準防火地域とは?窓・サッシ・シャッターに規制があるの?

建物の建設を考えている、あるいは購入した土地が準防火地域だったらどうなるのでしょうか。

普段聞きなれない言葉だからこそ、どのような規制があるのか見当がつかないことも多いでしょう。

ここでは、準防火地域について、また防火対策として窓・サッシ・シャッターの規制についてもお話ししていきます。

準防火地域とは?

日本には都市計画法という法律が存在しています。

都市計画法とは、将来的な土地の利用や整備を想定しながら、住みやすい街づくりを進めていくための法律です。

その都市計画法の中に、防火地域・準防火地域についての規定があります。

『防火地域または準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。(都市計画法第9条20項)』

つまり、防火地域・準防火地域とは火災が起きることを想定して、予防が必要になる地域ということになります。

住居自体に火が燃え広がることのないような対策を講じておけば、火災が起きても周辺の建物に火が移ってしまう危険性も少なくなりますよね。

この記事では準防火地域について、また準防火地域における窓やサッシ、シャッターなどの規制についてお話ししていきますが、その前にまず準防火地域にはどのような場所が選ばれるのでしょうか。

防火地域は、都市の中心部や建物が密集して建っている市街地などに多く見られます。

準防火地域はその防火地域を囲むように設定されています。

防火地域よりは制限の少ない準防火地域ですが、建物を建てる際は規模に応じて「耐火建築物」または「準耐火建築物」での建設が余儀なくされる場合があります。

その点については次項でお話ししましょう。

準防火地域に建てられる建物とは?

準防火地域に建物を建てるためには、規模に応じて規制を守る必要があります。

建物の規模に対する建築物の種類は以下の通りです。

〇延べ床面積500m2以下

・1・2階:規制なし
・3階:耐火あるいは準耐火建築物
・4階以上:耐火建築物

〇延べ床面積500m2超1500m2以下

・1・2・3階:耐火あるいは準耐火建築物
・4階以上:耐火建築物

〇延べ床面積1500m2以上

・すべて:耐火建築物

防火地域は延べ床面積100m2を超えるとすべて耐火建築物にしなければならないので、そのことを考えると準防火地域の規制の方が緩くなっていることが分かりますね。

「耐火建築物」は鉄筋コンクリート造などの耐火性に優れた鉄骨造の建物ということです。

耐火建築物しか建てられないということは、木造住宅が許されないということですね。

また、外壁に設けられている開口部に関しても防火対策を施さなければいけません。

開口部には窓やサッシ、シャッターなども含まれます。

一方「準耐火建築物」は、耐火建築物に相当する耐火性能を有しているものならば、建築を認められます。

木造の住居だとしても耐火性に優れていれば、建築を行ってもいいということです。

準耐火建築物に関しても、開口部の防火対策は行う必要があります。

窓・サッシ・シャッターだけじゃない!準防火地域の様々な規制

準防火地域に建物を建てるためには、様々な規制を守らなければいけません。

ここでは、まず窓・サッシ・シャッター以外の規制についてお話をしていきます。

●境界

隣地から一定の距離(境界から1階は3m、2階以上は5m)を離して建設しなければいけません。

●外壁・軒裏

30分以上の耐火性能を持った防火構造が必要になります。

●屋根

屋根には不燃材料が使用されているものを選んでください。

●開口部

開口部は窓周辺以外となると、換気扇や玄関扉が当てはまります。

換気扇は防火ダンパーを取り付けてください。

防火ダンパーをつけるとダクト内での延焼を予防することができます。

玄関扉には、鉄製もしくは防火認定を受けたものを選ぶようにしましょう。

それでは、次の項から準防火地域での窓周辺の規制についてお話ししていきます。

準防火地域は窓・サッシ・シャッターに規制がある!?

準防火地域に住居を構える場合、耐火性に優れた建物を建てなければいけません。

その中でも、開口部にあたる窓周辺の防火対策は重要になります。

窓周辺というと、窓やサッシ、シャッターなどが当てはまりますが、この部分の規制とはどのようなものなのでしょうか。

開口部の規制の場合、延焼の恐れのある部分への防火対策をしなければならないと決められています。

延焼の恐れのある部分とは、隣地境界線あるいは道路中心線から1階は3m、2階以上は5m以内に建設されている建物のことを指します。

先ほどお話しした換気扇や玄関扉だけではなく、窓やサッシ、シャッターも延焼の恐れがある部分ということになります。

開口部にあたる窓や扉は、火災が燃え広がるのを防ぐための重要な働きがあります。

窓や扉が火の力を抑制してくれ、燃え広がるまでの時間を稼いでくれるのです。

この窓や扉は防火戸ともいわれるのですが、実際にはどのような形状のものがあるのでしょうか。

準防火地域に使われる窓やサッシ

準防火地域で指定されている窓は、耐火性能のある窓ガラスとサッシの組み合わせにするか、シャッターをつけるかの2択になります。

窓ガラスとサッシの組み合わせを選ばれる場合は、窓ガラスを防火ガラスにそしてサッシも防火サッシにする必要があります。

防火ガラスには網入りのガラスが多く取り入れられているようです。

ガラス内部に金属でできた網が入っている網ガラスは、火災によりガラスが割れ落下するのを防ぐ役割があります。

この網ガラスですが、防火対策として十分な役割を果たしてくれるのですが、見た目の網模様が気になる方もいるかもしれません。

網ガラスのほかには、クリアな見た目の耐熱強化ガラスもあるのですが、サッシの種類によっては防火性能が落ちてしまうため、防火窓として扱うのが難しいこともあるようなので注意して選んでください。

もし、どうしても網入りガラスにしたくないという方は、防火シャッターを選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

準防火地域に使われる防火シャッター

準防火地域の開口部の窓には、窓ガラスとサッシの組み合わせだけではなく、防火シャッターで防火対策をするという方法もあります。

防火シャッターをつければ、窓ガラスとサッシには通常のものを選ぶことも可能となります。

防火シャッターは、防火だけではなく、防犯の面でも役に立ってくれます。

また、台風などで強い風が吹いている時も、窓ガラスを危険から守ってくれるでしょう。

この防火シャッターなのですが、手動と電動の2種類のタイプがあります。

手動の防火シャッターのメリットとしては、維持費が少なくて済むということです。

また、導入費用も抑えることができるでしょう。

しかし、シャッターの開け閉めは毎日の作業になります。

もし、シャッターを開け閉めするわずらわしさから抜け出したいのなら、電動シャッターを選ぶのもいかもしれません。

故障したときの交換部品や施工業者への支払いに費用がかさむ面もありますので、ご自分の希望に合わせてどちらを選ぶか決めるといいでしょう。

窓周辺の防火対策で火が燃え広がるのを食い止める!

準防火地域では、建物への入念な防火対策が必要です。

とくに、窓周辺の防火対策を強化すれば、火災が起きたとしても近隣の建物へ火が燃え移るのを防ぐことができるでしょう。

窓ガラスやサッシ、シャッターを選ぶときは、防火面だけではなくご自分の希望も取り入れると、後悔を減らすことができるはずですよ。