床面積にバルコニーは含まれる?屋根・柱・壁の有無が重要!

これから家を建てる方、あるいはリフォームする方の中には、バルコニーの設置を考えている方もいることでしょう。

そのような方にとっては、バルコニーが床面積に含まれるかどうかは大切な事柄になります。

今回は、「不動産登記法」と「建築基準法」の2つの視点からバルコニーの床面積について考えていきます。

バルコニーの床面積を求めるときに重要なポイントとなる、屋根・柱・壁の存在にも焦点をあててお話ししますので、そちらも参考にしてみてください。

床面積を求める理由は?不動産登記法から考える

バルコニーが床面積に含まれるか否かについてお話しする前に、まず床面積を求めることがなぜ必要なのかについて知っておきましょう。

床面積は、その名の通り建物における床の面積のことを指します。

この床面積は、二つの法律によって意味合いが少し変わってきます。

一つが不動産登記法から見た床面積です。

建物を建てる、またはリフォームによって建物に変化があった場合は、それに応じて登記を行わなければなりません。

その登記には、床面積の情報も含まれます。

登記を行うことで、土地やその土地に建てられている建物の状況を誰もが把握できる状態になるのです。

これは、住宅ローンや税金などにも関わってくることなので、とても重要な事柄です。

ちなみに、不動産登記において、一戸建てであれば各階の壁、あるいは柱の中心線を結んだときの面積が床面積ですが、マンションなどは壁の内側を計測した面積が床面積となるので、その点は頭に入れておきましょう。

床面積に関わるもう一つの法律については次項でお話しします。

建築基準法から見た床面積とは?

二つの法律から見た床面積のうち、もう一つが建築基準法から見た床面積です。

建築基準法では、建ぺい率や容積率から、敷地に建てられる建物の大きさや広さが決まります。

建ぺい率とは、敷地面積にどの程度の建物を建てられるかの割合のことです。

容積率は、敷地面積に対する床面積の割合のことを指しています。

このときの床面積は延べ床面積と呼ばれ、2階建ての建物であれば、1階と2階の床面積を足したものが値として考えらえます。

建ぺい率や容積率の値によっては、希望している建物を建てられない可能性が出てくるため、床面積の値がとても大切になります。

これらのことから、バルコニーが床面積に含まれるかということがなぜ重要なのかがお分かりいただけたのではないでしょうか。

状況によっては、支払う税金が増えたり、バルコニーの設置が難しいケースも出てきたりするので、注意しなければなりません。

とくに、バルコニーの場合、屋根・柱・壁がついているかが床面積に大きな影響を与えます。

バルコニーの定義とは?屋根・柱・壁の存在は?

建物におけるバルコニーとはどのような形状のものを指すのでしょうか。

バルコニーと聞くと、なんだか贅沢なスペースのように感じますよね。

洗濯物を干すだけではなく、イスやテーブルを置いたくつろぎのスペースとしても使われるようなイメージです。

そのバルコニーの定義は、建物の2階以上の部分に、壁からせり出した形状の台床が造られ、そこに手すりが付けられたもののことを指します。

バルコニーと呼ばれる設備には、一般的に屋根は付いていません。

ここが、バルコニーと似た形状であるベランダとの大きな違いです。

ただし、例外的に、屋根や柱、壁がバルコニーに設けられているケースがあります。

屋根・柱・壁の有無によっては、床面積も変化するので注意しなければなりません。

とくにバルコニーは、ベランダなどに比べるとスペースが広くとられていることが多いので、床面積への影響も大きなものになるでしょう。

不動産登記法ではバルコニーは床面積に含まれない?

ここまで、床面積を求める理由とバルコニーの定義についてお話ししてきました。

それでは、実際にはバルコニーは床面積に含まれるのでしょうか。

この問題も、先述した2つの法律で見方が変わります。

まず、不動産登記法で考えたときのバルコニーですが、この場合は床面積としては含まれません。

なぜなら、バルコニーは外気分断性がないと判断されるからです。

外気分断性とは、外気の流入が断たれているということです。

そのため、外気を遮るような壁があるかということが判断材料の一つとなります。

一般的なバルコニーであれば、屋根や柱、壁などがついていないため、外気分断性がないと言えます。

そのため、バルコニーを床面積に含む必要がありません。

ただ、例外として、バルコニーの四方に風雨除けとして開閉式のシェードや扉がついている場合は、外気分断性があると判断される可能性が考えられるので注意してください。

もちろん、屋根や柱、壁でバルコニーの四方を囲んでいる場合も同じです。

不動産登記は申請のために書類や図面などの提出を行い、それを法務局が審査します。

「せっかく書類や図面を作成したのに、バルコニーの判定基準によって一からやり直すはめになった」ということのないように、不安な点がある場合は法務局で確認しておくと良いでしょう。

屋根・柱・壁の有無で変わる?建築基準法で考えるバルコニーの床面積

次に、建築基準法においてバルコニーが床面積に含まれるかということについてお話ししましょう。

もし、バルコニーに屋根や柱、壁などが何もなく、手すりから上の部分がすべて解放されているのであれば、せり出し幅が2メートル以内におさまっている場合に限り、床面積からは除外されます。

しかし、バルコニーに屋根がついており、片側一方向に柱や壁がついている場合は、床面積からの除外は一定の条件をクリアする必要が出てきます。

その条件は以下のようなものになります。

・手すりから屋根までが、1.1メートル以上の高さがある
・手すりから屋根までが、バルコニーの床から屋根までの高さの半分以上ある
・バルコニーのせり出し幅が2メートル以下

この条件を満たせば、バルコニーは床面積に含まれることはありません。

また、地域によっても違うのですが、せり出し幅2メートル以下のバルコニーで、屋根がそのバルコニーの半分以下の幅であれば、床面積から除外されるケースもあるようです。

この点については、地域性がありますので、その地域に定められた条例を確認する必要があるでしょう。

バルコニーに屋根・柱・壁がついている、ついていないに関わらず、せり出し幅が2メートルを超える部分は床面積に含まれますので、注意してください。

バルコニーが屋根・柱・壁で囲まれているときの床面積はどうなる?

前章では、バルコニーに屋根・柱・壁がない、あるいは片側一方向にだけついているときのケースについてお話しをしました。

それでは、バルコニーの周りがすべて屋根・柱・壁で囲まれている場合、床面積はどうなるのでしょう。

この場合、不動産登記法上では、法務局による判断が大きいというお話しをしました。

不動産登記法では外気分断性が床面積に大きく関わるため、屋根や柱、壁で守られたバルコニーは判断が難しい部分があるのです。

一方、建築基準法では、このケースにおいても上記でご紹介した条件が当てはまります。

バルコニーの手すりから屋根までが1.1メートル以上で、その高さが床から屋根までの半分以上であれば、2メートルの範囲に限り床面積には含まれません。

ただ、2メートルを超える部分は床面積の一部になるということは忘れないでください。

バルコニーのつくりが床面積に影響する!

バルコニーが床面積に含まれるかどうかは、屋根や柱、壁など、バルコニーのつくりによって左右されます。

また、不動産登記法と建築基準法によっても扱われ方が変わるので、状況によって床面積に対する考え方を変化させる必要があるでしょう。

バルコニーはバーベキューや家庭菜園など、私たちの生活を潤わせてくれるのにうってつけのスペースです。

この記事を、理想のバルコニーづくりの参考にしていただければ幸いです。