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毎月払っている家賃は前払い?退去時にやるべきお金の精算

2019.2.27

賃貸マンションなどに入居した場合、毎月月末などの決まった期日に家賃を支払っていますね。

その家賃が前払いなのか、後払いなのか把握していますか?

もし後払いなら、退去のときに最後の家賃を支払わなければなりませんし、前払いならすでに支払っているわけですから、返ってくるお金があるかもしれません。

退去を控えてそのようなことを確認し、整理するには、どうしたらよいのでしょうか。

退去時に気になるのは家賃が前払いか後払いかということ

賃貸マンションなどに入居するときは、いろいろな費用をまとめて支払ったため、何をどれだけ支払ったのかわからなくなることがあります。

入居してからは毎月家賃を支払っていますが、決められた期日までに支払っているだけで、それが何月分の家賃などと意識はしていません。

ただ毎月1回、月末などに支払いを繰り返しているだけです。

ところが、2ヶ月後に引っ越しすることになり、退去を控えている場合、退去にかかる費用がないか気になるでしょう。

このような場合、今の家賃が前払いなのか後払いなのか、退去の際は日割り家賃でよいのかなど、細かなことを調べるには、どうしたらよいのでしょうか。

まずは自分で調べてみましょう。

入居時に不動産屋さんで作った賃貸契約書があるはずなので、開いて読んでみましょう。

また、契約の際に支払ったお金の領収書などを見て、その摘要などを確認してみましょう。

もし、賃貸契約書に家賃の支払い日に関する条項があれば、前払いか後払いかがわかります。

たとえば、「賃料は前払いとし、前月の末日までに規定の支払い方法によって支払うこととする」などとあれば、前払いになりますね。

また、領収書の摘要に、「○/○~○/◯分の日割り家賃および△月分家賃として」などとあれば、入居日から考えて前払いか後払いかがわかります。

民法では家賃は前払いではなく後払いと定められている?

