アパートや賃貸マンションに住んでいると、家賃だけでなく「更新料」がかかる時期があります。
契約の更新は、賃貸物件に住み続けるために必要な手続きですが、更新料は金額も大きいため、払うことに疑問をもったり躊躇したりする人も多くいるようです。
それでは更新料とはそもそもどういったものなのでしょう?
また、更新料の支払いは交渉できるものなのでしょうか?
こちらでは、賃貸物件の「更新料」ついて詳しくご説明していきます。
アパートなどの賃貸物件の「更新料」とは一体どういうもの?
更新料は、賃貸契約の期間を更新するときにかかる料金です。
賃貸契約は、2年間の期限で結ばれることが多く、そのため更新時期は2年に1度おとずれるのが一般的です。
同じ物件に住み続けるためには、2年毎に契約更新の手続きと更新料の支払いを行うことになります。
更新料は、元々、契約を更新する際に行われていたお礼の名残りといわれています。
「今後ともよろしくお願いします」という意味をこめて、昔から貸主にお礼を支払う習慣が続いてきたようです。
法的には明確な記載はありませんが、ある最高裁の判例では、更新料について次のように定義しています。
「更新料とは、賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む複合的なもの」という認識です。
では、この更新料の現代での相場は、おおよそいくら位なのでしょう?
最近の更新料の額では、一般的には「月額の家賃の1か月~2か月分」が多いようです。
例えば家賃が6万円のアパートにお住まいなら、更新料は6万円か12万円ということになります。
決して安い金額ではありませんよね。
この更新料は、どうしても払わないといけないものなのでしょうか?
また、払わないと一体どうなるのでしょうか?
更新料の義務や交渉の有無などについて、次項から詳しくお話ししていきます。
更新料は払う義務がある?
更新料は、払う義務があるものなのでしょうか?
賃貸借に関するルールを定めた法律として、平成3年に施行された「借地借家法」があります。
この借地借家法には、実は更新料支払義務の明記はありません。
法的には明確な記載がないため「賃貸契約の更新時には必ず更新料を払わなければならない、支払義務がある」というのは誤解といえます。
しかし結論として、更新料は基本的に支払わなければならないことが多いです。
なぜなら、アパートなどの物件を賃貸契約する際に交わす「賃貸借契約書」に、更新料の支払い条件が記載されている事が多いためです。
賃貸借契約書に、具体的に更新料に関する記載がされている場合は、契約時に更新料について同意していることになるので、支払い義務があるということになります。
また、次のような条件が満たされていたため、更新料が合法と判断されたケースがあります。
・月額賃料に照らし合わせて金額が妥当である
・金額や期間など更新料に関する条件が、賃貸借契約書にきちんと明記されている
この判例の最高裁の判決では、1年で月額賃料2か月分の更新料が有効となりました。
借地借家法には明記されていませんが、消費者契約法にならってきちんと契約書を交わしていれば、多少高額であっても妥当な金額ならば更新料は有効となるのです。
このようなことから、更新料を支払わないことは契約違反となる恐れがあり、交渉は難しいといえます。
もう同じアパートには住めない?もし更新料を支払わなかったらどうなる?
もし、更新料を支払わなかったらどうなるのでしょう?
更新料を支払わないということは、賃貸借契約の内容に違反することのになるので、貸主から立ち退きを言い渡されてもおかしくない状況です。
さらに、支払いに関する訴訟を起こされても仕方ないと言えるかもしれません。
こう考えると、更新料を支払わなければ、もう同じアパートに住み続けることはできないのかと思ってしまいますよね。
ただ実際には、借人が違約してしまっていても、立ち退きさせられることはあまりないのが現状です。
借地借家法は、借人を保護する要素が強く、それを基にして作られている賃貸借契約書も借人を保護するように制定されています。
これは、貸主よりも、人が生活していく上で必要な「住む家」を追われる借主の方が、被る不利益が大きいと判断されているためです。
更新料を支払わないことで、立ち退き請求や訴訟を起こされることもあるかもしれませんが、実際に実行にいたることは少ないといえるでしょう。
しかし、アパートなど賃貸物件を借りる際に賃貸借契約書で契約を交わした以上、更新料を支払わないのは契約違反です。
どうしても、支払いが難しい場合や少しでも金額を抑えて欲しい場合は、貸主に交渉してみましょう。
アパートなどの更新料は値下げ交渉できる?
アパートの更新料は、実際に金額交渉できるものなのでしょうか?
