敷金は預けたお金!精算、返金はいつになる?

お部屋を探す時から「敷金」というのを目にすると思います。

入居するときは、初期費用として請求されお金になります。

退去するときに戻って来る性質の「預かり金」が敷金ですが、では退去の際どのように精算され、いつ返金されるのでしょうか?

敷金はいつ何のために払うお金?

賃貸にまつわるお金で、「敷金」というものがあります。

家や土地の賃貸に際して、賃料の支払いや賃貸借契約状の債務を担保する目的で、貸主に預けるお金のことです。

金額に決まりや基準はありませんが、住居用の賃貸の場合は、2ヶ月が慣習になっているようで、賃貸借契約のときに必要になります。

事務所やテント用は6ヶ月以上が多いようです。

事業用の場合、「敷金」ではなく「保証金」という名目もあります。

近年は、特に都市部で賃貸物件も多くなり競争が激しくなったため、敷金0という賃貸物件も、珍しくなくなって来ました。

敷金は、契約時の初期費用として、貸主に支払いをします。

支払うと、敷金預かり証というものが発行されます。

お金を預けておいて、いつ返金かというと退去時に精算されるので、「領収書」ではなく「預かり証」になります。

退去したら原則は返金される預かり金が敷金!

敷金は、いつ精算されるかというと、退去時になります。

賃貸物件から退去する際に、借主に精算を必要とする問題が発生した場合、借主は敷金から充当することができます。

充当とは、目的や用途にあてることを言います。

国土交通省の、原状回復におけるガイドラインに基づけば、通常の使用であれば原則は全額返金になります。

また、民法619条では「賃料その他の賃貸借契約上の様々な債務を担保する目的で賃借人が貸借人に対して交付する停止条件付きの返済債務を伴う金銭」と定められています。

以下の場合は、通常使用の範囲と見なされたり貸主負担になります。

・家具を置いたことによる床の凹み
・ポスターなどを貼ったことによるクロスの変色
・網戸の張り替え
・次の借主を募集するための全体クリーニング

しかし、実際には「意図的にぶつかり網戸が破れた」場合の「網戸の張り替え」は、借主負担になることが多いです。

また、畳に飲み物をこぼして汚損した場合は通常使用になりますが、それを放置してカビなどを発生させた場合は、故意として借主負担になることもあります。

退去後にそういった箇所を丁寧に確認し、精算し返金を行います。

どういった考え方で精算されるの?

まず、敷金はいつどのように精算されるのでしょうか。

精算には、以下のようなポイントがあります。

・原状回復義務
・経年劣化

どれも日常では使わない言葉ばかりなので、馴染みがないでしょう。

しかし、敷金の精算時に大切なポイントになるので、知っておいた方が良い言葉になります。

「原状回復」

「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること。」

と国土交通省のガイドラインで定義されています。

故意過失なく住んでいた場合は、借主の負担はありませんという内容です。

「経年劣化・減価償却」

物の価値は、時間が経過するとともに減少していきます。

壁紙、クロスは耐用年数6年となっています。

6年賃貸に住んだ場合、通常の使用であれば残存価値がないものとしてクロスに対する負担金は無くなります。

お部屋の設備には、それぞれ耐用年数が決まっていて、それに基づいて経年劣化を考慮していきます。

敷金はいつ精算される?

敷金は、退去して鍵を返したら精算、返金されるという勘違いが非常に多く見られます。

実際は、退去が決まって、全て荷物を運び出してから、大家さんまたは管理会社さんが一緒に立ち会って、部屋の中を確認していきます。

最近は、トラブルを防止するためにも借主立会いのもと、チェック表を作りサインを求められることも多いです。

修復する場所を確認した後、工務店さんなどに見積もりを依頼し、金額を確定させます。

前記した通り、汚損、破損が全て借主負担というケースは少ないため、費用負担割合も合わせて決めていきます。

通常使用している場合では、さほど時間もかからないことがほとんどです。

しかし、汚く使用していたり、内緒でペットを飼っていたなどルール違反をしていた場合は時間がかかることが多くなります。

実は、敷金返還時期はいつまでとは定められていません。

しかし、預かり金のため、精算でき次第速やかに返還するのが一般的です、1ヶ月以内には返金されることが多いようです。

敷金が精算されても戻ってこないケース

精算が終わっても、敷金が戻ってこないケースもあります。

・家賃を滞納している場合
・著しいルール違反をしていた場合
・故意に汚損破損を行なっていた場合

などがあります。

いつまでも督促を無視し、家賃を滞納している状態で退去すると、その後家賃の追加の回収が難しくなったり、連帯保証人さんに請求しても断られるケースが多く、敷金から充当する大家さんもいます。

しかし、滞納している状態で、借主から「滞納している家賃を敷金から精算してください」とは言えません。

その旨は、契約書に記載さていることが多く見られます。

ルール違反をしていた場合も、敷金の精算に影響が出る場合があります。

例えば、ペット禁止の賃貸で猫などを飼育していた場合、壁紙をボロボロにしてしまっているだけではなく、壁本体にも傷をつけている可能性があります。

敷金だけでは収まらず、さらに請求が来るケースもあります。

また、故意に汚損や破損を行なってしまっていた場合も、敷金の生産に大きく影響します。

部屋で観葉植物をたくさん育てていて、加湿しすぎて壁紙が剥離していたのを放置し、カビだらけにしていたということも、故意の過失になります。

いつ精算されるか見通しがつかない場合

いつまで待っても敷金が精算されない場合、管理会社さんや大家さんに確認をしましょう。

返金分が少なくても、預かり金なので、返金がある以上は精算しなければいけません。

また、敷金の精算書をもらっていない場合も、同様に催促する必要があります。

全く応じてくれない場合は、内容証明郵便で敷金の適切な返還を求める意思表示をすることができます。

それでも貸主が全く応じてくれない場合は、「国民生活センター」や「法テラス」などの公共機関に相談することも有効です。

返金されない場合の最終手段としては、60万円以下であれば「少額訴訟」というものがあります。

あまり複雑ではない民事訴訟の手続きで、弁護士も必要ありません。

簡易裁判所に行けば、担当官が書類の書き方を教えてくれます。

ただし、訴訟なので「勝てる」という性質ではありません。

敷金は退去してから精算される

敷金は、退去時に確認をし、負担区分を確認しながら精算をします。

精算をして、残額を返金します。

返金はいつまでという定めはありません。

しかし、敷金の精算に関しては、年々トラブルが少なくなっています。

敷金の返還ルールや判例が広く知られてきたことによって、敷金の返金も公平に行われるようになってきました。