二世帯住宅は同居扱いなの?それとも別居扱いになる?

一般的に、親世帯と子世帯が同居する住宅を、二世帯住宅といいます。

建設コストを抑えられるとのことですが、経済的なことなど、二世帯で住むことのメリットはあるのでしょうか。

また、二世帯住宅は、同居扱いになるのか別居扱いになるのかについてお話しします。

完全同居型の二世帯住宅の特徴

はじめに、二世帯住宅は同居扱いになるのか、それとも別居扱いになるのかを解説していきます。

二世帯住宅の場合、構造形状によって判断されるようです。

まずは、同居扱いになる二世帯住宅の特徴からみていきましょう。

同居扱いになるポイントは、生活設備(玄関やキッチンなど)を共有している場合です。

玄関は共有していなかったとしても、キッチンなどを共有していれば、同居扱いになります。

●完全同居型

寝室などの個室は別にして、それ以外の部分は共有するといった間取りになります。

完全同居型の二世帯住宅では、家族団欒の時間が増えるため、仲良し家族に人気の構造です。

家に帰ってくれば誰かがリビングにいるといった安心感も、完全同居型ならではではないでしょうか。

共働きの子育て世帯でも、親に協力してもらえるなどのメリットがあります。

ただし、親と子のライフスタイルに大きな違いがある場合は、少々気を遣わなくてはなりません。

例えば、早寝早起きの親世帯に対し、夜が遅くなる子世帯では、生活の時間帯が大きく違いますよね。

完全同居型では、お互いの関係性も、生活のしやすさに関わってきます。

同居扱いだけど別居に近くもなる二世帯住宅

続いてお伝えする2つめの二世帯住宅の構造は、部分共用型です。

共有した部分と、共有したくない部分とを分けられるため、完全同居型よりはプライバシーを保つことができます。

●部分共用型

玄関や浴室など、一部の設備を共有している間取りになります。

1階部分に親世帯、2階に子世帯など、生活する時間帯に違いがあっても間取りを考慮すれば過ごしやすくなるでしょう。

浴室まわりや廊下などは音が響きやすいですから、ストレスなく生活していくためには間取り作りが重要になってきます。

共有する部分が少なくなれば、適度なプライバシーを保つことができそうですね。

反対に、共有する部分を増やせば、そのぶんコストが抑えられます。

二世帯で、どこを共有していくかを計画することが大切です。

生活設備の共用部分を少なくすれば、別居とはいかないまでも、プライバシーが保てる二世帯住宅になるといえるのではないでしょうか。

生活設備を共有しない完全分離型は別居扱いになる

3つめの二世帯住宅の構造は、完全分離型です。

これまでの完全同居型や部分共用型とは違い、生活設備を共有していない間取りになります。

●完全分離型

完全分離と書かれているように、別の世帯で暮らす間取りです。

そのため、別居扱いになる二世帯住宅になります。

二世帯住宅としていますが、感覚的にはマンションなどに住む隣同士といったところです。

近くには住んでいるけれど、プライバシーも保たれ、お互いに干渉し合わない関係が築けることでしょう。

同居に対して気が進まなかった方も、完全分離型であれば前向きに考えられるかもしれませんね。

しかし、全くの別世帯となるため、関わりを持たなくなればお互いの暮らしぶりは分かりません。

こういったことから、関わりをなくさないために、玄関を隣合わせにするなどして顔を合わせる工夫をしている方もいらっしゃいます。

干渉はしないけれど見守りができる距離が、丁度いいのかもしれませんね。

ただし、建築費用は2軒分かかりますから、経済的負担は否めないでしょう。

さまざまな税金が有利になる二世帯住宅

二世帯住宅の間取り別に、同居扱いになるのか別居扱いになるのかをお伝えしてきました。

これまでのことを、まとめてみます。

【同居扱いになるケース】

・生活用設備(玄関や台所など)を共用している
・玄関は共用していなくても、キッチンなどの生活用設備は共用している

【同居扱いにならない(別居)ケース】

・生活用設備を共用していない
・玄関は共用しているが、キッチンなどの生活用設備は共用していない
・同一敷地内で別家屋に居住している

以上のことから、生活用設備を共用している実態があれば、同居として取り扱われます。

なかには同居扱いであっても、別居扱いであっても、同居に一歩踏み切れないという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、二世帯住宅は住宅を建てるときにかかるさまざまな税金に対して優遇措置があるため、税金を抑えられる場合もあります。

また、親子同居であれば相続税の評価も有利になるため、経済的メリットがあるのです。

そういったメリットに目を向けてみると、同居へのイメージも変わってくるかもしれませんね。

別居していたときよりもいい関係に!同居するときの心得

それでは、同居扱いになる場合の二世帯住宅で、気をつけていきたいことをお話しします。

せっかく二世帯住宅で一緒に住むことになったのに、「別居していたときのほうがよかった」とならないためにも心得ておきましょう。

●生活習慣の違い

起床時間や就寝時間の違い、炊事洗濯、入浴時間に違いがあります。

お互いの生活習慣を把握し、朝が早く夜遅いときなどは、気遣いを忘れないようにしましょう。

また、キッチンなどは、使う時間や曜日などを、あらかじめ決めておくといいですね。

例えば、17時から18時までは親世帯、月曜日と水曜日は子世帯など、無理のないルールを決めておく方法もいいでしょう。

●価値観の違い

例え親と子でも、価値観は人それぞれです。

相手の親となれば、なおさらですよね。

お互いの価値観を尊重し合いながら、ときには歩み寄ることも大切です。

●光熱費の把握

電気やガス、水道代など、同居をしていると世帯別に把握しにくくなります。

どちらかが使いすぎていても気づきにくいため、トラブルになることもあるのです。

ここは二世帯で協力しあって節約を心がけてみるのも、1つの方法です。

「節約して家族旅行に出掛けよう」などと、楽しい目標を掲げてみると、嫌味なく伝えられるのではないでしょうか。

どう分ける?完全分離型の二世帯住宅

最後に、別居扱いになる完全分離型の間取り例をご紹介しましょう。

完全分離型の二世帯住宅では、縦割りと横割りがあります。

●縦割り

親世帯と子世帯の住居を、左右隣り合わせにした設計です。

見た感じは2つの家がくっついているようなイメージでしょうか。

それぞれの玄関を近くすることで、顔を合わせやすいメリットがあります。

また、親が高齢になったときでもすぐに行き来できますし、いずれ同居になったときには、使わなくなった住居を賃貸にすることもできます。

完全左右分離型では、浴室やトイレなどを隣同士に設計すると水まわりの音が気にならなくなります。

●横割り

1階は親世帯、2階は子世帯などと、住宅を水平に分ける設計です。

1階と2階を住み分かる方法は、次のような方法があります。

・玄関は一緒で階段を通って2階に行く
・1階の階段を上がった先に玄関を設ける
・外階段を作って2階に上がる

心強い二世帯住宅

これまで別々に暮らしてきた世帯が一緒に暮らすのですから、はじめは慣れないこともあることでしょう。

しかし、お互いを信頼し、困ったときに助け合える関係性が築ければ、これほど心強いことはないですよね。

二世帯住宅といっても、構造の違いで生活スタイルが変わります。

経済的コストも考えながら、どのように暮らしていきたいかを、よく話し合っていきましょう。