基本的には、更新料の値下げ交渉が成功する可能性はとても低いようです。
賃貸契約を結んだときの賃貸借契約書に、更新料の金額が提示されている場合がほとんどだからです。
しかし、更新料は決して安いものでないため、支払いが困難な場合があるのも事実です。
前に、更新料の相場について書きましたが、更新料の相場には、地域性も関係しているといわれます。
関東では賃料の1か月分が一般的ですが、京都などでは賃料の2~3か月分の場合も珍しくないようです。
逆に、大阪や名古屋では更新料がないケースのほうが多いともいわれています。
近年では、全国展開する仲介会社の物件の影響で、料金額な地域差はなく更新料を提示する物件も増えていますが、その金額はそれなりに大きいものです。
賃貸に関する案件について、貸主と交渉することは可能なので、更新料の金額に関しても実際に交渉することは可能です。
賃貸に関する交渉を行う場合には、通常、借主が仲介している不動産会社にその旨を伝え、不動産会社からオーナーへ交渉内容を伝える流れになります。
ただ、オーナー側は、更新料を収益の一つとして見込んで契約を行っているため、金額の値下げは実際にはなかなか難しいのが現状です。
交渉せず貸すことができる他の賃借人もいるため、値下げ交渉は難しいといえます。
ただ、条件によっては、交渉に応じてくれる場合もあるので、あきらめずに交渉してみましょう。
更新料に支払い期限はある?延滞や分割の交渉も可能?
アパートなどの更新料にも、支払い期限はあります。
更新時期が近づくと、貸主の大家さんや不動産会社から通知が届くのが一般的です。
その通知に、いつまでに支払うかの支払い期日が記載されています。
期日は書いてありますが、支払い期限に法的な義務や明確な規則はありません。
もし支払いが遅れてしまう場合は、貸主の大家さんや管理を任されている不動産会社に連絡を入れておきましょう。
連絡の際には、契約更新と更新料の支払いの意思や、いつまでに支払いが可能かなどを伝えてましょう。
また、一括での更新料の支払いが難しい場合には、分割の交渉もできなくはありません。
分割が可能かどうかは、大家さんや不動産会社の判断次第なので、どうしても支払いが困難な場合には相談してみましょう。
貸主である大家さんや不動産会社にとっても、入居者をできるだけ確保しておきたものなので、長期間の滞納でなければ融通を効かせてくれることもあります。
やむおえない場合には、速やかに相談するようにしましょう。
賃貸物件の更新時には更新料の交渉より家賃交渉を考えよう!
アパートなどの賃貸物件の更新料を交渉することは、なかなか難しいのが現状です。
ただ、更新時の家賃交渉は、意外と可能な場合が多いようです。
更新料が下げられなくても、月々の家賃が抑えられたら有り難いですよね。
賃貸に関する料金額を交渉したい場合は、更新時に、更新料と合わせて家賃についても交渉を試みましょう。
更新時は、更新手続きで大家さんや不動産会社と連絡を取る機会があるため、家賃交渉がしやすいタイミングといえます。
金額交渉をする場合には、いくつか事前準備をした上で交渉しましょう。
●交渉要因を探す
物件は、築年数や立地条件などにより物価の価値が下がります。
「築年数が古い」「間取りや住居設備が古い」「駅や商店街から遠い」などは物件にとって不人気の要素となり得ます。
このような要因が住んでいる物件にあるかどうか、他の物件との差を調べておきます。
●近隣の類似物件の家賃を調べる
同じ地域内の同じような物件は、どの程度の家賃なのかを調べておきます。
上記2つの事項のバランスを考えて、他の物件と比較しながら妥当な金額を交渉してみましょう。
貸主側は、できるだけ入居者を失いたくないものです。
家賃を下げても住んでいてもらいたい借主ならば、交渉に応じてくれることは大いにあります。
更新時には、更新料だけでなく家賃交渉も視野に入れておいてみてくださいね。
賃貸物件の更新料や家賃を交渉してみよう!
アパートやマンションなどの賃貸物件に住み続けるには、更新手続きと更新料の支払いが必要です。
お話ししてきたように、金額交渉に関してはなかなか難しいものがありますが、大家さんや不動産会社によっては融通を利かせてくれる場合もあります。
賃貸に関して貸主に交渉したい場合は、誠意をもって行いましょう。
大家さんや不動産会社とよい関係を保ちながら交渉してみてくださいね。