今年は全国的に記録的な雪が降り、首都圏でも交通が乱れました。
積もった雪道を歩く際、車道と歩道の区別がつかずに、側溝に落ちて怪我をされた方もいたようです。
このような状況では、すぐに雪かきが必要になります。
自家にお住まいの方は全て自分で行わなくてはなりませんが、賃貸アパートの場合は、どこまで雪かきをすれば良いのでしょうか。
地域や物件により対応が異なる、アパートの「雪かき」の実態についてご紹介します。
「雪かき」はどこまですればよいのか、範囲が不明確
今年のような記録的な大雪が続くと、雪に慣れた北国にお住まいの方からも、「いくらやっても終わらない」「体力も損なわれ、どこまですればよいのか途方にくれる」という苦しい声が上がります。
アパート暮らしの方は、自分の部屋に通じる通路だけやっていれば大丈夫でしょうか。
共有スペースがある場合、そこを見て見ぬふりをするのも気が引けますし、「なぜ自分だけがやらなくてはならないのか」と憤りを感じることもあるかもしれません。
「雪かき」はしたものの、除雪した雪の捨て場所がなく、隣の家の前に置いてトラブルになったという話も聞かれます。
また、人手不足で「雪かき」に参加する、しないで揉めるケースも増えているそうです。
こういうことで、ご近所とのトラブルになるのは苦痛ですよね。
どうにか解決策はないものでしょうか。
アパートの「雪かき」はどこまで行えばよいか
持ち家の「雪かき」は、敷地の所有権を有している以上、持ち主が全て自分でしなくてはなりません。
それは当たり前のことですね。
また、敷地に接する道路が公道で通行の妨げになる場合には、すぐ対応できるかどうかは別として、役所の仕事になります。
賃貸のアパートで生活されている方は、どこまで雪かきをするのがよいのでしょうか。
ご自分の部屋に通じる通路や階段は、転倒のおそれがあるため、早めにご自身で対応されてが方がほとんどではないでしょうか。
一方、アパートの敷地内の駐輪場や駐車場の「雪かき」については、地域や駐車場のタイプによっても違いがあります。
過去に実施されたアンケートによると、アパートの屋外駐車場の「雪かき」は、自分の車を動かす必要があることから、ご自身でしている方が多いという結果が出ています。
20センチ以上積もると、車の天井が雪の重さでへこんだり、タイヤが埋まって駐車場から出られなくなる可能性があります。
そのため、早めの除雪が必要なので、ご自分でされているのではないでしょうか。
また、駐車場が地下や屋内に設置されてるタイプや管理会社が常駐している物件では、管理会社が雪かきを行うことが多いようです。
このように、積雪の際の雪かきは、お住いの賃貸アパートの状況に応じて行うのがよいでしょう。
アパートの管理会社は「雪かき」をしないのか
賃貸のアパートは「家賃や共益費を払っているのだから、管理会社がするべき」と思う方も多いでしょう。
しかし、そもそも家賃とは、「居住用建物の使用収益に対する経済的な対価」です。
また、共益費は、「居住者が共に利益を受けている外灯・エレベーターなどの共用部分の維持・管理のために支出する費用」のため、普通の状態で生活する範囲にとどめられています。
豪雪地域など特別な場合を除き、「雪かき」について契約時に、どこまでの範囲を管理会社が負担するかを明確にしていない限り、一方的に管理会社に押し付けることはできません。
ですから、ご自身が不都合を感じているのであれば、自分で行わなければならないのです。
こういう時、家族でアパートに暮らしていると心強いですよね。
親子で楽しみながら「雪かき」をしていたり、お父さんが家族の前で、ここぞとばかりに良いところを発揮しているなんてこともあります。
一方、一人暮らしの方、特に女性には厳しいと言えますよね。
また、体が不自由であったり、留守にしている等で、「雪かき」したくてもできない場合もあります。
