修繕積立金の値上げで、払えない場合はどうすればいいのか?

マンションにお住まいの方は、修繕積立金を払わなければなりません。

修繕積立金とは、将来のマンションの修繕に備えて、毎月いくらか積立てるために支払うお金のことです。

毎月決まった金額を支払うことになりますが、もしこの修繕積立金の値上げにより、払えない場合はどうすればいいのでしょうか。

修繕積立金とは?

都市部に住んでいる方はマンション住まいの方も多いと思います。

都市部の高層マンションは、高層階であれば見晴らしもいいですし、便利な場所に位置しているため、人気の物件です。

マンションを購入する際には、ローンを組む方も多いと思います。

ローンは何十年も支払うことになりますが、たとえローンを完済できたとしても、支払い続けなければならない費用があるのです。

ローンを払い終えも支払い続けなければならない費用とは、何なのでしょうか。

それは修繕積立金です。

マンションなどの建物は、何年も経てば老朽化します。

何年も経って老朽化したマンションの価値を少しでも維持するためには、補修工事が必要です。

しかし、修繕工事を行うと一度に多くの費用がかかります。

そのため、毎月修繕するための費用を積み立てるのが一般的です。

これが修繕積立金です。

修繕積立金を積み立てる方法は、大きく分けて2つあり、詳細は後述します。

毎月修繕積立金を積み立てていても、マンションの老朽化に伴い、予想以上に修繕費用がかかることが分かった場合や実際に予想以上の修繕費が発生したときに、修繕積立金の値上げが発生します。

そして修繕積立金の値上げにより、払えないという人も出てくるのです。

修繕積立金はどれくらいかかるの?

マンションに住んでいる人は、修繕積立金を支払う義務があります。

これは法律でも定められており、修繕積立金を支払わないというのは法律違反となります。

この修繕積立金の支払金額は、住んでいるマンションの設備や、マンションが建っている地域によって異なります。

ある調査結果では、マンションの修繕積立金の平均金額は、月あたり12,000円程度とのことです。

月あたり12,000円というのは、毎月のローンの返済や生活費などを考えると、かなり大きな金額と言えるのではないでしょうか。

しかし、それでも大規模修繕などにより、修繕積立金が不足すると判断された場合は、修繕積立金の値上げが発生します。

先ほども述べたように、ローンの返済や生活費などを考えると、修繕積立金は大きな金額と言えます。

修繕積立金の値上げが発生した場合、修繕積立金を払えないという人も出てくるかもしれません。

また、修繕積立金は、たとえマンションを売ったとしても、今まで払った分が払い戻されることはありませんので、ご注意ください。

修繕積立金が払えないは通用しない!

修繕積立金の値上げにより払えないのであれば、修繕をしなければ良いと思っている方もいるかもしれません。

しかし、どのようなマンションでもいずれは修繕が必要な時期が来るため、修繕をしなければ良いという考えは通用しません。

マンションができて間もない新築の時は想像できないかもしれませんが、建物は必ず劣化します。

特に、風雨にさらされる屋根や外壁、バルコニーなどは劣化が早いです。

屋根や外壁が劣化すると、建物自体の価値を下げてしまうことにもなるのです。

また屋根や外壁意外にも、細かい部分でマンションの修繕が必要な箇所はあります。

どんなマンションでも修繕は必要なので、修繕積立金の支払いをする必要があるのです。

次の項では、修繕積立金の値上げが発生する理由についてご説明します。

修繕積立金の値上げが発生する理由

修繕積立金を積み立てる方法は、前述のとおり2つあります。

1つ目は均等積立方式といって、毎月均等に積み立てる方法のことです。

2つ目が段階増額積立方式で、これは段階的に積み立てる金額を値上げしていく方法のことです。

均等積立方式は途中で値上げをすることもなく、毎月の支払い額が定額のため、資金計画も立てやすくなります。

しかし、実際にこの均等積立方式で修繕積立金を積み立てているマンションはほとんどありません。

これには、マンション販売の仕組みが関係しています。

新築マンションを購入する人は、毎月いくら支払うのかに注目しがちです。

そのため、修繕積立金が安いマンションの方が売れやすいのです。

同じような金額のマンションが2つあるのであれば、修繕積立金が安い方が売れる傾向にあります。

しかし、修繕積立金が安い設定だと、その後修繕積立金は不足します。

実際に修繕が必要となる数年後に、修繕積立金が不足していることになり、修繕積立金の値上げが発生するのです。

つまり、修繕積立金の不足が発覚した段階で、段階増額積立方式に変わるのです。

修繕積立金の値上げにより、払えない人が出てくるかもしれません。

では、修繕積立金を払えない場合、どうなるのでしょうか。

値上げにより払えない場合は?

修繕積立金の値上げにより、毎月払えなくなり、滞納が続いてしまうと、どうなるのでしょうか。

まず修繕積立金を2~3ヶ月滞納したときに、管理組合などから滞納理由の問い合わせがあります。

そして、その後返済計画書の提出が求められるでしょう。

ここで滞納している分を支払う意思をきっちりと示しておけば、まだ待ってもらえる可能性があります。

しかし、返済計画書の提出もせず、管理組合からの問い合わせも無視をし続けていると、簡易裁判所などに告訴される可能性があります。

そして告訴が受理されてしまえば、自分の口座などの財産が管理組合に差し押さえられてしまい、強制的に給与などから積立修繕費が引き落とされることになります。

この強制的な引き落としによって、積立修繕費の支払いができれば、マンションに住み続けることはできます。

しかし、差し押さえる財産もなく積立修繕費が全く支払えないという状態が続くことになってしまう場合には、部屋を売却せざるを得ない「強制競売」といった事態にもなりかねません。

強制競売とは、自分の部屋が裁判所経由で競売にかけられてしまうことです。

競売にかけられてしまうと、当然マンションに住み続けることはできなくなります。

また売却金も普通に自分で売却した時の金額よりも、競売だと2割から3割程度を安くなってしまいます。

ご自身にとって、大変損をしてしまう形になりますね。

競売にかけられるような状態に陥ることは、避けたいところです。

このように修繕積立金が払えないことによって、のちのちご自身が大変な思いをしてしまうことにもなりかねません。

そのようなことにならないために、修繕積立金が払えないときは早めに管理組合などに相談することをおすすめします。

何か月も滞納してしまうよりも、早めに相談しておくことで管理組合側も対応策が取れます。

分納の案内や支払期日の延長などの提案をしやすくなるのです。

修繕積立金の値上げにより払えない事態をあらかじめ回避する!

新築マンションの建物や内装は綺麗で、設備も最新のものが導入されていることが多いです。

しかし、どんなマンションも、いずれ修繕が必要になります。

前述のとおり、そのために積み立てておくのが修繕積立金で、毎月支払わなければならないものです。

そのため、マンションの購入を検討する際には、修繕積立金も含めて資金計画を立てましょう。

計画を立ててみて、現在の収入に見合った、余裕を持ったローンを組むことが大事です。

また、修繕積立金が安いからという理由でマンションを決めるのは避けた方が良いです。

ローンの返済返済計画を立てる際は、修繕積立金の値上げがあることも念頭においておきましょう。

そうしないと、修繕積立金が払えないという事態に陥る可能性もあるからです。

修繕積立金の値上げを考慮した支払計画を!

老朽化したマンションの補修工事などを行うと多くの費用がかかるため、毎月修繕するための費用を積み立てるのが修繕積立金です。

また、予想以上の修繕費がかかることがわかった場合は、修繕積立金が値上げになることがあります。

そのため、修繕積立金の値上げを前提として、支払計画を立てておくとよいでしょう。