住所には地番と住居表示がある?住民票手続きでの違いは?

住民票に記載される住所には、地番と住居表示という二つの形式があるのをご存知ですか?

新築に伴い住民票の移動をする際に、住所が地番か住居表示かわからなくて困った経験がある方もいるのではないでしょうか。

今回は、住所に使われる地番と住居表示のそれぞれの違いと、住民票移動や新築届を提出する時の注意点をご紹介します!

住所に使われている地番とは?

地番とは、登記簿謄本に記載されている土地の所在を表すものです。

これは、土地の範囲や権利を証明するためにつけられたもので、一筆の土地ごとに一つの地番がつけられています。

住居表示が採用されていない地域では、地番を住民票の住所として使用しています。

地番を住所として表記した場合は、番地と表されます。

例えば「富士見町1234番」の土地の住所は、「富士見町1234番地」と表記します。

この1234番地の土地が、分筆されて二筆に別れたとすると、「富士見町1234番地1」と「富士見町1234番地2」と表記されます。

地番表示の良い点は、住所がわかれば登記簿謄本を取得することができることです。

地番表示の悪い点は、急激に住宅が増えた地域では地番の並びが混在してしまいわかりづらくなることです。

例えば、「富士見町1234番地2」の隣の住所が「富士見町1237番地」またその隣が「富士見町1240番地1」となることがあります。

数字が規則的に並んでいないので、配達や訪問にはとても不便になるのです。

住所に使われている住居表示とは?

住宅が急激に増えた地域では、地番の並びが混在してわかりづらくなるのを防ぐために、住民票に記載される住所に「住居表示」を採用しています。

住居表示は、道などで囲まれた一つの区画を街区とし、その街区の周囲に沿って10mごとに住居番号をつけます。

住宅の玄関の位置にある住居番号が、その住宅の住居表示となります。

例えば、「富士見2丁目1番3号」であれば、富士見2丁目にある1街区の住居番号3の場所に住宅の玄関が位置しているということがわかります。

住居表示の良い点は、初めて訪れる人でも容易に目的地にたどり着けることです。

郵便物などの配達も容易になりますね。

しかし、悪い点もあります。

住居表示と地番は関連性がないため、住居表示だけで土地建物の所有者や権利関係を調べることはできません。

また、役所は住居表示と地番との二重の管理をしなければならないといった煩雑さがあります。

住居表示から地番を調べることはできる?

住居表示と地番の関連性がないため、「住居表示だけで所有者や権利関係を調べることはできない」とお伝えしました。

しかし、全くわからないととても不便ですよね。

実は、住居表示から地番を調べるための方法はあります。

その一つは、ブルーマップという地図帳を使う方法です。

ブルーマップとは、ゼンリンが発行している地図帳で、地図上の住居表示に重ねて地番情報が印刷されており、調べたい土地の位置を見ながら地番を確認することのできるものです。

ブルーマップはネット上で有料にて閲覧できるほか、役所や法務局にも備え付けのものがあり誰でも無料で閲覧が可能です。

もう一つは、法務局に電話で照会をする方法です。

該当地の管轄の法務局に電話をし、当該住居表示と地番照会をしたい旨を伝えれば、すぐに答えてもらえます。

こういった方法を知っていれば、住所をもとにその土地の権利関係まで容易に調べることができます。

登記簿や住民票に登録してある情報は、知らないうちに誰かに調べられている可能性があることを認識するのが大事ですね。

住民票の移動の前に!住居表示地区で新築の場合に必要な届け出とは?

住居表示の実施地区で戸建てを新築してそこに住民票移動をする場合、新築届というものを役所に提出します。

新築届を出すときの添付書類は、役所によって多少異なりますが、案内図、配置図、各階平面図、地番で取得した公図といったものが必要になります。

新築届は、申請してから付定されるまで1~2週間ほどかかる場合があります。

ちなみに、もともとあった自宅を取り壊してまたその土地に自宅を新築した場合は、自動的に以前の住居表示になるのでしょうか?

結論としては、自動的に以前の住居表示になるとは限りません。

これは、住居表示を決定するのは建物の玄関の位置であるため、以前の自宅と玄関の位置が変わっていれば違う住居表示になる可能性があるためです。

ただし、申請時に以前と同様の住居表示を使いたい旨を伝えておけば、その希望が通ることが多いです。

実は、以前と同じ住居表示であれば住民票の移動は必要なくなるため、必ず届け出時に伝えることをお勧めします。

以前と異なる住居表示になった場合には、その後、住民票の移動手続きをすることになります。

地番利用地区で新築の戸建てに住民票移動をするには?

地番の利用地区に戸建てを新築してそこに住民票移動をする場合の手続きは、役所によって多少異なります。

一般的には、新築届を提出する必要はなく、地番を住所として住民票の移動手続きを行います。

住民票移動の手続きをする時の添付書類は、土地建物の売買契約書など所有権が分かるものが必要になります。

しかし、土地が一筆で地番が一つであればわかりやすいですが、複数の土地にまたがって建物が建てられる場合があります。

その場合は、玄関のある土地の地番を利用するケースと、最も広い土地の地番を利用するケースとに分かれるようです。

同じ土地で自宅を建て替えるケースで複数の土地にまたがっている場合、住居表示地区の場合と同じく、以前の住所である地番を利用したいという希望が通ることが多いようです。

また、その際は住民票の移動手続きも不要になります。

住民票移動をしたいのに住居表示がわからないときは?

新築のアパートや戸建てに引っ越す場合、住民票の移動の手続きが必要ですね。

手続きに役所へ行ったとき、新しい住居表示がわからず手元には地番しかないということがあります。

これは、新築届の提出は建築会社や不動産会社が行うことが多いのですが、入居者に伝え忘れてしまうことがあるためです。

新築届は竣工前に行われるのですが、住所が記載される売買契約や賃貸借契約は早い段階で済ませてしまうので、つい漏れてしまうのでしょう。

住居表示がわからないので住民票の移動ができないのでは、時間がもったいないですね。

こういう時は、入居するアパートや戸建ての場所がわかる地図を用意して、役所の住民票を管轄する課に相談してみると良いでしょう。

実は、住居表示を申請する新築届は住民票を管轄する課と同じ部署で取り扱っていることが多いのです。

そのため、地図さえあればスムーズに住居表示を教えてもらえることがあります。

ただし、これも役所によって対応は様々です。

できるだけ、事前に建築会社や不動産会社に新しい住居表示を確認しておくと良いでしょう。

住居表示は地番より便利だけど、届け出の手間がかかる!

今回は、住民票に記載される住所の、地番と住居表示の違いについてご紹介しました。

もともとは地番を利用していたものが、住宅が増えるに従って便利な住居表示が導入されたのですね。

新築に伴い住民票移動をする際は、住居表示地区と地番利用地区で手続きの方法が変わりますので、事前に確認しておきましょう。