家庭でインターネットを利用することが当たり前の昨今、家族がそれぞれの部屋で回線を利用したい場合、どうしたらよいのでしょう。
Wi-Fiルーターを設置すれば、無線lanで家中Wi-Fi環境にすることはできます。
しかし、すべての部屋でもっと快適な通信速度を実現したいという場合、lanコンセントを増設するという方法があります。
しかも空配線があれば、自分でDIYできるので、その方法を紹介していきましょう。
安定した有線lan通信のためにはlanコンセントの増設が必要
インターネットが普及し、情報収集やオンラインゲーム、音楽を聴く、動画を見るなど、あらゆることにインターネットが使われています。
ところで、インターネットの回線を利用するためには、基本的にはパソコンやテレビ、ゲーム機などの通信機器を回線につながなければなりません。
その方法には2種類あり、ルーターと通信機器をケーブルでつなぐ有線lanと、Wi-Fiなどの無線lanルーターを利用した無線lanです。
どこでもインターネットができて便利なのはもちろん無線lanですが、実は欠点もあります。
それは、一度に多数の通信機器を利用すると、電波が干渉して通信速度が遅くなってしまうという点です。
有線lanの場合は、互いに干渉することがないため、それぞれがより快適にゲームや映像など、情報量の多いコンテンツを楽しむことができます。
しかし、賃貸マンションなどでは、有線lanのためにlanコンセントを勝手に造作したり、増設するわけにはいきません。
まずは、大家さんや管理会社などに許可を得ることが先決です。
そして、物件にとって有益と判断されれば許可がもらえますが、その際も、自分で費用を払って業者に工事を依頼しなければならないでしょう。
空配管を設置しておけば、DIYでlanコンセントが増設できる
一方、一軒家を購入するような場合は、あらかじめ各部屋にlanコンセントを作っておいてもらうことができます。
夫婦だけの場合は、全部の部屋に必要ではないかもしれませんが、後々子供が生まれて成長した場合、必要になるでしょう。
ただし、その分オプションで追加料金がかかってくるかもしれません。
そこで、今すぐ必要がない場合は、空配管を作っておいてもらえば、後で必要になった場合、自分でDIYすることもできます。
ケーブルを通さない空配管ぐらいなら、業者もサービスの範囲内でやってくれる可能性が高いでしょう。
そして、いざlanコンセントを増設しようというときに、その空配管にケーブルを通せば、業者に頼むよりお得に増設できるというわけです。
ちなみに、配管から業者に依頼する場合は、安くても1箇所につき15,000円~20,000円程度かかります。
配管さえあれば、実はlanコンセントの増設はさほど難しいことではありません。
DIYも十分に可能です。
次に、その方法を順を追って解説していきますので、参考にしていただければと思います。
空配管を使ってlanコンセントを増設する手順
ところで、普通に生活している分には配管を目にすることがありません。
なぜなら、壁や天井裏、または床下などを通っているからです。
しかし、コンセントの向こうには、電気やテレビ、電話などの配管が通っていて、外部の供給源から部屋の中までつながっています。
そのおかげで、プラグをコンセントに差し込むだけで電気が使え、電話もつながるのです。
この配管を自分で造作するとなると、いわずもがな、とんでもない大仕事になりますね。
そこで、将来を見越して空配管を各部屋に通しておいてもらうのです。
ちなみに、CD管と呼ばれる室内用の配管は、オレンジ色とJIS規格で決められています。
lanコンセントの増設の最初の手順は、まず増設したい部屋のコンセントのカバーを取り外し、オレンジの空配管に通線ワイヤーを入れます。
その片端をインターネット回線のルーターのある部屋の配管まで通し、ワイヤーに市販のlanケーブルをテープなどで固定します。
そして、増設したい部屋から通線ワイヤーを引っ張ることで、配管を通して増設したい部屋までlanケーブルを通すことができます。
ただ、配管の口径とlanケーブルの太さに注意しておかなければなりません。
ルーター側には複数の部屋からのlanケーブルが集まってくるため、何本までなら通せるか事前にチェックしておくべきでしょう。
また、配管にlanケーブルが詰まらないよう、シリコンスプレーなどで滑りをよくしてから作業しましょう。
