土地の境界にフェンスを建てることで、隣人や通行人の視線を気にせずに生活をすることができます。
しかし、フェンスを建てるためには、様々なルールを守らなければなりません。
また、フェンスを建てる位置によっては、費用が折半なのか、自己負担なのかが変わります。
境界にフェンスを建てることで、ご近所トラブルを招かないためにも、ルールについて知っておきましょう。
境界には定義がある!
土地と土地の間には境界線があります。
この境界線にはいくつかのルールがあり、これを破るとご近所の方との大きなトラブルを招くことにもなりかねません。
そのため、もし境界にフェンスを建てようとしているのであれば、ルールについて理解を深めておきましょう。
まず、境界の定義についてです。
土地は敷地境界線により区切られています。
敷地境界線があるおかげで、土地が誰のものかをわかる状態にしておけるのです。
土地の境界線上にある角や隅にあたるところには境界点と呼ばれる部分があり、そこに境界標という目印になる杭が設置されています。
境界標はコンクリートや金属で作られていることが多く、矢印や十字が表記されています。
また、杭の中心に鋲が打ちこまれていることもあります。
その矢印の先端や十字の中心、あるいは鋲が境界点となり、境界点で結ばれた線が境界線となるのです。
この敷地境界線は「道路境界線」と「隣地境界線」の二つに分けられます。
道路境界線は、公道に接している境界線のことです。
一方、隣地境界線とは、土地と土地の境界のことを指しています。
土地はそれぞれの所有者が違うケースがほとんどです。
そのため、境界線を巡ったトラブルが多く見られ、フェンスを建てる際の費用をどちらが負担するのか、あるいは折半するのかなど、問題が大きくなることもあります。
まずは実際に境界線を確認しよう!
隣地境界線にフェンスを建てる、また費用は自費か折半かについて考える前に、まずはご自分の土地の正しい境界線を確認しておきましょう。
境界線を確認するためには、実際の境界標を目で見る必要があります。
土地の角にあたる部分に境界標があるはずなのですが、見つけられたでしょうか。
その境界標を繋げた線が境界線となり、フェンスを建てる際の目安となります。
しかし、土地というものは直線で描けるものだけではありません。
また、昔ながらの土地では、境界標の位置がずれていることも考えられるのです。
細かなところまで確認するためには、境界標だけではなく、測量図とも照らし合わせたほうが、確実な情報を得られるでしょう。
確かな境界線を確認するためには、確定測量図を用意してください。
確定測量図は土地の契約と同時に取得したはずです。
もし、見つからない場合は、最寄りの法務局で地積測量図を取得しましょう。
地積測量図は窓口かオンラインで取得すると便利ですが、1通につき450円の収入印紙代が手数料として必要になることは頭に入れておいてください。
費用が折半になる?フェンスを建てる位置が重要!
確かな隣地境界線の位置を把握できたら、フェンスを建てる準備をしていきましょう。
フェンスを建てるときに重要になるのが、隣地境界線をまたぐ形になるのか、あるいは自分の土地の中だけに収めるのかということです。
境界線をまたいでフェンスを建てたいときは、まず、隣の土地の所有者と話し合いをする必要があります。
自分の土地だけではなく、相手の土地もフェンスで占有することになるのですから、お互いが納得した上で話を進めていかなければなりません。
また民法では、隣接している土地のそれぞれの所有者の責任のもと、境界線にフェンスや塀などを設置できるという決まりがあります。
そのため、事実上は一方の土地の所有者がフェンスを建てることに反対したとしても、板塀や竹垣などであれば高さ2mの範囲内でフェンスを建てることが可能なのです。
加えてフェンスの設置費用は折半となります。
しかし、これからもお付き合いを重ねていくお隣さん同士、話をこじらせたまま暮らし続けるのはお互い嫌な気持ちになるでしょう。
金銭が絡む問題は難しいとは思いますが、話し合いによる平和な解決を目指したいですね。
もし、話し合いを続けても解決が難しい場合は、フェンスを自分の土地の中で収めて設置をすることも方法の一つなのかもしれません。
境界線上にフェンスが建てられないときはどうする?
もし、境界線上にフェンスを建てらないというときは、自分の土地の中だけでフェンスを建ててしまいましょう。
自分の土地だけを使うのですから、フェンスのデザインも高さも自由に決められます。
しかし、あまりにも奇抜なデザインであったり、高さがありすぎたりすると、周辺の住民からクレームを言われてしまうかもしれません。
そのため、自由だからと言って自分の考えだけでフェンスを建てるのではなく、あらかじめどのようなフェンスをどれくらいの期間をかけて建てるのかなどを、隣地の住民に声がけしておいたほうがよいでしょう。
自分の土地にフェンスを建てるときの費用についてですが、すべて自己負担となります。
隣の土地の所有者に、費用を折半してもらうことはできませんので、注意してください。
自費か折半か?フェンスの修理・取り壊し費用
フェンスを建てるときの費用は、隣地境界線をまたぐかまたがないかで負担する人が変わります。
もし隣地境界線をまたぐ場合は、その土地の所有者同士で費用を折半することになります。
一方、隣地境界線をまたがず自分の土地のみにフェンスを建てる場合は、費用はすべて自己負担です。
それでは、フェンスを建てた後の、修理や取り壊し費用についてはどうなるのでしょうか。
基本的な考え方はフェンスを建てるときと同じです。
隣地境界線をまたぐ場合は修理・取り壊し費用も折半となり、またがない場合はすべて自己負担となります。
また、費用だけではなく、フェンスの所有責任も同様です。
例えば、自分の土地に建てたフェンスがお隣の土地に倒れ何かを壊してしまった場合、賠償責任を負うことがありますので、その点は忘れないようにしましょう。
折半が無理なら自分で建てよう!境界のフェンスの選び方は?
折半が無理だった場合、自分でフェンスを選ばなければなりません。
ここでは、境界のフェンスを選ぶ際のポイントについてご紹介していきます。
●素材
フェンスの素材によって特徴が違います。
木製・アルミ製・樹脂製などたくさんの種類がありますので、それぞれの強みや見た目を考えて選んでください。
この中でもおすすめなのが樹脂製です。
樹脂製のフェンスは劣化がしにくく、手入れも楽なところがポイントです。
●高さ
フェンスは、低すぎると目隠しの意味を成しませんし、高すぎると日の光を阻害し圧迫感を与えます。
そのため、適切な高さのフェンスを選ばなければなりません。
フェンスに推奨する高さは180cmです。
180cmあれば、大人の男性の目線も防げますし、バランスの取れた高さと言えるでしょう。
●カラー・デザイン
フェンスには様々なカラーやデザインのものが販売されています。
家の雰囲気を壊さず、敷地全体のバランスを考えながら決めると、まとまりを感じられるはずです。
フェンスは周辺住民の意向もくみ取り建設しよう!
フェンスは周辺の住民の意向もくみ取ったうえで建設すると、トラブルを避けることができるでしょう。
とくに、隣地境界線上にフェンスを建てる場合は、建設費用も折半となりますので、十分な話し合いが大切です。
自分の土地にフェンスを建てる場合も、周囲の人に迷惑が掛からない範囲でデザインや高さを決めるようにしてください。
境界に建てるフェンスを選ぶポイントについてもご紹介しましたので、そちらも参考にしてください。