郵便、契約書、招待状の返信等、日常において名前と住所の記載を求められるケースがありますよね。
名前の記入に悩むことはないと思いますが、住所の記載はいかがですか?
マンションなどの共同住宅では、建物の名前、部屋番号も住所に含めて書く人が多いでしょう。
そもそも、住所の記載はどこまで正式に書くものなのでしょうか。
そこで住所の書き方について調べてみました。
「正式な住所」について
「正式な住所を書きなさい」と言われたら、逆に「正式じゃない住所なんて存在するのか」と言いたくなる人もいるでしょう。
実は、住所といえる場所には定義があって、民法(第22条)で「住所とは、各人の生活の本拠をその者の住所とする」と定められています。
つまり、生活の本拠という場所は、実際に住んでおり、生活の中心となっている土地のことを指しています。
ですから、親元を離れて下宿している学生や、何らかの事情により一時的に仮住まいされている人は、今住んでいる場所を住所とするのが正しい書き方です。
しかし、いくら「住民票の住所と、現住所が一致していなくてもよい」とはいえ、公園で寝泊まりして生活している人の住所は公園かというと、これには様々な意見があるようです。
必ずしも生活の本拠地である住所に住民票を移動させる必要はないわけですが、両方が異なると公的手続きで不便に感じることが多いです。
また、住民基本台帳法では、14日以内に住所変更を行うことが原則とされていますので、長く住まれる場合は、生活の本拠地と住民票住所は揃えておく方がよいでしょう。
郵便物に書く住所の正式な書き方
前項では住所の定義をご説明しました。
こちらでは、その住所を郵便物や宅配便の伝票に記入する場合の、正式な書き方をご紹介します。
住民票の写しを見ると、住所の記載が「○丁目○番地○号」や「○丁目○番地の○」となっており、地域ごとに表示が異なっているようです。
また、マンション・アパートの場合は、マンション名のあとに部屋番号である○○号等と記載があると思います。
これが正式な住所ですね。
しかし、郵便物、宅配便はどうでしょう。
必ずしも住所の記載の仕方が住民票と同じでなくても、郵便物は受け取れているのではないでしょうか。
これは、役所と郵便物は管理主体が全く別ものだからです。
住民票を移していなくても、宛先が存在すれば郵便物は届きます。
ですが、引っ越し後、郵便局に転居届けを出さないと、古い住所あての郵便は転送されないので注意が必要です。
また、宅配便は、郵便局とは別会社です。
記載されている場所が分からず、荷物が受け取られなかったら、送り主に連絡が来ます。
ですから、郵便物や宅配便に関しては、正式な書き方をするというよりは、「どの建物、どの部屋に届けるのか、分かるように書く」ことが重要です。
そして、アパートがⅠ、Ⅱと2棟ある場合は、誤って別の棟に配達されることも考えられるので、アパートの名称やⅠ、Ⅱなどは省略しない方がよいでしょう。
公的書類に書く住所の正式な書き方
パスポートや免許証、契約書、銀行等の手続きの際に、住民票の添付が求められることがあります。
これらは、同居の家族といえども代理で手続きできないものが多く、仮に代理で手続きをすることが可能でも、委任状の提出が必要でしょう。
正式な書類は、本人が記載することが大前提ですが、住所、氏名の書き方についてもルールがあり、原則として住民票の記載どおりに書くこととされています。
引越しの際、転出はしたものの、転入届を出さず、「住所不定となってしまった!」と心配する人がいらっしゃるかもしれませんが、そういう場合は役所に事情を話して住民票を作成してください。
正式な書類は、氏名だけでは有効になりません。
同姓同名の人がいるかもしれませんので、本人を特定するため、記載した住所が住民票どおりの住所であることで有効なのです。
しかし、住民票は、市区町村によりどこまで記載するかが異なっているので、注意して書いてください。
また、マンション名が長くて一行に記入できない場合は、キリのよいところで改行しても問題ありません。
住所は縦書きが正式
住所は、書類に記載する以外に、手紙や封書を送る際にも記入します。
また、招待状の返信、案内状や礼状のように相手を敬った正式な手紙にも記載しますよね
最近は、電子メールの普及で、手書きする機会が減りましたし、年賀状であっても、専用ソフトを利用して作る方が多いでしょう。
そのため、手紙の書き方について意識する人は少なくなっていますが、正式な手紙は縦書きであることはご存じでしたか?
