目には見えませんが、土地には「境界」というものがあることはご存知でしょうか。
これから土地を新しく購入し、家を建てる際に気をつけたいことの一つです。
ここでは、その境界についてのお話から、隣りの家との境界にフェンスやブロックを建てる際のマナーや決まりのお話、費用やフェンスの選び方などをご紹介していきます。
これから土地を選んで家を建てる予定のある方は、ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか。
土地の境界線には印がある!土地購入時は確認を
所有者の違う土地と土地の間には、見えない境界がありますが、地面に線を引くわけにもいかないため、境界標というものがあります。
よく見かけるものとして、「境界杭」があり、その境界杭にも様々な形態のものがあります。
●コンクリート
こちらが境界杭のなかでも多く使われていると言われています。
長く使えて様々なサイズもあるため、場所により使い分けられています。
●金属標
鋳鉄、真鍮、ステンレス、アルミなどと様々な金属のものがあり、現地の事情により違います。
●木製
木製の杭は、1~2年程度経つと腐食してしまいますので、仮杭としてや、一時的に使われています。
●プラスチック製
加工が簡単にできることから、多く生産されていますが、軽いことから安定性が低いというデメリットもあります。
それを改良するために、上部にステンレスを使用したものなどが造られてきています。
●御影石
花崗岩からできているもので、最も永続性があると言われています。
しかし、自然石なので希少価値があり、加工に手間もかかるため、価格が高めです。
隣りの家との間にブロックやフェンスを建てる前に、これらのような境界標があるかをまず確認しましょう。
また、土地を購入する際には、隣りの土地や道路との境界を明確にする必要がありますので、売り主に必ず確認をしておきたいことの一つです。
隣家との境界にブロックやフェンスを建てる様々なケース
前述した通り、土地同士の間には境界があり、境界杭のような印をつけるほど、その境界というのは大切なものとなっています。
隣りの家との間に境界としてブロックやフェンスを設置する場合には、様々なケースがあるとされていますので、いくつか例を見てみましょう。
●境界線上にフェンス・ブロックを設置
家を建てる時期が同じか少しの差である場合は、隣りの家と費用を折半して、フェンスまたはブロックを設置することが多く行なわれています。
ただ、将来的に起こり得る、それらのメンテナンスや、撤去をする際にトラブルとなる可能性も考えられます。
そのため、折半をするかどうかは、よく検討してから決めましょう。
●先に家を建てたほうが自分の敷地内に設置
隣りの家とフェンスやブロックの費用を折半することにより、後でトラブルが起こるのは面倒なこともあり、自分の敷地内に先に設置してしまうという場合もあります。
目隠しフェンスやブロックが必要になる条件がある!
隣りの家との境界にフェンスやブロックを設置することは、絶対の決まりという訳ではありません。
しかし、「境界線から1m未満」しかない位置に窓やベランダなどを付ける場合には、隣地を見通せてしまう可能性があります。
そのため、フェンスやブロックなどを設置することで、「目隠し対策をしなければならない」ということが法律で決められています(民法235条 観望施設の制限)。
そのような場合に目隠し対策を行なうのは、「後から家を建てた側が行なうのがマナー」とされています。
万が一、対策を行なわないままで、先に家を建てた側が不快な思いをしている場合は、先に家を建てた側から後に家を建てた側へ目隠し対策を請求することが可能です。
ただし、先に建てた家も同じように、境界線から1m未満に窓などを設置していたら、この通りではなくなります。
そもそも、家を造る段階で、隣家から対策を要求されてしまうような窓の設置の仕方をすることは避けたほうがよいでしょう。
まだある!隣りの家との境界に関わるマナー
隣りの家同士の境界に関するマナーについてはまだあります。
隣り合う土地と高さが違う場合には、「土地が高い側が自分の敷地内に土留め用のブロックや擁壁を設置すること」がマナーとされています。
このことは、法律上で決められているわけではありませんが、住宅を建築する場合の一般常識として行なわれていることになります。
ただ、「高さが5cm~10cmほど」のように差が少ない場合は、隣家側との話し合いにより、折半になるケースもあります。
これまでお話ししてきた土地の境界にまつわる決まりやマナーによって、フェンスやブロック、土留めなどを設置するとなると、それなりの費用がかかるものです。
可能であれば、そのような対応をしなくても済む土地に家を建てることが望ましいものです。
もし、そのような立場になった場合に、フェンスやブロック塀を建てるとなると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
フェンスやブロック塀を検討!費用の相場とは
隣りの家との境界や目隠し対策として、フェンスやブロックを建てる場合の費用の相場についてお話しします。
まずは、フェンスの場合ですが、基礎としてのコンクリートを施工し、その上にブロック、そして、フェンスを施工する形となります。
普通のコンクリートのブロックに高さ800mmのスチール製のフェンスを施工した場合、材料費・工事費で40~50万円ほどが相場だと言われています。
そして、ブロック塀の場合は、コンクリートブロックを積み、アクリル系の仕上げ材を塗る仕様で5mほどの施工だとしても、10万円前後の費用がかかるでしょう。
フェンスにしてもブロックにしても、もう少し見栄えを良くしたいと考えると、さらに割高になってきます。
「できるだけ費用はかけたくない」という方におすすめなのは、既製品のフェンスを使用することです。
既成のフェンスのメリットには次のようなことがあります。
・比較的安価
・ブロック塀よりも工期が短く済む
・地震などによる倒壊の心配がないくらい軽い
次に、具体的にはどのような種類のフェンスがあるのかを見ていきましょう。
目隠しフェンスを設置する!選び方のポイント
ここまでお話ししたように、隣りの家同士のプライバシーを守るためには、ブロックやフェンスを設置するという手段が行なわれます。
そのように、家と家との境界などに使用される目隠し用のフェンスには、様々なものがあります。
そこで、実際にフェンスを選ぶことと、設置する際のポイントをご紹介します。
●フェンスを設置する場所
家同士の間だけに設置するのか、家全体を囲うようにするのかなど、まずは、フェンスをどこにどのように設置するかを決めましょう。
●ある程度のすき間も必要
プライバシーを守るための目隠し用フェンスだからと言っても、すき間が一切ないフェンスになると、マイナス効果が生まれる場合もあります。
すき間のないフェンスにすると、圧迫感があり、風通しも悪くなる恐れがあります。
また、目隠しをしすぎてしまうと、万が一、空き巣などが入った場合に、人目にふれないというデメリットもあります。
そのため、フェンスの横板の間には、適度なすき間も必要となるでしょう。
●フェンスの高さ
目隠しフェンスを設置する際には、「フェンスの高さ」を考えることも必要です。
フェンスの高さによって、日当たりや風通しにも影響が出ることが考えられます。
そこで、必要以上に高いフェンスを設置することは避けるのがよいでしょう。
目隠し用のフェンスを選ぶポイントを挙げましたが、どのようにする場合でも、フェンスを設置する前には、隣りの家の人に一言、フェンスを設置する旨を伝えておきましょう。
フェンスやブロックを設置する際は隣家とも話し合いを!
ここでは、隣りの家との間の境界や、その間にフェンスやブロックを建てる際のポイントなどについてお話ししてきました。
土地と土地との境界についての決まりがあることはおわかりいただけたでしょうか。
もし、自分の家に目隠し用のフェンスやブロックを建てたい・建てなければならなくなった場合は、隣家との関係をよくないものにしないように、まずは、隣家の人にも相談・報告を忘れずに行ないましょう。