窓に取り付けられていることが多い、レバーを半回転させて施錠するタイプのカギをクレセント錠と呼びます。
一見簡単な構造に見えるクレセント錠ですが、緩みやガタつきなどの不調が見られる場合、自分で調整することはできるのでしょうか。
この記事では、クレセント錠に発生するトラブルの対策や調整方法をお伝えしていきます。
窓のカギ『クレセント錠』
皆さんはクレセント錠という名前を聞いたことがありますか?
クレセント錠とは、レバーの付いた半円型の金具で、窓を開閉できないようにロックするために使われるものです。
クレセント(crescent)は三日月を意味する英語なので、名前からもなんとなく形状が想像できるかもしれませんね。
近年使われているサッシには、だいたいクレセント錠が取り付けられていると思います。
そんなクレセント錠ですが、窓の開閉を重ねるごとに動きが悪くなってきたり緩んでガタツキが見え始めたりと、何らかの不調が現れることがあります。
もしクレセント錠の調子が悪くなった場合、自分で直すことはできるのでしょうか。
この記事では、クレセント錠にまつわる不調やトラブルの解決方法や調整方法についてお伝えしていきます。
窓のクレセント錠が緩いorきつい!位置の調整方法は?
クレセント錠によくあるトラブルとして、開閉があまりにも緩かったり、逆にきつすぎたりすることが挙げられます。
こういった場合、クレセント錠本体と受け金具の位置が合っていない可能性があります。
適切な締め付けでないと窓が密閉されなかったり開閉する時に力が必要になってしまいますので、自分で調整してみましょう。
必要なものはプラスドライバー一本だけです。
まず、受け金具側の調整をしましょう。
受け金具は根元のネジで固定されているため、これらを緩めると受け金具の長さ位置を調整することができます。
開閉がゆるい場合には受け金具を短く、きつい場合には長く出るようにして、再びネジを締め直して固定してください。
続いて、クレセント錠本体の位置調整をします。
クレセント錠のサイド面にネジがあると思いますので、これらを緩めて位置調整してから、再度しっかりと締め直しましょう。
もしネジが見つからない場合は、クレセント錠に化粧カバーがかぶせてあります。
マイナスドライバー等の平たいものでこじって外せば、中にネジがあります。
以上の作業を通しての注意点としては、ネジは緩めるだけで完全に外してしまわない、ということがあります。
ネジはサッシの裏側に入っている受け金具と締結されているため、ネジを完全に外してしまうと受け金具が落下してしまい、再度締め付けることが難しくなってしまいます。
窓のクレセント錠の滑りが悪い時は?潤滑剤で調整しよう
クレセント錠の滑りが悪くて、鍵を締める時にギチギチと押し込まなくてはならない状態になっていることがあります。
力もいりますし、キーキーと甲高い音がなって不快に感じるかもしれませんね。
こういった場合には、クレセント錠の半月部分と受け金具に潤滑材を塗布して調整しましょう。
クレセント錠におすすめの潤滑剤は、浸透潤滑剤やシリコンスプレーです。
浸透潤滑剤は、錆びたり固着してしまったネジを外せるようにする時に使われる薬剤で、スプレー缶で販売されていることが多いです。
摩擦を生み出すクレセント錠表面のサビを落としてすべりを良くしたり、オイルによる潤滑効果が期待できます。
ただし、効果がそれほど長続きしないのが難点です。
使用する場合には、有機溶剤の使われていない無香性タイプを選びましょう。
有機溶剤が含まれているとガラスのパッキンを腐食してしまうため、窓ガラス自体の寿命を縮める結果になってしまいます。
一方、シリコンスプレーは鍵穴の滑りを良くするために使われることが多い薬剤です。
塗布した表面にシリコン塗膜を作ることで、摩擦の少ない表面に変えます。
オイル系と異なりベタつかないので、うっかり触ってしまって不快になることも少ないです。
窓にあるクレセント錠がカタカタする場合の調整方法は?