lanコンセントにモジュラージャックを埋め込む方法
ルーターのある部屋から増設したい部屋まで、配管の中をlanケーブルが通れば、あとは両端を仕舞いするだけです。
まずはルーターのある部屋のlanコンセントを複数のモジュラージャック(差し込み口)のものに取り換え、その一つに増設したい部屋からのlanケーブルを圧着しましょう。
今回は、特別な器具がなくても圧着できるタイプのDIYに便利なモジュラージャックで解説します。
まずはlanケーブルを覆っている被覆を、5センチほどナイフなどではがします。
次に、中から出てきた色の違う4組の芯線のよじれをほどき、8本に分けて真っ直ぐに伸ばします。
そして、コンセントに埋め込むモジュラージャックのカバーを開き、被覆をはがしていないケーブルの先端部を真ん中の太いスリットにはめ込みます。
あとは、モジュラージャックにある色の指示に対応するように、芯線を太いスリットの左右各4個の細いスリットにはめ込みます。
はめ込んだ後は、先ほどはずしたモジュラージャックのカバーを使って、カチッと音がするまで各スリットに奥まで線を押し込みます。
余った芯線はニッパーでカットし、これにもう一度カバーを被せてモジュラージャックは完成です。
次に、取付枠にモジュラージャック本体をはめ込み、これを壁の開口部にまたはめ込んでビスで固定します。
その上から、カバーベースをビスで取り付け、水平を確認してからコンセントカバーを被せればできあがりです。
lanコンセントの増設はDIYなら安くできる
lanコンセントを増設したい部屋側も同じ要領で、lanケーブルにモジュラージャックを取り付け、コンセントに埋め込めば工事はすべて完了となります。
あとは増設したlanコンセントにパソコンなどのケーブルを差し込めば、快適な有線lan環境のできあがりです。
注意することは、被覆を切る際に芯線を傷つけないことと、モジュラージャックで指定された色のところに対応する芯線をはめこむことぐらいでしょう。
DIYの費用としては、一般工具を別にすると、通電ワイヤーと材料費のみです。
通電ワイヤーは30メートル長で2,000円弱くらいからですが、ひとつあれば何度でも使用できます。
lanケーブル代は性能や使用する長さによって変わりますが、性能はカテゴリー6で必要十分、価格は安くて10メートル600円くらいからです。
また、先のモジュラージャックは1,200円前後ですが、普通のモジュラージャックであればもう少し安く入手できます。
ただし工具が別売りだと、結局同じくらいはかかるでしょう。
そして取付枠は50円前後、コンセントカバー類は1,000円くらいから上は8,000円くらいまでとさまざまです。
予算に合わせて購入していただければよいのですが、lanケーブルを10メートル使用して最安値でやるとすると、3000円弱で増設できますね。
lanコンセントのメリットは配線が見えずスマートであること
有線lanを使って快適なインターネット環境を実現するために、各部屋にlanコンセントを増設する方法を解説してきました。
空配管があるという前提の工事ですが、意外とできそうな気がしませんか?
もちろん、lanコンセントを増設しなくても、ルーターから各部屋に長いケーブルを引っ張っていけば有線lan環境自体は成立します。
この方法ですと、工具もテクニックも必要ありません。
しかし、あまりにも長いケーブルが家の中をくねくねと走っていると見苦しく、足を引っかけでもしようものなら、断線しかねません。
配線を保護するモールなどでカバーしたとしても、見た目がスッキリするわけでもありません。
かえってモールの接着剤などがはがれて、汚くなってしまったり、モールにつまずく可能性もあります。
そこで、最新のオフィスのごとく、壁の中にケーブルを通す方法をご紹介しました。
ちょっとこだわるあなたは、見た目もきれいで快適な部屋と、サクサク動くlan環境実現のために、頑張ってみてはいかがでしょうか。
lanコンセント増設工事は安全に注意して行おう
最後に、電気工事などと違い、lanコンセントの増設工事は、実は資格などは必要ありません。
おそらく感電する危険性がないためでしょう。
したがって、自分でDIYしている人も多いようです。
ただ、コンセントのカバーを外したりした場合、隣接の電気コンセントの配線などには触れないように注意が必要です。
念のためブレーカーを落としておくなどして、安全に配慮して作業するようにしてください。