会社や住宅によっては、ものを保管しておく「倉庫」が必要なこともありますよね。
倉庫を建てるとなれば、気になるのはどのくらいの坪単価で建てることができるのかということです。
今回は、倉庫と物置の違いから、「テント倉庫」「プレハブ工法」「システム建築」「木造軸組工法」の4つの倉庫のタイプの特徴とメリット・デメリットなどをお話しします。
おおよその坪単価もお伝えするので、倉庫を建てる際の参考になさってください。
倉庫と物置の違いはなに?
のちに、テント倉庫・プレハブ工法・システム建築・木造軸組工法の倉庫の坪単価についてお話ししますが、倉庫と物置の違いはなにかをご存知でしょうか。
「倉庫が欲しい!」といっても、想像されているものは物置なのかもしれないので、簡単に物置と倉庫の違いをお話しします。
・物置
しばらく使うことのないような道具などを入れておくための建物のことをいいます。
・倉庫
「蔵」ともいい、貨物や品物を保管したり、貯蓄したりするための建物のことです。
また、他人の品物を保管しておくのに設けられた建物を指すこともあります。
土地家屋調査士が使用する「調査・測量実施要領」の本には、次のように違いが書かれています。
・物置の定義
日常的に使用するものを保管しておくためにある、サイズの小さい建物
・倉庫の定義
比較的規模が大きく、物品をしまっておくために使用される建物
このことから、物置は比較的一般家庭でも見かけるようなもので、倉庫はどちらかというと業務用という印象があります。
ただし、住まいを会社としている場合もあるので、必ずしも業務用が倉庫になるともいえませんし、なにかの品物を保管することがあるかもしれません。
そのため、すぐに使わないものを保管していて、保管する建物の規模が小さいものは物置としています。
ちなみに、物置と倉庫の建築確認を行うときは、どちらも「倉庫」とすることが多いといいます。
木造の倉庫の坪単価を知る前に!どんな倉庫があるの?テント倉庫って?
建てたいものが倉庫であれば、早速どんな倉庫を建てたいのかを考えましょう。
倉庫は「テント倉庫」「プレハブ工法」「システム建築」「木造軸組工法」の4つに分けることができますが、選ぶものによって坪単価は変わります。
1つずつどんなものかを見ていきましょう。
テント倉庫は、他の3つに比べると工期が短く、骨組みに対してテント生地を張るだけなので、2か月程度で完成させることができる上に、費用が安いものが多い傾向にあります。
「倉庫はできるだけシンプルで短期間・低価格で完成するものが欲しい」というのであれば、テント倉庫がよいでしょう。
しかし、耐久性に欠けるため、工場や店舗として使用するとなれば心配な面もあります。
テント生地は日光や雨などによって劣化しますが、そうなった場合には張り換えが必要になることも覚えておきましょう。
テント生地が破れてしまっているのにもかかわらず交換せずにいると、そこから雨水が侵入し、建物を支えている金属の骨組みがサビてしまうことも懸念されます。
骨組みがサビてしまうのが心配な方は、メーカーによっては木造素材で複合された製品もあるので、そういったものを選ぶとよいのかもしれません。
テント生地の交換にかかる費用は生地によっても異なりますが、ものによっては100万円以上することもあります。
テント倉庫は、これからご紹介するプレハブ工法やシステム建築・木造枠組み工法よりも修繕費用がかかるといえます。
プレハブ工法は品質が安定している!
次にお話しするのはプレハブ工法ですが、こちらは倉庫を建てるために必要なパーツを全て工場で生産をして加工を済ましておきます。
そして、建てる現場に加工されたものを全て持ち込み、そこで組み立てを行って建てるというものです。
木造住宅でもこの工法で建てるというメーカーがありますよね。
プレハブ工法のメリットは、決められたものを決まった工程で作るため、職人の技術に左右されにくく品質が安定していることです。
工期はでき上がっているパーツを組み立てるだけなので比較的短く済みますし、人件費を押えることもできます。
一方、デメリットはデザインの自由度が低いというところですが、パーツの組み合わせを変えることができるメーカーもあります。
プレハブ工法の倉庫は、テント倉庫に比べて坪単価は高くなります。
システム建築の倉庫はどんな特長があるの?
システム建築とは、倉庫を建てるときに必要なパーツが標準であり、設計・製作・施工などの計画を全てシステム化したものをいいます。
全てをシステム化することによって、品質が高く、場合によってはコストを抑えることも可能になります。
そのようなメリットがある反面、デメリットはシステムを使用して設計を行っているため、デザインの自由度が低いとされており、平凡なイメージになりやすいです。
また、鉄骨を使用するケースが殆どであるため「木造の温かいイメージの倉庫が欲しい」という方は、のちにお話しする木造軸組工法の倉庫がよいでしょう。
ただ、それでも機能性はとても高いので「見た目はどうであれ、快適な倉庫がいい」という方は、システム建築の倉庫をおすすめします。
ちなみに、坪単価はこれまでお話しした倉庫のなかでは、システム建築が最も高くなります。
最も坪単価が高い木造軸組工法
木造軸組工法は、一般住宅などでも利用されている工法なので、イメージがしやすいかと思いますが倉庫の建築に利用されるケースもあります。
倉庫の大きさに応じて数本の柱を垂直に立て、それらを梁でつなぐことで建物全体をしっかりと支えることができます。
木造軸組工法であれば材料を自由に選ぶことができますし、複雑な作りにも対応することが可能なので、個性的な倉庫を作ることもできます。
しかし、デメリットとしては設計に時間がかかることから、どうしても完成するまでに時間がかかってしまうところでしょう。
また、坪単価はこれまでご紹介した倉庫のなかで、もっとも高くなります。
倉庫のおおよその費用に関しても、他のタイプの倉庫であれば、費用を図面ができ上がる前に算出することができます。
しかし、木造軸組工法の場合は、細部の図面まで完成した状態でないと明らかな数字が出せないので、比較がしにくくなります。
4つのタイプの倉庫の坪単価はどのくらい?木造が一番高い?
これまで、4つの倉庫の特徴やメリット・デメリットなどもお話ししましたが、肝心な坪単価はどのくらいなのでしょうか。
坪単価とは1m²あたりにかかる建築費のことで、建物を建てるときにおおよそどのくらいの金額なのか目安とするためのものです。
・テント倉庫 7万円
・プレハブ工法 15万円
・システム建築 21万円
・木造軸組工法 30~50万円
上記の坪単価は、メーカーやどこにどのくらいの大きさの倉庫を作るのかによっても変わります。
また、それだけでなく建物の費用以外にも外構の工事もあるので、費用はもっとかかるということを覚えておきましょう。
さらに、構造体によっては断熱材を入れることもありますし、建具やそのほかに水道設備などを入れたとするとその分の費用も上乗せになります。
木造軸組工法以外の倉庫を希望しているのであれば、いろいろなメーカーで倉庫以外にもかかる費用も込みで、見積りを出してもらうと安心かもしれませんね。
倉庫は4つの種類で特徴も違う!
今回は倉庫と物置の違いをお伝えしたあとに、倉庫の種類を4つお話しました。
倉庫のタイプによって坪単価はことなりますが、メリットやデメリット・特徴などは大きく違います。
坪単価のなかには、その他の費用が含まれていないことが殆どなので、見積りを出してもらうときは、他にかかる費用も含めてもらいましょう。