日本人の使う文字は、筆で書きやすい字体になっていますから、縦書きが適しているのです。
毛筆の流れるような文字は、美しく、礼儀正しい印象を与えます。
しかし、近年、アパートなど建物の名称にアルファベットや数字が使用されており、縦書きではバランスが取れず難しくなっています。
そのためビジネスメールは横書きが主流ですが、原則は縦書きであることを覚えておいてください。
正式な書類は封書で縦書きに書く
正式な書類や、目上の方に書く手紙、第三者の目に触れることが好ましくない文書を送付する場合は、ハガキでなく封書で出すことが礼儀です。
また、封書も縦書きに書くことが必要ですから、縦書きする場合の正式な住所や宛名の書き方を知っておく必要があります。
住所を縦書きする場合、郵便番号の七桁目の枠の右端より少し内側を目安にして、一文字分空けたところに都道府県名から書き始めます。
文字の大きさは、宛名より少し小さめにして、番地や部屋番号は、「一丁目三番四号」等、漢字で書くのが正式な書き方です。
マンション名が住所が長くて一行に書けない場合は、区切りやすいところで改行して問題ありませんが、その場合、二行目の書き出しは、一行目の書き出しよりも一文字下げたところから始まるようにします。
番地が「15番」ように二桁の場合、読みにくいとは思いますが、「十五番」と書くのではなく、
一
五
番
と縦に一文字ずつ書くのが、正式な書き方です。
また、マンションやビルの名前は省略せず、建物の名称がアルファベットであっても、番地と同様、一文字ずつ縦書きにしてください。
住所の記載欄は、全体の3分の1以内に納めると綺麗です。
宛名は、先に書いた住所の一文字目よりさらに一文字下げたラインで、封書の中央部分に住所より大きめの文字で書きます。
そして、差出人人の住所、氏名は裏面の左下に書きます。
横書きで出す封書の書き方
横書きの封書は正式なものではないとはいえ、ビジネスで使用する手紙は、数字やアルファベットが見やすいこともあり、実際には使用する機会は増えています。
また、得意先宛て等、やわらかい内容の文章を伝える場合は、横書きの洋式封筒が使用されているケースもありますので、用途の応じた使い方をするとよいでしょう。
そこで、縦長の和封筒を横置きにして使用する場合の書き方についてご説明します。
縦封筒を横にして使う場合は、郵便番号を書く欄が右になるように置き、住所は、封筒中央よりやや左上に、都道府県名から書き始めます。
また、マンション名、部屋番号は、段落を変えて記載し、番地の数字は1丁目2番16号のように算用数字で書き、文字の大きさは、縦書きと同様に宛名より小さめの文字で書いてください。
郵便番号は、枠の中に記入するか、枠内に記入しない場合は、住所の上に記入します。
宛名は、縦書きと同様に、住所の一文字目よりさらに一文字下げたラインで、封書の中央部分に住所より大きめの文字で書きます。
そして、差出人の住所、氏名は裏面の下部に書きます。
しかし、縦書きの封書と違い、横置きした場合の切手の貼付位置は右上ですので、間違えないようにしましょう。
住所の正式な書き方は、利用目的で違いがある
法律行為の正式な書類に、氏名と住民票どおりの住所を記載することは、権利を明確にできるもので、書き方を間違えると権利を奪われたり、契約が成立しない等のリスクがあります。
一方、郵便物は住民票とは全く関係なく、綺麗に書くことが求められています。
住所の記載を求められた場合は、その利用目的をしっかり把握した上で、正式な住所を記入すべきか、簡略してよいかを判断してください。