アパートが水漏れ!大家への賠償責任は必要?

アパートの水漏れ事故により、賃借人が賃貸人である大家へ賠償責任を負わされる事故は、珍しくはありません。

さらには、第三者への賠償責任も発生することが多々あることを自覚しておくことが大事です。

アパートの水回り設備の基礎知識、現地調査、賃貸借契約から賃借人の責任の所在などをご紹介していきます。

アパートの水漏れ事故による大家への賠償責任はよくあると心得よ!

アパートの水漏れ事故の原因は、大きく給水と排水とに分けられます。

給水側で起きる事故はほとんどが給水管、給水金具のトラブルで、大家側つまり管理者側に責任があることがほとんどと言ってよいでしょう。

問題になるのは排水側の事故です。

排水側の水漏れ事故は賃借人、及び賃貸人である大家の知識不足から、その責任の所在が賃借人へ来てしまう場合が多々あります。

例えば、お風呂の水を出しっ放しにして水が溢れ、階下へ水漏れを起した事故などです。

一見、給水時の賃借人のうっかりミスのようですが、この場合、排水が通常の働きをしていたなら、水漏れ事故による賠償責任などは起きません。

排水管というものは、給水側で通常の使われ方をしていれば、その供給された給水量分を処理できるように設計されています。

つまり、排水側の管理がしっかりしていれば、多くの場合、水漏れ事故は防ぐことができると言えます。

アパートの賃借人は、排水事故に絡む要因を自己防衛のために、しっかり勉強しておくことが大事になります。

アパートの現地調査は見た目以外も要チェック

皆さんはアパートの賃貸借契約前に、どのような知識を持って現地調査をしますか?

一般的には、駅から徒歩何分かかったとか、買いものはどうか、日当たりなど、アパートの外部を重視する傾向にありませんか?

もちろん内部の間取りも大事にするでしょうが、水回りの、特に排水側はノーチェックの場合がほとんどではないでしょうか。

現地に赴いたら、まずはアパートの形態に注目しましょう。

あなたが住もうとしている部屋の階下が店舗なら、賃貸借契約は避けた方が良いかもしれません。

なぜなら、床下の排水管が横引きで長く、しかも複雑な場合が多いからです。

しかも万が一、あなたの責任で水漏れ事故を発生させた場合、一般住人向けの賠償額より遙かに高額になりますし、休業補償などが加算され、その解決に多くの時間を要します。

また、階下が一般住人用の住居に見えたとしても、念のため不動産仲介業者に確認をしておきましょう。

希に仕事場にしている方もいます。

最近では、PCのデータの復元などやっかいなことが多くなりました。

アパートの水漏れ賠償事故は、大家だけではなく、第三者に対する方が高くつくことがあるということを忘れないでください。

とにかく、危険要因は未然に取り除くことが大事ですし、自己防衛の基本です。

水漏れを防ぐための知識を身に着けよう

皆さんはアパートを下見するとき、築年数や外観、内装を見て、綺麗であれば、なんとなくアパート自体もきちんと管理されていると勘違いし、安心してしまいます。

普通は、アパートの給排水管の管理、メンテナンスまでは注意が及ばないものですよね。

それは、アパートの大家も例外ではありません。

アパートの大家も賃借人も建築設備の知識はほとんどありませんし、お金のかかる排水の管理、メンテナンスなどは、ほとんどしないのが実情です。

とりわけ、床下に隠れている排水管の基礎知識を持っている賃借人は、あまりいないのではないでしょうか。

給排水管の中でも、特に排水管は築年数が10数年経過したあたりから著しく劣化が始まります。

特に気をつけたいのが、排水管の管径の細りです。

長年メンテナンスを怠っていると、管内に付着物が堆積し管径を細めます。

ちょうど動脈瘤のように、血管が詰まる状態をイメージしてもらうとよいかもしれません。

人間と同じで、気がつかないうちに病気が進行しているイメージです。

この排水管の根詰まり現象が、排水の流れを妨げるようになってくると、大きな水漏れ事故、そしてそれが賠償責任に繋がります。

もうひとつ覚えていていてほしいのが、排水管の逆勾配現象です。

一般的に、排水管の横引きは1/75~1/100の勾配で施工され、排水は上から下へ流れるようになっています。

しかし、アパートの床下の懐が狭いせいで、この勾配が維持できていないものや、排水管の支持金物の施工不良、劣化などが原因で逆勾配になっていることが散見されます。

排水管の逆勾配は、排水管内部に排水が残ってしまう状態になります。

排水の流れを妨げることになり、ときにはオーバーフローの原因にもなってしまうのです。

こちらの場合も、水漏れ事故による賠償責任に繋がります。

築年数が古くなるほどこの排水管の逆勾配が見られます。

水漏れ事故による賠償責任のほとんどは排水管に起因することから、賃借人においては以上の基礎知識は必要であると考えます。

日頃から、排水時の排水音に気をつけてください。

排水管に何らかのトラブルを抱えていると、排水時にゴボゴボとおかしな排水音がしている場合があります。

このような場合は、すぐにアパートの管理会社または大家に連絡することを忘れないでおいてください。

大家も自覚しているアパートの水漏れ事故の3大箇所!