そういう方は罪悪感を覚えてしまうのではないでしょうか。
では、そのような時はどう対応するべきでしょうか。
「雪かき」をしたくない、できない場合は
積雪の多い地域では、「雪かき」を自分でしなくても、費用はかかりますが、大家さんや管理会社が専門業者と別途契約することにより、定期的に除雪作業をしてくれます。
また、アパートを借りる際の契約書に、居住者がどこまで「雪かき」をするかを明記しているケースもあるようです。
そういう地域なら、一人暮らしでも、負担が少ないので暮らしやすいと思います。
しかし、首都圏の賃貸アパートではそのようなルールがないため、自分で行うことが暗黙の了解となっており、ご自身が対応できない場合は、溶けるまでそのまま放置するしかありません。
それも苦痛ですよね。
雪かきを自分で行うことが無理なのであれば、何らかの方法を考えなくてはなりません。
・全て管理会社にお任せできるハイグレードな物件を探す
・身内に頼む
・個人的に便利屋さん等の業者にお願いすることを管理会社に許可を得る
などの方法が考えられます。
そうすれば自ら動かずに済むでしょう。
アパートの「雪かき」を依頼してみる
また、ご自身で「雪かき」をしようと思っていたとしても、急用などで、できないときもあるでしょう。
そして、そういう時に限って大雪となり自分の車や自転車が障害になってしまうと、ご近所に迷惑となってしまい、トラブルにもなりかねません。
そういう時は、他の誰かに頼んで代わりに「雪かき」をしてもらいたいですよね。
自分がどこまでやれば良いのかが明確に決まっていれば、そして誰かに頼むことができれば不在時でも安心ではないでしょうか。
大家さんが比較的近くにお住まいのアパートの場合、良心的な対応をしていただけることがあります。
私が住んでいたアパートも、部屋へ通じる廊下や階段、ゴミ捨て場までの通路は大家さんが除雪してくれました。
ですから、万が一不在だったり、ご自身で対応ができない場合は、まずはダメもとで管理会社(大家さん)に問い合わせてみてください(普段から管理会社の電話番号は記録しておくこと)。
また、大がかりな除雪の場合、費用は自分持ちとなるかもしれませんが、業者を手配してくれるかもしれません。
ただし、住人の身体や生命に危険が迫るなど、一刻を争う事態であれば、迷わず119番し、同時に管理会社にも連絡を行ってください。
「雪かき」をどこまでするかは「倒れた自転車」を起こすのと同じ
アパートの雪かきは、誰がどこまでするというルールが明確でないため、他人に対しての強制力もありません。
よって個人のモラルの問題として捉えられます。
これは、台風が通過した後、アパートの駐輪場でたくさんの自転車が倒れていた時に、どこまで起こすかという問題と同じ状況だと思います。
自分の自転車だけを起こせばよいでしょうか?
急いでいたらどうでしょう。
もし、自分の自転車だけを起こしているところを人に見られたら、モラルのない人だと思われるかもしれません。
ですが、何十台も倒れていた場合、何分もかけて一人で全部の自転車を起こしますか?
非常に判断に迷う事例ですが、仮に顔見知りの方だったら、普段はきちんとされているので、よほどの理由で急いでいたと思われるでしょう。
また、一人で全部の自転車を起こそうとしていたら、手伝ってくれるかもしれません。
見ず知らずの他人のことに手を出すのは躊躇しますが、知り合いともなれば助け合えるかもしれません。
つまり、ご自身で「雪かき」をするのが大変であれば、普段顔見知りの方に協力を得ることも必要ですね。
アパートの「雪かき」は声を掛け合いできる範囲で
近年、我々の暮らしは変化し、ご近所や親戚との付き合いも少なくなりました。
しかし、アパートの雪かきでは、他の入居者と声を掛け合って協力することが重要です。
万が一のときに助け合えるよう、ご近所の方や家族、友人との輪を大切にしていきましょう。