の劣化を防いでくれるといいます。
そして「防水紙」のうえにラス網という金属の網を張ります。
ラス網の種類は、波状のものや一部分がこぶ状に盛り上がったものなどさまざまなものがあり、防カビ加工が施されているものが殆どです。
ラス網は、モルタルのデメリットでもある引く力に弱いというところを補う役割もあるといいます。
ラス網のうえに、モルタルを吹き付けたり、コテで伸ばしたりして、モルタル壁が完成します。
モルタル壁に穴をあけるときは、このような下地を通って貫通させるということを踏まえておきましょう。
モルタル壁に穴をあけたい!それってどんなとき?
これまで、モルタルとはどういったものか、モルタル壁に穴をあけるとなったときのためにモルタル壁の下地の構造などをお話ししました。
それでは、モルタル壁に穴をあける必要があるのはどんなときなのでしょうか。
●インターネットのLANケーブルを入れるため
マイホームを建てるときは、インターネットを使用することを想定し、その際はどこからLANケーブルを通すかを考える方は多いです。
しかしマイホームの計画中は「インターネットはやらないから」と考えていたのにもかかわらず、急にインターネットをやるとなれば回線の引き込み工事が必要になることもあります。
インターネットの回線を住宅のなかに引き込む際は、エアコンの穴から行われることもありますが、場合によっては壁に穴をあけなければならないこともあるでしょう。
●防犯カメラなどを設置するため
防犯カメラの製品によっては、ワイヤレスでバッテリー内蔵のものもありますが、電源を確保するためにコンセントから電力を供給するものもあります。
エアコンの穴や通気口などを活用して通す方法もありますが、場合によっては壁に穴をあける必要が出てくることもあるでしょう。
どちらの場合も直径が3cm程度の穴で十分だといわれていますが、どのようにしてあけたらいいのでしょうか?
モルタル壁に穴をあけるときは何を使う?注意点は?
モルタル壁に3cm程度の穴をあけるとなったら、どのように行うのか、その際の注意点などもお伝えします。
最初に必要なものですが、ドリルドライバー・コンクリートドリル(直径5mm・10mm・20mm・30mm)・厚さ1cm×横30cm×縦30cm程度の板・軍手を用意します。
また、コンクリートドリルの長さは、壁の厚みよりも長いものを準備してください。
1人で行うよりも、2人で行う方がモルタル壁の損傷を最小限に抑えることができるので、今回は2人での作業でご説明します。
①まず、穴をあけたいところを覚えて置き、1人は室内に回ります。
②もう1人は、外側から木の板をモルタル壁の穴をあける部分にあてて押えておきます。
③ドリルドライバーにコンクリートドリルの直径5mmを装着し、内側から外で押えている木に向かって貫通させます。
このときに、しっかりと木の板でモルタル壁を押えておくと、必要なところ以外を壊してしまうのを最小限に抑えることができます。
④コンクリートドリルを直径10mmに変更し、室内側から最初にあけた穴を広げます。
このときも、外側から木の板でモルタル壁を押えましょう。
⑤直径20mmも30mmも同様に行います。
【注意】
穴あけが終わったあとは、雨水などの侵入を防ぐためにも必ずコーキングを必ず行ってください。
どこに何のコーキング剤を使用したらいいか分からないときは、変性シリコンを使用するのがおすすめです。
モルタル壁に穴はあけられる!
何かを理由にモルタル壁に穴をあけなけばならなくなることもあるでしょう。
しかし、手順や注意したいところを把握しておけば、自分で行うことも十分に可能です。
また、今回はモルタル壁の仕上げの種類に関してもお話ししたので、マイホームの外壁を決める際の参考にしていただければと思います。