賃貸物件に住むにあたって気になるのが、防音性についてです。
たくさんの人が住む賃貸物件では、音による近隣トラブルが起こりやすいので注意が必要です。
そこで重要になるのが、賃貸物件の構造についてです。
木造か鉄筋かでも防音性に違いがありますので、それぞれの特徴を知り、防音性についても考えていきましょう。
賃貸物件ではどんなトラブルが起きるの?
賃貸物件には不特定対数の人が住んでいます。
そのため、ささいなことから大きな隣人トラブルに発展することも少なくありません。
隣人トラブルに発展しやすいことには、どんなものがあるのでしょうか。
まず挙げられるのが、他人を顧みず、自分勝手な行動を続けることで起こるトラブルです。
共用部分である廊下や階段にゴミを放置したり、ゴミ出しの時間や曜日を守らなかったりと、一般常識として守らなければならない決まりを破っていれば、近隣住民は良い気持ちではいられません。
また、ニオイも隣人トラブルの原因となることが多いです。
人によって不快と感じるニオイは違いますが、空気を介して伝わってしまうニオイは完全に防ぐのは難しいと言えます。
とくに、タバコのニオイは洗濯物に移りやすいので、吸う場所には気を付けなければなりません。
そして、音による隣人トラブルも多く見られます。
話し声や足音、電化製品などの生活音は、抑えることはできてもすべて遮ることはできません。
ただ、この音に関しては、賃貸物件が木造なのか鉄筋なのかによっても伝わり方が違うようです。
音が伝わりやすい?木造の賃貸物件の特徴
木造と鉄筋の音の伝わり方を知るために、まずは木造の賃貸物件の特徴についてお話ししていきましょう。
木造は、別名『W(Wood)造』とも呼ばれます。
建物の多くの場所に木材を使用しており、賃貸物件でも多く見られる構造です。
木材は日本で多く流通しており、建築コストも抑えられるため、家賃も低めに設定されているところが多いです。
また、季節によって湿度に変化がある日本では、通気性の良い木材が適していると言えるでしょう。
ただ、木材の通気性の良さは、音を防ぐことに対しては逆効果となります。
なぜなら、空気とともに音も通してしまうのです。
それに加えて、木材は湿気を吸って収縮する働きがあるため、接合部分に隙間が生じ、そこから音が伝わってしまうこともあります。
このことから、木造の賃貸物件では防音性において劣ると言って良いでしょう。
防音性はある?鉄筋の賃貸物件の特徴
木造に続いて、次は鉄筋の賃貸物件の特徴についてお話しします。
鉄筋は、別名『RC(Reinforced Concrete)造』と呼びます。
鉄筋とコンクリートという強度のある素材を組み合わせることで、高い耐久性を実現しています。
これは、地震や家事などの災害に対しても、被害を抑えられるというメリットに繋がります。
そのため、賃貸物件で加入することになる火災保険も木造に比べて低いようです。
ただ、建築費用が木造に比べると高額になるので、家賃もその分高めに設定されていることが多いです。
この鉄筋による建築ですが、コンクリートを流し込んで固めるため、隙間ができず厚みもでます。
そのおかげで、高い気密性を保持できるのです。
気密性とは、空気や音が漏れるような隙間がないことを指します。
このことから、鉄筋の賃貸物件は、防音性に優れているということが言えるでしょう。
木造の賃貸物件がすべて防音性が低いとは限らない!
ここまでのお話で、木造と鉄筋のどちらが防音性に優れているかお分かりいただけたでしょうか。
木造と鉄筋に使われている素材の持つ働きの違いでいうと、鉄筋の方が防音性が高いと言えるでしょう。
ただ、「木造の賃貸物件は音が漏れやすい」と単純に決めつけることはできません。
たしかに、昔ながらの工法でつくられた木造の賃貸物件は防音性が低いことが多いでしょう。
しかし、現在では建築工法の技術も上がり、使われる木材も防音性に優れた加工が施されているものも多く出回っています。
また、音が伝わりやすい壁や床などには吸音材や防音材を使うことで、木造の持つデメリットを最小限まで抑えた賃貸物件も多く見られるようになりました。
木造でも防音性が高い賃貸物件はあります。
とはいえ、外観や内装を見るだけでは、防音性が高いかどうかを判断することは難しいでしょう。
そのようなときは、不動産会社などに問い合わせて、その物件が十分な防音対策を行っているかを確認してみてください。
賃貸物件のなかには、「高い防音性を持つ木造賃貸物件」ということを、アピールポイントにしていることもあります。
木造の賃貸物件に入居してから騒音トラブルに悩まされることのないよう、防音性についてしっかりと確認を取っておきましょう。
鉄筋の賃貸物件でも防音性が低い可能性がある!?
木造の賃貸物件と言えども、防音性が高いケースはあります。
逆に、鉄筋の賃貸物件だとしても、防音性が低いケースも考えられます。
たとえば、壁や床などの厚さが足りない場合です。
上下左右からの音を遮るためには、十分な厚さのコンクリート材が必要です。
しかし、物件によっては建築費用を抑えるために十分な量のコンクリートが使われておらず、壁や床の防音性が低くなっている場合があるのです。
その部屋の防音性を確認するためには、音の反響を確かめてみましょう。
まず、部屋の中央に立って、手を叩いてみてください。
壁に反響した音が耳で確認できるようでしたら、防音性が高いと言えるでしょう。
もし、このときに音の反響を感じられない場合は、壁を通して隣室まで音が漏れていることが考えられます。
次に、壁を直接叩いてみましょう。
音が軽く感じられるようなら、壁の厚みが十分ではないかもしれません。
鉄筋だからと言って防音性が高いと信じ込まずに、実際に自分の耳や感覚で確認することも大切です。
木造でも鉄筋でも間取りや位置によって防音性は変わる!
防音性の高さは、木造より鉄筋の方が上だと一概には言えません。
木造であっても防音性が高い物件はありますし、逆に、鉄筋にもかかわらず防音性が低い物件の可能性もあります。
そのため、木造か鉄筋かだけでなく、部屋の間取りや位置にも着目すると、より防音性の高い賃貸物件を選びやすくなるでしょう。
まず間取りに関しては、部屋同士が壁一枚隔てて直接隣り合っていないほうが、防音性は高いと言えます。
隣室との境にクローゼットがあったり、キッチンなどの水回りがあったりすると、音漏れが気になりにくくなるようです。
そして、部屋そのものの位置も防音性に影響を与えます。
やはり、角部屋や最上階は騒音によるトラブルは起きにくいようです。
音を発生させる当事者が少なくなるので、それだけ騒音トラブルを抑えることができるのですね。
木造や鉄筋の構造と併せて、間取りや位置なども考えると、より高い防音性を手に入れられるはずです。
木造と鉄筋の構造と併せて自分の目と耳でも音について確認しよう!
一般的に防音性が低いと言われている木造であっても、十分な防音対策を施していれば、音の漏れは気になりません。
また、防音性が高い鉄筋だとしても、施工しだいで防音に対する効果は変わります。
木造と鉄筋のどちらが防音性に優れているかを断言することは難しいです。
そのため、不動産会社からの情報や、自分で直接出向いて得た情報も取り入れながら、防音性の高い賃貸物件選びを行いましょう。
音の気にならない賃貸生活を送るために、この記事を参考にしてみてください。