まれに「不動産登記を過去にしたものの、内容に錯誤があった」ということもあるといいます。
登記事項証明書が現状と異なっていると、証明書上ではそこにあることになっているのにもかかわらず、実際には存在していないということもあり得ます。
そこで、今回は過去の登記が錯誤がある場合の更正登記についてや、その費用についてもお話しします。
費用を知る前に不動産登記を知ろう!どんなものがあるの?
不動産登記をした内容と現状に錯誤がある場合、その対処法や費用についてもお話ししますが、先に不動産登記について軽く知っておきましょう。
不動産登記は家を新築・増築・リフォームしたり、マンションを購入したりなど、その不動産を「自分のものである」という権利を得るために欠かせないものです。
しかし、不動産登記といっても複数あるので、どんなものがあるのが見ていきましょう。
●表題登記
表題登記というのは、まだ登記されていない土地や建物に対して新たに行う登記のことをいいます。
土地や建物がどのようなものであるかを記録します。
●所有権保存登記
所有権保存登記は、最初に土地や建物を所有した方しか行いません。
そのため「誰かが所有していた土地を購入し家を新築する」といった場合は、建物に対する所有権保存登記を行います。
●所有移転登記
先に説明した所有権保存登記は初めての所有者が行いますが、所有権移転登記は所有者が変更したときに行うものです。
そのため、誰かが所有していた土地や建物を購入するときは、所有権移転登記をする必要があります。
●抵当権設定登記
建物や土地を購入する際は現金で購入することもできますが、ローンを組まれる方も多いでしょう。
その際にしなければならないのが抵当権設定登記で、もしもローンの返済が難しくなった場合は土地や建物を売却し、それを返済にあてるという内容です。
他にもこんな不動産登記がある!怠ると過料?!
先にお伝えした登記は、あくまで一部となっていますが、他にも建物滅失登記というのがあります。
この登記は、登記記録にあった建物がなくなったときに行うもので「登記を閉鎖する」ともいいます。
建物滅失登記は、建物が解体されたあと1ヶ月以内に行わなければならないという決まりがあり、それを怠ってしまうと、100,000円以下の過料に処せられることもあるといいます。
そのため、建物を取り壊したり、火災で建物がなくなってしまったりしたときには忘れずに行いましょう。
建物滅失登記はご自分で行うことも可能で、のちにご説明する「登録免許税」という費用はかかりません。
また、ご自分でなさるのは「少し心配」という方は、土地家屋調査士に依頼することも可能で、費用の相場は30,000~50,000円程度だといいます。
不動産登記に関してご説明したあとは、登録免許税についてや錯誤による更正登記についてお話しします。
錯誤がないかしっかり確認しよう!登記は費用がかかる!
建物滅失登記を除き、登記は無料で行えるものではなく登録免許税が必要で、この手続きをするのにあたって国に税金を納めなければなりません。
その費用は、不動産登記の場合であれば、土地や建物の固定資産税評価額に対して税率をかけて算出できます。
しかし、固定資産税評価額がまだ建物につけられていなければ、法務局で定められている課税標準価格に対して税率をかけて求めることができます。
不動産登記にはたくさんの種類があるため、ここではその一部のみをお伝えするので参考になさってください。
・所有権保存登記(住宅・新築建物) 固定資産税評価額×0.4%
・所有権保存登記(住宅・中古建物) 固定資産税評価額×2.0%
・所有権移転登記(土地) 固定資産税評価額×0.2%
・抵当権設定登記(住宅ローンの借り入れ) 債権額×0.4%
例えば、債権額が20,000,000円だとした場合、抵当権設定登記の登録免許税を算出するための計算は以下のようになります。
20,000,000円(債権額)×0.4%(税率)=80,000円(登録免除税)
次に、錯誤による更正登記や変更登記にかかる登録免除税についてお話しします。
錯誤があったときは?変更登記と更正登記の違い
不動産登記が無事に済んだはずが、内容に違いがあったとしたらその場合はどうしたらいいのでしょうか。
変更登記や更正登記をした際にかかる費用も不安なところです。
まずは、変更登記と更正登記の違いを知っておき、どちらの登記をする必要があるのかを考えましょう。
●変更登記とは?
変更登記とは、過去に登記した内容と現在が違う場合に行う登記です。
例えば、既にある家を増築した場合や氏名が変更した場合で、それを正確に記録するために変更登記をします。
●更正登記とは?
登記した内容に記入漏れや錯誤があった場合、これを正しいものに訂正したり補充したりする際に更正登記を行います。
つまり、登記したい内容が最初から違えば更正登記で、最初に登記した内容と現状が変わっていれば変更登記をするということです。
登記に錯誤があったときの費用はいくら?
不動産登記をした内容に錯誤があったときは、その部分を直さなければなりません。
申請書に記入する氏名や住所に違いがあれば、それを直す必要がありますが、登録免許税は不動産1つにつき1~2,000円程度で更正登記を行うことができます。
他にも、夫婦で新築を購入した場合は持分を登記しますが、持分を錯誤してしまうことがあるかもしれません。
その場合は、所有権の更正登記をして正しく申請し直す必要がありますが、こちらも1,000円程度で行うことが可能ですが、買主名義に間違いがあると高額になるケースもあります。
登録免許税については、金額が異なる場合もあるので、法務局で確認していただくと確実です。
しかし、登記官のミスにより更正登記が必要な場合は、利害関係があるかもしれないような第三者がいない限り、職権で更正登記を行うことができます。
ちなみに、その場合は登録免許税などの費用の負担はありません。
更正登記に必要なものは?
これまで、更正登記や登録免許税の算出の方法などについてお話ししましたが、更正登記に必要なものを見ていきましょう。
錯誤している内容によっても必要な書類は異なるので、今回は氏名に絞ってお伝えします。
【必要なもの】
・登記申請書
・登記原因証明情報
・戸籍謄本または抄本
・住民票
・登録免許税(1,000円から2,000円の費用が一般的)
・★不在籍証明、不在住証明
・★対象の不動産の権利書または登記識別情報
また、「★」のものは必ず必要というわけではなく、登記官が「名前が間違っていたことが分かった」となれば、登記申請書と登記原因証明情報のみでも更正登記をすることが可能です。
本人が更正登記を行うことができない場合は代理人が行うことも可能で、その場合は代理権限証明情報を提出する必要があります。
代理権限証明情報は委任状のことで、登記を他の方に頼むときには必ず記載してください。
また、これらの必要書類を準備したとしても、不安な方は法務局に相談窓口が設置されていることもあるので、書類一式をチェックしてもらうと安心です。
錯誤している内容は更正登記しよう!
不動産登記は種類も多く難しい印象がありますが、それぞれの登記にしっかり役割があります。
登記した内容に変更や錯誤があれば、変更登記や更正登記をする必要があります。
また、登記をするのにあたって登録免許税が発生するので、そのことも踏まえて手続きをしましょう。