ところで家賃の支払い期日に関しては、何か法律の定めはないのでしょうか。

法律などで決まりがあれば、退去の際に、このようなことで悩むこともないはずです。

それとも管理会社や大家さんによって、自由に設定できるものなのでしょうか。

実は民法では、家賃は後払いが原則であると定められています。

民法614条に、建物の賃貸借の場合の賃料の支払い時期について、「当月分を毎(当)月末に払うことを要する」とあり、後払いの原則を定めています。

実際は前払いをしていたとしたら、おかしいですね。

契約書を見ると、家賃は前払いと規定されていることが多く、多くの入居者は契約書にそのため、家賃を前払いで支払っています。

これはなぜかというと、民法が「任意法規」であるからです。

実は民法は、当事者が民事の規定と異なる権利や義務や使用方法を定めた場合には、当事者間の合意が民法に優先して適用されるという任意的な法規です。

つまり、契約書などで何ら定めていなかった場合にのみ、初めて民法が摘要されるわけで、契約書に定めてあればそちらが優先されるわけですね。

このような理由で、一般的には契約書にそのため、前払いで家賃を支払っている場合が多いといえます。

ちなみに、賃貸契約おいてよく引き合いに出される法律に借地借家法というものがありますが、これは強行法規といって、契約書より優先される法律です。

しかし、特別法であり、家賃の支払い時期については何も規定がないため、結果、契約書が効果を発揮しているわけです。

家主だけでなく入居者も、退去するときは家賃は前払いが安心

では、なぜ民法という法律に反して、契約書では家賃は前払いと規定されることが多いのでしょうか。

それは、家賃収入で生活している大家さんや、会社を運営している管理会社の都合によるものです。

前払いのほうが都合がよいというのがその理由でしょう。

たとえば、家賃を後払いにした場合、入居者に夜逃げなどをされたら、家賃収入が入らなくなります。

また、家賃を踏み倒されてしまった場合、前払いの方が損害が多少なりとも少なくて済みます。

逆に、入居者は家賃を前払いすることによって、翌月の部屋の利用権を確保しているということになります。

もちろん管理会社や大家さんからしてみれば、長く住んでもらって、安定した家賃収入を得たいというのが基本にあります。

しかし、万が一を考えると、先にお金ありきで、実質月ごとの使用権を居住者に与える方法を選択せざるを得ないということでしょう。

このような理由から、民法で家賃が後払いと定義されていても、契約書に前払いと規定する業者さんが多いのです。

入居者にしても、退去するときのことを考えたら、前払いのほうが安心かもしれません。

そのため、法律と契約条項の差異によるトラブルなどには、あまり発展しないのでしょう。

退去時の日割り家賃の精算について

さて、家賃は前払いしているため、退去時には新たな支払いは発生しないだろうことがわかりました。

では、退去が月の半ばで、退去前月に退去月の家賃を1ヶ月分支払っている場合はどうなるのでしょう。

たとえば4月から就職するため、3月15日に引っ越しすることになり、2月の末に3月分の家賃を支払い済みである場合などです。

この場合は、3月16日から3月31日までの家賃は返ってくるのでしょうか。

実はこれも、賃貸契約書に定められている場合は、その規定に従うことになります。

一般的には、日割り家賃を計算して、差額を返金してくれる場合が多いでしょう。

その際の振込手数料などは、管理会社や大家さんによって入居者負担であったり、家主側の負担であったりさまざまといえます。

または、管理会社や大家さんに退去の事前連絡をした際に、日割り家賃を計算して、次回はその金額で振り込むようになどの指示があるかもしれません。

しかし、賃貸契約書に「家賃の日割り計算はせず、家賃はいかなる場合でも1ヶ月単位で計算する」などと書かれている場合は、返金はありません。

入居者の心情的には、住んでいないのだから返してほしいと思うところですが、契約書にサインして入居してしまった場合はどうしようもありません。

契約である以上、諦めるしかないでしょう。

契約書はよく読んで、ささいなことでも確認すべきといえるでしょう。

家賃以外にも前払いしている敷金の精算について

また、日割り家賃以外にも、退去の際に返金されるお金があります。

入居の際に支払っていた敷金です。

敷金は、礼金と違って、入居しているあいだ管理会社や大家さんに預けているお金です。

相場は家賃の1ヶ月分くらいですが、物件によって違います。

敷金は、一般的には、入居している間に部屋を汚したり、破損したりしておらず、家賃の未納などもなければ返金されます。

また、物件によっては、室内のクリーニング代などを差し引いて、残額を返金するという場合もあります。

退去する際に注意しなければならないのは、敷金の範囲を超える部屋の汚損をしてしまった場合です。

壁や天井に穴をあける、張り替えが必要なほど床を汚損をしたなどの場合、敷金の範囲で修復できなければ、管理会社などから逆に請求されることもあります。

また、入居の際に敷金がいらなかった場合なども、実は注意が必要です。

敷金も修復費の前払いという要素のお金です。

前払いをしていない場合、退去時の室内クリーニング代や、原状復帰にかかる費用を実費請求される場合があるからです。

敷金と原状復帰の度合いについては、トラブルになりやすいといえますので、やはり契約の際には、敷金とその規定について詳細に確認するべきでしょう。

家賃や敷金のことは契約書がすべて、不明事項は確認を

退去時の家賃をはじめとするお金について述べてきましたが、新居に引っ越しするとなると、引っ越し先の初期費用や引っ越し代金などかなりお金がかかります。

新居の家賃の前払いもおそらく必要となるでしょう。

そんなときに、退去にかかる費用が別に必要となったら、大変です。

一方、日割り家賃や敷金が返金された場合では、後日初期費用に充てることもできるため、助かりますね。

敷金の返金については、部屋の使い方如何によるところもありますが、退去時にお金を支払うか、お金が返ってくるかは大きな違いです。

このようなことも含めて、賃貸契約書にはさまざまなことが規定されているため、非常に大切な書類といえます。

賃貸契約の際には、退去時を含めていろいろなことを想定して、契約書の内容をしっかり読みましょう。

また、わからないことがあれば、不動産屋さんに聞くか、不動産屋さんから大家さんに確認してもらうなど、不明事項も解決しておきましょう。

そうすることで、いざ退去という段になって、慌てることがなくなるのではないでしょうか。

退去のことまで考えた契約を

毎月の家賃のことや敷金のことなどは、普段はあまり気に留めていませんが、いざ退去となった場合は契約如何で大きな金額のやりとりになるかもしれません。

契約のときから退去のことまで考え、退去時に不利益を被ることのないような契約をしたいものですね。

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