建築物設計の基本!建蔽率と容積率の求め方を解説

整然とした街並を確保するために、建蔽率・容積率などの各種の決まりが定められています。

建築物を設計する際に、建物の規模を決定する基本が建蔽率と容積率となります。

求め方や算定をする際の様々な条件が建築基準法で細かく定められているのです。

今回は、建蔽率と容積率に関わるご案内をいたします。

建蔽率が意味することと求め方

ある土地に建物を建てようと計画する場合、建築基準法では様々な規定がされています。

その中の1つに、建築をしようとしている土地と建てたい建物を比較して、建築を予定している建物の大きさを制限する項目があります。

土地面積と建物の面積の比率に関する内容は2種類、建蔽率(けんぺいりつ)と容積率(ようせきりつ)です。

建築基準法において、求め方も詳しく定められているのでご説明していきましょう。

建物の建築をする際に、まず必要なのが建設をする土地です。

その土地の面積によって、建てたい建築物の規模も変わってきます。

では、土地に対してどのくらいの比率の建物が可能なのでしょうか。

比率におきましては、平面的な比率と空間的な比率の両方を算定することが必要となります。

土地面積と建築物の面積の平面的な比率についての法律上の決まりを建蔽率と言います。

まず、建設予定地の用途地域を調べることからはじまります。

日本全国、7つの住居系の地域・2つの商業系の地域・3つの工業系の地域に分かれています。

それぞれの地域で建蔽率も決められている(同じ地域内でも数種に別れています)ので、当該地はどの地域にあって建蔽率何%に指定されているかをチェックしないといけません。

