自宅の駐車場に屋根をかける場合、かかる費用も少なく手軽につけられるのは市販のカーポートです。
しかし、予算に余裕があるならシャッター付きの車庫を建てたいという方も少なくないでしょう。
今回は自宅に木造または鉄骨造の車庫を建てた場合とカーポートを設置した場合、それぞれの工事や費用についての違いを詳しくご紹介します。
車庫やカーポートを建てる場合、建蔽率の対象になるの?
木造や鉄骨造の車庫を建てる場合、車庫には屋根がありますので、その部分は床面積に算入することになり建蔽率の規制の対象となります。
そのため、既に建っている自宅に新たに車庫を建てる時は増築として確認申請の提出が必要となります。
確認申請が必要になると、費用がかかるだけでなく工期も長くなってしまうので注意しましょう。
カーポートを建てる場合も同様に建蔽率の対象となりますが、その構造によっては建蔽率が緩和されます。
緩和条件は以下の通りです。
・天井の高さが2.1m以上
・柱の間隔が2m以上
・外壁のない部分が連続して4m以上
・地階を除く階数が1である
これらの条件を満たす場合、高い開放性を有する建築物となるため、建築面積の算入が不要となります。
ただし詳細は自治体によって異なる場合がありますので、必ず確認をしましょう。
木造や鉄骨造の車庫を計画する時に気をつけることは?
自宅の敷地内に木造や鉄骨造の車庫を計画する場合、どんなことに注意が必要でしょうか。
まず車庫の面積ですが、大きすぎる車庫は費用がかさむだけでなく、法規制に触れ建てられなくなってしまうこともあります。
普通車を1台駐車する場合の一般的な面積は縦6m横3mとなり、もし2台駐車する場合はその倍の面積が必要です。
さらにガレージの中に棚や作業するスペースを作るとなるとかなりの規模になります。
車庫の面積が自宅の面積の5分の1を超えると、容積率に算入する必要がでてきます。
自宅の容積率に余裕があればよいですが、ぎりぎりで建てている場合は注意しましょう。
また、車庫は建築基準法において内装制限がかかる特殊建築物に指定されています。
内装制限とは、建物内部で火災が起こった場合に燃え広がるのを防ぐため内装材を規定する制限のことです。
車庫はその規模にかかわらず、天井及び壁を準不燃材または不燃材で仕上げる必要があります。
自宅敷地内にカーポートを建てる時に気をつけることは?
自宅の敷地内にカーポートを建てる計画をする場合、気をつけたいのは、建てる場所に配慮することです。
カーポートを建てる柱の位置は、基礎が水道やガスの配管に接触しないよう配管から50cm以上離して建てなければなりません。
また、カーポートの屋根が自宅に近すぎると、自宅の屋根からカーポートの屋根に雪が落ちて屋根が壊れる危険性があります。
自宅の屋根の勾配に気を付けて位置を決めましょう。
また、カーポート自体の屋根の勾配についても配慮が必要です。
例えば勾配を隣地に向けてしまうと、雨や雪が隣地に流れ込んでしまいます。
その他にも、自宅の地域の特性によって気をつけるべきことがあります。
例えば雪が多い地域で、普通のカーポートを建てると、積雪によって屋根が壊れてしまいます。
しかし木造や鉄骨造で車庫を作ると、頑丈という反面、費用がかさんでしまいます。
雪の多い地域では、多雪専用のカーポートをおすすめします。
多雪専用のカーポートは降雪量によって種類が分かれており、4本以上の柱で積雪した屋根を支える頑丈な造りです。
また、潮風の吹く海辺の地域では、潮風によるさびが発生しないようスチールではなくアルミを用いたカーポートにするなど、建てる地域に応じて材質や形状を選択しましょう。
木造や鉄骨造の車庫の建築工事を発注する先は?かかる費用は?
木造や鉄骨造の車庫は建築物となるため、建設会社に発注をすることになります。
車庫を建てる場合、木造の在来工法やツーバイ工法、軽量鉄骨造や重量鉄骨造など様々な構造を選択することができます。
工務店と請負契約を結んでから、設計、確認申請、基礎工事、本体工事をして竣工まで、だいたい1か月くらいかかります。
軽量鉄骨造や重量鉄骨造の場合は、さらにもう1か月かかる場合があります。
車庫を建築する費用については、重量鉄骨造が最も高く、次いで軽量鉄骨造、木造は重量鉄骨造の8割から7割程度となります。
また既製品の車庫を購入し、それを組み立てるという方法もあります。
既製品の車庫を使用する場合、一般的には木造より費用を抑えることが可能です。
しかし既製品の車庫は大きさが決まっているため、建てるスペースに余裕がないと難しい場合があります。
カーポートを建てる工事を発注する先は?かかる費用は?
カーポートの工事は、木造や鉄骨造の車庫に比べるとかかる費用も工期も3分の1以下で収まります。
カーポートを建てる工事はどこに発注するのでしょうか。
最も安く建てられるのはホームセンターです。
カーポートの資材を購入し、同時に取付工事をお願いすることができます。
工事の費用を抑えることはできますが、難しい立地や細かな位置決めなどには対応できないこともあります。
難易度の高い工事の場合は、他の依頼先も検討するといいでしょう。
ホームセンター以外の依頼先は、外構工事業者や工務店となります。
傾斜がある土地など難易度の高い工事の場合、外構工事業者や工務店に依頼すれば適した商品や工法を選定してくれるでしょう。
カーポートの工事にかかる期間は、だいたい6日間から9日間くらいです。
基礎部分にコンクリートを流し込み固まるまで養生する期間がありますが、天候によってその期間が延びることがあります。
既存のカーポートの撤去が必要な場合や、カーポートを建てる場所に土間コンクリートが打ってある場合には、もう少しかかる日数が増えます。
木造や鉄骨造の車庫、カーポートの寿命は?修理やメンテナンスは費用がかかる?
車庫の寿命は、木造で20年から30年、鉄骨造で30年超と、長いものがほとんどです。
ただし、通常の建物と同様にメンテナンスが必要になります。
外壁の塗装やシール部分の交換、屋根の修理や葺き替え、雨どいや照明の交換といった工事になります。
足場を設置する大がかりな工事になるため、自宅の修繕工事と同時に行うことが多いようです。
車庫のメンテナンスにかかる費用は、10年で建てた金額の3分の1程度、30年で建てた金額に届くくらいの額がかかります。
手厚いメンテナンスで予防するに越したことはないのですが、あまり費用がかかりすぎるのも問題ですね。
カーポートの寿命は、一般的には15年程度です。
カーポートは紫外線や潮風によって劣化しますが、雨や雪を防ぐという目的だけであればかなり長い期間耐えることができます。
しかしカーポートが劣化した結果、雪や台風によって屋根部分が落下してしまうと、危険なうえに車に傷をつけてしまう可能性があります。
やはり15年を超えるような場合は、交換を視野にいれると良いでしょう。
木造や鉄骨造の車庫とカーポート、それぞれの特徴を踏まえて建てよう
自宅の敷地内に木造や鉄骨造の車庫、またはカーポートを建てる場合は、建蔽率や建てる場所に注意が必要です。
また、建てるときやメンテナンスの費用、工事期間はそれぞれです。
それぞれの特徴を踏まえ、自分に合ったものを建てましょう。