現在、新社会人の初任給の平均は、だいたい20万円くらいです。
しかし、社会保険料などを差し引かれて、実際にもらえる金額を計算してみると、一般的にはなんと16万円台になります。
就職を機に一人暮らしを始めるという人も多いと思いますが、いきなり厳しい現実に直面してしまいます。
そこで今回は分かりやすくして、手取り15万円で一人暮らしを始める場合、無理のない家賃の目安は、どのくらいなのかを考えていきたいと思います。
手取り15万円の一人暮らし。水道光熱費の目安
総務省の家計調査の中に、単身の勤労世帯の消費支出のデータがあったので、それを参考に1ヶ月の水道光熱費を概算で割り出してみることにしました。
参考にしたのは2017年の上半期のデータなので、年間で見ると多少の差異はあるかもしれません。
ですが、国の最新の統計なので、信ぴょう性は高いでしょう。
それによると、電気代が4,350円、ガス代が2,900円、水道代が1,850円くらいとなりました。
夏や冬はエアコンや他の冷暖房器具を使うので、春や秋より光熱費が20%以上高くなり、季節的な変動がありますが、平均するとこのくらいになります。
光熱費の合計は9,100円ですが、多めに見積もって1万円で予算を設定しておくと安心です。
手取り15万円のうち、7%弱が光熱費ということになります。
この時点では、まだ余裕ですね。
では、家賃の目安を算出するために、他にどのような費用を見積もればよいのでしょう。
手取り15万円の一人暮らし。通信費はいくら?
次に、上記と同じデータから、通信費を割り出してみました。
一人暮らしで、固定電話の回線を引く人は少ないと思いますが、今やスマホは必需品ですよね。
パソコンがなくてもインターネットができて、無料通話アプリなどで、家族や友達と会話ができる優れものです。
スマホなしの生活なんて考えられないという人も多いでしょう。
ということで、データの移動式通信費を平均すると7,650円くらいとなりました。
こちらもが多少余裕を持たせて、8,000円に設定しておきます。
手取り15万円のうちの5%強というところでしょうか。
ただし、近年は格安スマホなどの発売により、5,000円以下に抑えることも可能ですので、あくまで目安としてみておきましょう。
さらに家賃の目安を知るために、水道光熱費、通信費の他に、必要な費用を設定していきましょう。
手取り15万円の一人暮らしで最も気になる食費の目安
生活費の中で、食費は家賃と並んで、大きな割合を占める費用です。
データによると、平均47,000円もの食費が支出されています。
この中には、食事や間食、外食の費用、また飲料も含まれています。
私のこれまでの経験からすると、高いような気がしたので、原因を探ってみました。
その結果、外食の少なさが、私の食費が少ない理由であることがわかりました。
統計では、食費のうち、約2万円が外食に使われていたのです。
このように、食費は生活スタイルや嗜好によって、かなり差が出ます。
自炊する人と外食が多い人、男女の間でも差異があると思います。
平均的な数値・統計に基づく数値のほうが、信ぴょう性があるので、家賃の目安を知るための食費の予算は、そのまま47,000円に設定しておきます。
手取り15万円の約31%、かなりの割合ですね。
ちょっと苦しくなってきましたか?
でも、まだ終わりではありません。
家賃を見る前に日用品も計算する
生活する上で、トイレットペーパー・ティッシュ・シャンプー・洗剤など、日用品も忘れてはいけません。
実家暮らしではあって当然で、さほど気にしていなかったものだと思いますが、なくなったら困るものでもありますよね。
これは、3,700円くらい支出されています。
衣料品にも着目してみましょう。
衣食足りて礼節を知るというように、社会人たるもの、食と並んで着るものも軽視できません。
洋服はもちろん、下着や靴下、靴なども衣料品として考えて、データでは6,900円くらい使われているようです。
それぞれ、日用品4,000円と衣料品7,000円と多めに見積もって、合計11,000円。
手取り15万円の7%強になります。
さて、だいたいこのくらいで良いのではと思っている方もいるかもしれませんが、家賃の目安はまだ出ません。
そろそろ本当に家賃の目安が知りたい方へ
これまでの試算で手取り15万円のうち、50%の予算が設定されました。
光熱費7%、通信費5%、食費31%、日用品と衣料品で7%、合計できれいに50%になりましたね。
では、家賃は残りの50%かというと、そうではありません。
一気にいきましょう。
理容・美容代7,900円、医療費5,600円、交際費7,900円。
データでは、合計21,400円が支出されています。
美容院、行きたいですよね。
市販の風邪薬で治らなければ、お医者さんに行きますよね。
友達と映画に行ったり、なにかお祝い事があれば、ご祝儀を用意しますよね。
多めに見積もって22,000円、手取り15万円の約15%になりますね。
それでは、家賃にあてられる目安の金額を発表します。
手元に残ったのは、手取り15万円の約35%、52,000円です。
そう、家賃は収入の三分の一を目安にと、よく聞きますよね。
なんと、ドンピシャの結果になりました。
ただし、落とし穴がひとつあります。
賃貸には、共益費がつきものです。
共益費とは、賃貸した占有部分以外の、共用部分の使用や保全に対する費用です。
家賃とともに徴収されるものですので、共益費込みの家賃の目安が52,000円だと考えていただきたいと思います。
例えば、共益費が5,000円とすると、家賃は47,000円が上限ということですね。
家賃の目安はあくまで上限と考えよ
やっと家賃の目安がわかりましたが、しっかりと考えなくてはいけないことがあります。
社会人1年目の人は、残念ながらボーナスは期待できません。
あっても寸志程度だと思います。
ということは、手取り15万円で、翌年の夏まで持ちこたえなければなりません。
もらった15万円、全部使って不安ではないですか?
たとえ少しでも、コツコツ貯金できたらと思いませんか?
そのためには、家賃の目安52,000円は、あくまで上限と考えていただきたいと思います。
42,000円のところに住めば、1万円ずつ貯金ができるかもしれません。
32,000円のところに住めば、1万円を貯金しても、1万円は実家に仕送りすることもできます。
手取り15万の子供からの1万円の仕送りは、かなりハイレベルな親孝行になりますね。
さらに今回は触れませんでしたが、自動車を所有するとなると、維持費だけでも11,600円ほど掛かるというデータがあります。
あくまで平均のデータについて述べてきましたが、人によって細かな支出は、当然ながら変わります。
大事なことは、その振り分けを自分で考え、実行していくことです。
ぜひ一度、自分の生活スタイルにあった、オリジナルの予算を立ててみてください。
なぜ家賃の目安を知ることが大事なのか
今回は、統計のデータから導いた光熱費や食費、衣料品費などの金額を根拠に、家賃の目安を考えてみました。
では、なぜ、家賃の目安を知ることが必要なのでしょうか。
その理由は、他のもろもろの生活費と、家賃の間の決定的な違いにあります。
食費は、牛肉を豚肉に替えれば、安く抑えることができます。
洋服は、今月買わなくても、来月まで我慢できます。
ところが家賃は、一度契約すると、その金額を払い続けなければいけません。
節約のできない、しかも金額の大きな費用だからです。
皆さんは、ぜひ自分に合った物件を選んで、楽しい社会人生活を送ってくださいね。