それがわかれば、土地面積に対して何%までの大きさの建築物が建てられるのかがわかります。

その後予定している建築物の建築面積を算出、土地の面積との比率を求めて、指定の建蔽率と比較します。

建築面積の算出方法は、後述で記載していますので参考になさってください。

容積率が意味することと求め方

建築基準法では、空間上の比率の算定も定められていて、それを容積率と言います。

前項で述べた各用途地域では、容積率の規定もされています。

建蔽率と同じく同じ用途地域でも、場所によって数値も変わってきますので、当該地の容積率を調査しないといけません。

特に商業系の用途地域では、場所によって12種類(200%~1300%)にも分かれているので注意が必要です。

低層住居系の用途地域では6種類(50%~200%)、中高層・住居系と工業系の地域も6種類(100%~500%)と細分化されます。

更には、容積率は、土地が接している道路においても大きく制限されていますので、用途地域での制限以外にもチェック項目があることを忘れないようにしましょう。

これらの特殊な制限は、後述で詳しく説明します。

様々な条件を考慮して容積率を算定するのですが、その求め方は「予定している建築物の延べ床面積/土地面積」となります。

この計算方法で、その土地の空間比率が決定されます。

建蔽率の求め方には建築面積の算定が不可欠

建蔽率・容積率の求め方として、絶対必要なのが建物の面積です。

建蔽率には、建築面積が大きく関係しています。

ではその建築面積とは、どのようにして算出するのでしょうか。

まずは、敷地内全ての建物の外壁で囲まれた部分の面積を計算するのですが、それが基本面積となります。

そしてそれにプラスされるのが、建物から張り出した屋根やベランダなどの突出部分です。

張り出しの寸法が1m以内であれば面積に算入されません。

1mを越える屋根やベランダが対象となります。

たとえば長さが3mで張り出し寸法が1.5mの場合、3m*(1.5m-1.0m)=1.5m²が基本の面積に追加されます。

大きく張り出している場合など、たわみを防止するために柱を設置することがあります。

こういうケースでは、柱の位置までが建築面積に算入されます。

長さ3m張り出し1.5mのベランダに柱があれば、3m*1.5m=4.5m²が算入面積です。

柱や壁がある場合は張り出しの屋根やベランダでも、建築面積に算入されるので注意しましょう。

容積率の求め方には各階の床面積の算定が不可欠

容積率の求め方において、必要な面積が土地面積と各階の床面積です。

容積と言うように、建蔽率と違うのが空間的な比率を検討するもので、各階全ての面積を算出必要があります。

基本的な床面積は、各階における屋内面積を言います。

外部と壁で仕切られた部分、各室を足した合計の面積です。

そして各階の床面積を合計したものが、延べ床面積と称されます。

地上10階建ての建築物でしたら、1階から10階までの各階の面性を算出して、全てを足していきます。

屋上の塔屋や別棟の建物も算入されますので、忘れないようにしてください。

ただし、容積率に算定する際には、機械室やガレージなどの用途の場合、除外されることもありますので確認が必要です。

床面積の算出だけなら単純な計算で終わるのですが、容積率を算出する場合において、建築基準法内で細かく除外・非除外などが決められていますのでしっかりと把握しておくことが必要となります。

建蔽率算定に関わる特殊な条件

建蔽率の求め方は「建築面積/敷地面積」となり、そこで算出された数値が指定の建蔽率以下であれば、法的な制限をクリアしているということになります。

ただ、用途地域制限から調査をした建蔽率に、特殊な条件を満たすことで更に建蔽率を大きくすることができるのです。

その特殊な条件の主なものとしては2種類あります。

1つは、敷地が角地になっていることです。

角地とは、2方向の道路に接してる敷地のことです。

この場合、用途地域から決められている建蔽率に10%を加算することができます。

そしてもう1つが、敷地が防火地域にしてされる地域であり計画されている建築物が耐火建築物の場合です。

日本国内においての用途地域の別に、防火地域・準防火地域に指定されているところがあります。

敷地がその防火地域内に入っている場合で、建築基準法で定める耐火建築物に該当する建築物を計画している際には、こちらも10%の加算が認められます。

そのため、防火地域内の耐火建築物の場合は20%を加算することができるのです。

更なる特殊な例としては、敷地が建蔽率の違う2種類の用途地域にまたがっている場合や防火地域とその他の地域にまたがっている場合などがあります。

こんな時は、各々の敷地面積ごとに算出して、その平均値(面積荷重平均)を採用します。

容積率においても特殊な例がありますので、引き続きご紹介をしていきます。

容積率算定に関わる特殊な条件

容積率の求め方は「延べ床面積/敷地面積」となり、そこで算出された数値が指定の容積率以下であれば大丈夫ということになります。

主なチェック項目が2種類である建蔽率に比べ、容積率の場合はかなりの種類の特殊(緩和)ケースがあります。

まず、それらの中でも大きく影響するのが前面道路の幅員です。

住居系の用途地域の場合道路幅員に0.4をかけた数値、工業系・商業系の地域では0.6をかけた数値が容積率となります。

例えば、住居系の用途地域で指定されている容積率が200%で前面道路幅員が4mの場合では、法定容積率200%・道路幅員による容積率が160%となり、当該敷地の容積率は160%となります。

もし、2種類の道路に接している場合は幅員の広い方を採用できます。

指定された容積率や道路による容積率以外にも、建築基準法では緩和規定が設定されています。

容積率算定計算の際、床面積から除外できる用途や除外面積の限界がそれにあたります。

車庫に供する用途の場合、延べ床面積の1/5を最大として容積率算定の床面積から除外をすることができます。

共同住宅の場合の共用廊下も除外できますし、住宅(戸建て・長屋・共同)における地下にある住居スペースなども除外対象となります。

その他様々な条件がありますので、容積率算定の際には充分に注意をして建築基準法をチェックしましょう。

建建蔽率と容積率を知って適切な設計を

今回は、建蔽率と容積率の求め方のご説明をさせていただきました。

建物を設計する場合、建蔽率と容積率は基本中の基本となります。

当該敷地の用途地域を調べて法定の建蔽率・容積率の限界値がわかっても、不十分です。

前面道路の幅員や防火地域の指定など、様々な要因が影響してくるのです。

充分に調査と検討をして、適切な設計を行ってください。