筆者の経験から、アパートの水漏れ事故ベスト3をご紹介します。

第1位は、洗濯機置き場になります。

多くは洗濯機の排水ホースが排水管口から外れているのを賃借人が気がつかず、洗濯機を回してしまったことによる水漏れ事故です。

言うまでもなく、100%賃借人の賠償責任になります。

しかし、希にですが、洗濯物の繊維くずが排水管内に根詰まりを起し、排水がオーバーフローする水漏れ事故が起きています。

原因は、洗濯用の排水管の管径不足と排水管の清掃が不十分であったことが考えられます。

賃借人が通常の使い方をしていたのであれば、この水漏れ事故は賃貸人側、つまり大家側に責任があると言えます。

第2位は便所です。

昔も今も、便所の水漏れ事故は、便器内に異物を流し込んだことに起因することが多いです。

これも、100%賃借人の賠償責任となります。

最近増えているのが、節水型便器によりる排水のトラブルです。

昔の便器は大で10Lの水を流して汚物処理をしていましたが、最近の便器はその半分ほどになりました。

そのせいで汚物の詰まりがよく発生するようになったのです。

大便も小便も用足しは、すべて大のレバーまたはスイッチで多めの水を流すことをお勧めします。

確かに節水型の便器は環境には良いのでしょうが、使い方は注意が必要です。

第3位は浴室です。

最近では、ほとんどがユニットバスとなりましたので、昔ほど浴室の水漏れ事故を聞かなくなりました。

しかし、排水口に髪の毛などを詰まらせる水漏れ事故は起きています。

浴室の使用後は、排水口の髪の毛を取ることを習慣にしていれば、防ぐことはできます。

上記以外の原因は、やはり、排水管の清掃が不十分で排水の流れが悪いことなどです。

普段から、排水の流れの勢いなど、気にとめておくことが大事です。

気になったら、すぐに管理会社または大家に掛け合いましょう。

そのときは、日付、クレーム内容のメモを残すことをお勧めします。

アパートを借りるときは契約書をしっかり確認!

上の項でご紹介してきたことを踏まえ、賃貸借契約にのぞみましょう。

特に、賃貸契約書をしっかり確認しておかないと、アパートの水漏れ事故が起きた場合、賠償責任を負わされてしまうかもしれません。

不安でしたら、賃貸契約書についてインターネットなどでも内容を調べておきましょう。

賃貸借契約書では、まず条文の確認を要求します。

特に注意が必要なのが、特記事項です。

地元の不動産仲介業者は、どうしても長年の顧客である賃貸人(大家)側に立った契約書を作る傾向にあります。

つまり、顧客である大家の意向に沿うように通常の契約書に、特記事項を追記する傾向にあるということです。

賃借人において判断が難しいことは多々ありますので、分からないことは質問をしてください。

それでも腑に落ちないことがあったら、管轄の不動産協会へ問い合わせてください。

不動産協会には必ず相談窓口が設けてありますので、親切に対応してくれるはずです。

すべてに納得してから契約書にサインしましょう。

大家も安心!アパートの水漏れ事故に備えて保険に入ろう

何があるか分からないのが世の中です。

何かあったときのために、必ず賃借人損害賠償保険に加入しましょう。

アパートの状況、入居人数、階下の状況などにより想定される賠償額に差が出ますので、インターネットで何社かに見積りを取ってみるのも良いです。

できれば、大家が加入しているアパートの火災保険と同じ保険会社をお勧めします。

なぜなら、アパートには廊下などの共用部と、住居内部の専用部があり、水漏れ事故はその両方部に影響することが多くなるためです。

分譲住宅と違い共用部も専用部も大家の所有ですが、第三者に損害を与えた場合、建物の原状回復と第三者に対する損害賠償が、同じ保険会社であった方がスムーズにことが運びます。

大家は何かしらの事故があった場合、面倒なことは避けたいものです。

もうひとつ忘れないでほしいのが、保険の継続です。

賃貸借契約時に賠償保険に入り、2年経過後に賠償保険の継続をうっかり忘れていることがあります。

アパートの水漏れによる大家、第三者への賠償金はとても高くつきます。

忘れずに継続しましょう。

アパートに住む経験は貴重です

アパートに住む行為は、将来のあなたの持ち家へ繋がる行為になるかもしれません。

不動産会社のお世話になることから始まり、保険のことまで一通り経験します。

住む場所の所有が大家で借りているのがあなたという違いだけです。

住む権利は賃借人、つまりあなたにあります。

建物の専用部の管理もする必要があります。

日頃から建築への基本知識を深めていきましょう。

大家のために借りたアパートを大事に使ってあげてください。

そして、アパートの賃貸生活を楽しんでくださいね。