クレセント錠に年季が入ってくると、レバーが上下どちらかの位置でバッチリ決まらず、カタカタとフリーに動いてしまうことがあります。
それだけならば鍵を締める上でそれほどの問題はありません。
しかし、レバーが中途半端な位置のまま窓を開閉してしまうと、受け金具にぶつかって破損する恐れがあります。
そこで破損防止のために、レバーのバネの調整を行ってみましょう。
バネを確認するためには、クレセント錠を一旦外す必要があります。
しかし、先程も説明しましたが、ネジを完全に外してしまうとサッシの裏側にある受け金具が落下してしまって再度取り付けることが困難になります。
そこで、まずは片側のネジだけ外し、クレセント錠をネジ穴からずらして、ネジと受け金具だけで再度固定します。
その状態でもう片方のネジを外せば、受け金具が落下することを防いでクレセント錠を外すことができます。
クレセント錠本体を取り外して裏面を見ると、大きくて平たいレバーと連結している回転部がある他に、細長い引きバネか、平たいねじりバネが入っていると思います。
これらが外れていた場合には、本来の位置に取り付け直せば解決します。
もしバネが切れていた場合には、ホームセンターのバネコーナーで適切なバネを購入して取り付けましょう。
クレセント錠の交換方法!
窓のクレセント錠が古くなっていて、調整しても継続して使うことが難しそうであれば、新しいクレセント錠への交換を考えてみましょう。
クレセント錠を交換する時には、あらかじめ取り替え先の新しいクレセント錠を探す必要があります。
基本的には、これまで使用していたクレセント錠と同じものに替えるのがおすすめです。
しかし、クレセント錠の経年劣化が原因で交換する場合には、すでに同じ型番のものは廃盤になっているかもしれません。
そこで重要になるのが、「ビスピッチ」「高さ」「引き寄せ寸法」の3つの寸法です。
ビスピッチは、取り付けに使用しているネジとネジの間隔です。
ネジの中心とネジの中心の間の距離を測りましょう。
高さは、サッシからクレセント錠の半月状の部分の立ち上がっているへりまでの距離です。
そして、引き寄せ寸法は、クレセント錠のレバーの回転軸から半月状の部分のヘリまでの半径です。
これらの寸法を計測したら、合致する「万能クレセント錠」をホームセンターなどで探して購入しましょう。
替えのクレセント錠を入手できたら、前項で説明した方法で裏受け金具を落とさないようクレセント錠を取り外して、交換しましょう。
交換が終わったら、クレセント錠と受け金具の位置を微調整してください。
窓の防犯を考える!クレセント錠では不安?
クレセント錠は「錠」という漢字が名前に使われているため、鍵だと思われがちです。
しかし、厳密には鍵ではなく、窓を閉めた状態で固定する閂のようなものです。
したがって、防犯性能はそれほど高くありません。
実際に、空き巣などの被害にあった家への主な侵入経路は窓であり、それほど簡単に開けられてしまうものなのです。
このことを聞いて、防犯上の不安を感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで対策としては、鍵付きクレセント錠への交換という方法があります。
鍵付きクレセント錠は、専用の鍵やダイヤルロックを合わせないと開くことができないクレセント錠で、空き巣の常套手段が使えないことから被害に遭いにくいようです。
先程お伝えしたクレセント錠の交換と調整方法を参考に、交換してみてください。
また、窓枠へのファスナーロックの取り付けも効果的です。
窓のカギ「クレセント錠」は自分で調整できる!
この記事では、窓についているクレセント錠のトラブルについて、自分で調整する方法をお伝えしてきました。
シンプルな構造ですから、ドライバー一本で調整が可能ですよ。
クレセント錠のガタつきや硬さ、ゆるさが気になる場合には、調整にチャレンジしてみてください。
一方、クレセント錠は簡単な構造ゆえに、空き巣の侵入を許してしまうことがあります。
防犯意識の高い方は、鍵付きクレセント錠への交換も考えてみてくださいね。