土地や戸建て、マンションといった不動産を売買する際には、登記が必要になります。
しかし、登記と聞いても、すぐに意味が理解できるかたはおそらく少ないことでしょう。
意味を理解していないと、後々手続きがスムーズにいかなくなりますので、しっかりと把握しておきましょう。
また、登記といっても色々な種類がありますので、簡単にご説明していきます。
登記とは簡単にいうと不動産を所有している証明
不動産登記が必要になるときは、次のようなときです。
・新築
・増築
・不動産の売買
・不動産の相続や贈与
・住宅ローンの利用や借換え、完済時
・建物の取り消し
不動産登記をする意味としては、不動産を所有している人は誰なのか、またはどういった不動産なのかを明らかにしていくためです。
簡単にいえば、不動産を所有している証明になるということになります。
不動産は決して安いものではありませんから、貴重な財産である不動産を取引きする際、誰のものか分からない土地や建物の話を進めることは、むずかしいですよね。
不動産の内容があやふやのままでは、きちんとした取引きはできません。
安全性を高めるため、そして円滑に取引きをするためにも、登記手続きをしてまいりましょう。
しかしながら、登記といっても義務付けられているものと、そうでないものがあります。
任意のものであっても、意味を知っていて登記しないのと、知らずに登記しないのでは、全く意味合いが違います。
それぞれの登記について、確認していきましょう。
表題部と権利部の登記の意味を知ろう
不動産の取引きを円滑に進めるために、登記記録に不動産の内容が登録されています。
そして、公示制度が設けられているため、登記記録は一般公開されるものです。
不動産登記は一つの建物のなかで、表題部と権利部の登記に区別されていますので、それぞれの意味をご説明していきます。
●表題部
建物を新築したとき、所有者となる人は1ヶ月以内に表示登記(表題部)をしなければいけません。
さきほどお伝えした、義務付けられている登記になります。
こちらは不動産登記法で定められているため、違反してしまうと10万円以下の過料が発生しますので、必ず登録しましょう。
土地であれば所在や地番、地目や地積など、建物であれば所在や地番に加え、構造や床面積などが記録されます。
●権利部
こちらは任意によるもので、登記するか否かは自由です。
所有権保存登記(権利部)は、簡単にいうと不動産の権利を記録するものになります。
簡単な手続きではないが意味を知らないとリスクに!
前項でもお伝えした通り、所有権保存登記は任意によるものです。
しかし、任意であるからと、所有権保存登記の意味を知らずに放っておくのは少々リスクがあります。
不動産の権利を登記していなければ、当然、不動産の所有者であることを証明することはできません。
よって、不動産を担保にして金融機関から融資を受けることはできませんし、売却時の手続きも進まない事態になってしまいます。
また、二重売買によるトラブルが起こってしまった場合、抵抗する力が弱くなります。
例えば、一つの土地の所有者が二人いたとして、両者が売買契約をした場合、どちらが新しい所有者になるのか明確に分かりません。
そのような場合、民法で先に登記をしていた人が所有者として認めることになります。
手続きに手間や費用がかかったりと簡単ではありませんが、先に登記した人が所有者として認められるということであれば一度考えてみてはいかがでしょうか。
一般的には司法書士に依頼しますが、個人で行うこともできます。
所有権移転登記をする意味はトラブルに発展させないためでもある
不動産を売買するときや相続、贈与するときは、所有権移転登記の手続きをしましょう。
所有権移転登記を簡単にご説明すると、元々の不動産の所有者から新しい所有者へと移転するという意味になります。
二重売買のリスクを考慮して登記をするかたがほとんどではありますが、相続が生じたとき、相続登記を忘れてしまうかたが多いようです。
相続登記は不動産登記の一つで、後々もめごとに発展する場合がありますので注意しましょう。
相続は、被相続人が亡くなった時点で開始となり、遺言で残されていない限りは法定相続分の割合で共有していきます。
そのあと、遺産分割協議によって、それぞれの相続財産が確定していくものです。
このような方法をとると、はじめに共有の相続登記の手続きを行い、遺産分割協議で確定した相続人の単独名義に共有分移転登記の手続きを進めていきます。
しかし、実際は相続が発生すると急を要するため、法定相続分での登記手続き後、遺産分割協議で決定したタイミングで登記をする場合などもあります。
抵当権設定登記の意味を簡単に教えて!
建物を新築したとき、不動産のように金額が大きいと住宅ローンを組むかと思います。
住宅ローンを借入するときに行うのが、抵当権設定登記です。
不動産を担保にして融資を受けますが、住宅ローンが終わるまで支払い続けられるといった保証は100%あるとは言い切れませんよね。
こういった事態に備えて、金融機関が裁判所に申し立てることができるように手続きをします。
簡単にご説明すると、担保になっている不動産を競売にかけ、優先的にお金を返してもらえるあてがあれば、住宅ローンを組むことができるという意味です。
このような権利を抵当権といって、金融機関を抵当権者といいます。
不動産に抵当権がつくと抵当権設定となり、住宅ローンの借入をした側を抵当権設定者とするのです。
そして、この権利を明確にすることとして、抵当権設定登記の手続きをする必要があります。
抵当権設定登記も所有権保存登記と同様に、司法書士に依頼、または個人で行うこともできます。
融資の完済時には、抵当権抹消登記も忘れずに行いましょう。
抵当権抹消登記を完了すれば、正式な不動産の所有者になることができます。
建物が無くなったら1ヶ月以内に建物滅失登記の手続きを!
最後に、建物滅失登記について解説していきます。
建物の取り壊しや、火災などによって滅失した場合に行う手続きです。
解体してから1ヶ月後に滅失登記を行わないと、10万円以下の過料が発生しますので、気を付けましょう。
また、この手続きを行っていないと、更地ではあるのに、登記記録には建物が存在している状態になってしまいます。
なにかトラブルが起こってからでは遅いですから、必ず手続きを行ってください。
なお、滅失登記は一般的に土地家屋調査士に依頼していきますが、滅失登記は他の登記と比べると簡単なので、自分で手続きもできます。
滅失登記すると表題部の登記内容が全て抹消するため、登記簿を除去し、今度は閉鎖登記簿になります。
簡単にいうと、表題登記は出生届のようなもので、滅失登記は死亡届といったところでしょうか。
どちらも、この世に存在する意味を証明し、反対に無いものを証明していく手続きというわけです。
所有する不動産を証明するための記録
不動産を所有している証明になる登記は、あらゆる取引きをする中で、なくてはならないものです。
必ず行わなければならない手続きがあるなか、任意での手続きもありますので、どのような意味があるのかをよく考えてから選択していきましょう。
また、個人で手続きをするときに不安を感じたら、登記相談窓口に書類を持参してみてはいかがでしょうか。
書類に不備があると二度手間になってしまうので、確認の意味も込めて相談してみましょう。