家賃に滞納があると困りますよね。
そういった事態を予防するために、契約書で延滞金についての取り決めを記載している方も多いことでしょう。
しかし、いざ延滞金が発生して徴収すると、帳簿の上でどう仕訳すればいいのか悩んでしまうかもしれません。
そこでこの記事では、賃貸物件の延滞金に関する疑問についてお答えしていきます。
家賃の滞納対策に罰則を!延滞金にまつわるルールと仕訳!
賃貸経営をしていて困ってしまうトラブルに、入居者の家賃滞納があります。
毎月決まった日までに振り込まれるはずの家賃が振り込まれていないと不安になりますし、マネーフローに支障をきたす恐れもありますよね。
さらに、滞納が1ヶ月だけでも不安になるというのに、数ヶ月立て続けに滞納となれば不安の種が尽きず先が思いやられます。
そこで、家賃滞納の予防策として延滞金の設定をしている方も多いのではないでしょうか。
家賃を滞納すると延滞金が発生すると伝えておけば、借主側もルーズな気持ちが引き締まって、なるべく滞納を避けるように動いてくれると思います。
また、もし滞納があっても、その間の利子として延滞金を受け取ることができれば少しは気が晴れるというものです。
そこで、家賃の滞納に対する延滞金の設定の仕方や決まりについてお伝えしていきます。
加えて、以上のように罰則としての側面が強い延滞金ですから、実際に延滞金を受け取る機会があるかといえば少ないと言えるのではないでしょうか。
そのため、いざ延滞金を受け取った時に、毎月の家賃収入とどのように区別して扱えばいいのか困ってしまうこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、延滞金を帳簿に記載する時の仕訳についてもお伝えします。
貸主に厳しい?家賃収入仕訳のルール
家賃が滞納されてしまうと、貸主としては困ってしまいますよね。
毎月決まった日までに振り込まれるはずの家賃が振り込まれないと、収入が大きく削れますから、貸主の生活にも影響が出てしまうのではないでしょうか。
そのうえ、帳簿への記載や財産管理上でも面倒なことが発生してしまいます。
それは、家賃収入は税法上、家賃の滞納がある場合にも家賃が振り込まれたこととして売上や不動産所得として仕訳し計上しなければならないことに起因します。
実際に口座に家賃が振り込まれていないとしても、記録上は振り込みがあったとしなければならないのは、賃貸を運用するうえで非常に混乱してしまいますよね。
もし滞納された家賃を計上せずにいると、のちのち延滞税や加算税が課せられる恐れもあります。
管理が大変ではありますが、帳簿上は家賃収入があったこととし、別途延滞がある借主を記録しておきましょう。
こういった事態を避けるために、借主に注意喚起する目的で、家賃滞納をした場合には罰則として延滞金が設定されている旨を伝えておくという方もいらっしゃることでしょう。
そんな延滞金はどのように設定すればいいのか、次の項でお伝えしていきます。
家賃の滞納対策に罰則を!延滞金の額の決め方は?
家賃の滞納を牽制するために延滞金を設定している方もいらっしゃると思いますし、特に決めていない方もいることでしょう。
延滞金はどのように設定すればいいのでしょうか。
まず、契約書には延滞金に関する事項が記載されていなかったとしても、家賃の滞納が発生している場合には契約の不履行とみなされるため、延滞金の請求が認められています。
延滞金についての記載がない場合に請求できる金額は、法定利率である年5%として計算します。
また、契約書に延滞金についての記載がある場合には、記載されている額での延滞金を請求できます。
ただし、記載されている額が常識的でない場合にはそのまま請求はできません。
請求できる金額の上限の目安は年14.6%で、これは消費者契約法で定められている利率です。
なお、計算方法は以下のとおりです。
(請求する延滞金の額)=(家賃)×(利率の百分率)×(延滞日数)÷365(日)
もし家賃が6万円で利率が5%、延滞日数が3ヶ月(90日)だった場合の例は以下のようになります。
60,000×0.05×90÷365=740(円)
こうして請求した延滞金が振り込まれたら、適切な仕訳で記帳しましょう。
延滞金は帳簿の上での仕訳はどうなる?
賃貸物件を経営しているのであれば、家賃収入を帳簿につける際の仕訳については問題なく行えるものだと思います。
しかし、めったに振り込まれることのない延滞金は適切に処理できるでしょうか。
勘定科目はどうすればいいのか、いざ考えてみるとあまり想像がつかないと思います。
賃貸物件によって発生する収入ですから、売上や家賃収入として扱うのでしょうか。
それとも他の勘定科目で取り扱うのでしょうか。
きちんと記帳しないと確定申告で問題が発生してしまいますので、ここで正確なところを押さえておきましょう。
延滞金を仕訳する際の勘定科目は、雑収入となります。
家賃の延滞で発生したとはいえ、賃貸契約によって発生する家賃収入での請求とは違うものですから、同じ扱いにしてはいけません。
次の項では、より詳細に見ていきましょう。
家賃収入と延滞金の仕訳の仕方を詳しく!
家賃収入は、本業が不動産運用である場合には、仕訳の際に売上として計上します。
一方、もし会社の定款や開業届の業務内容に不動産運用についての記載がない場合には、売上ではなく受取家賃などの勘定科目で帳簿に記載します。
これは収入の元をはっきりさせるために必要な処理ですから、きちんと分けるようにしましょう。
同様に、本業はサラリーマンなどで、不動産はあくまで副業である場合には、家賃収入は不動産所得として記載します。
それでは、家賃収入ではなく家賃の滞納によって発生した延滞金は、どのように記載すればいいのでしょうか。
家賃の延滞金は少額であることが多く、かつ散発的に発生するものですから、雑収入としての計上で問題ありません。
延滞金請求の方法
最後に、家賃の滞納で発生した延滞金を請求する際には、どのような手続きを踏めばいいのでしょうか。
基本的に、定められた家賃振込日を1日でも過ぎれば延滞金を請求することが可能です。
しかし、2~3日の延滞で延滞金を請求する方はあまりいらっしゃらないかもしれませんね。
家賃を滞納されてしまったと強く感じるのは、家賃振込がないまま翌月を迎えてしまった場合か、あるいは1ヶ月以上入金がなかった場合がほとんどかと思います。
そしてこういった場合には、延滞されている家賃に加えて延滞料金を請求することになるでしょう。
まずは、借主に電話などで家賃が振り込まれていない旨を伝えましょう。
大体の場合はここで振込があり、問題は解決すると思います。
しかし、もしそれでも支払いがない場合には、内容証明郵便で正式な請求書を送付しましょう。
請求書では滞っている家賃と滞納金について触れて、もし支払いがない場合には法的手続きをとる旨も記載しておくと、ことの重大さが伝わります。
それでも振込がない場合には、連帯保証人にも内容証明郵便で請求書を送付します。
こうして振り込まれた家賃や延滞金は、適切な仕訳で記帳しましょう。
しかし、もしそれでも振込がない場合には、裁判や賃貸契約の解除などの強固な手段に頼るしかありません。
家賃滞納で発生した延滞金!仕訳の時は雑収入で!
家賃が滞納されてしまった時に請求する延滞金は、仕訳の時の勘定科目に悩んでしまうかもしれません。
家賃は売上や受取家賃として仕訳しますが、一方で延滞金に関しては雑収入として扱います。
これは、賃貸契約によって発生した収入ではなく、臨時的な少額の収入であるからです。
取扱いを間違えないように気をつけましょう。