借主が貸主から敷金を返金された際の領収書の書き方は?

賃貸借契約において、敷金を預け入れる場合が多いですよね。

敷金は、貸主の担保としての性質のもので、対価性を有するものではありません。

敷金は退去する際に、原状回復費用などがあまりかからなかった場合に、借主に返金されることもあります。

敷金が返金された際の、領収書の書き方もご紹介しますので、参考にしてください。

賃貸物件の敷金の領収書ってないの?

賃貸借契約において、たいていの物件は敷金が必要です。

借主が退去する際には、敷金の返金を多少なりとも期待してしまいますよね。

民法486条では「弁済したものは、弁済を収受した者に対して、受取証書の発行を請求可」と決められています。

この弁済とは、債務内容に従って、現実に給付をなすことをさします。

ですから、敷金の交付が「弁済」に該当すれば、受取証書(領収書)の発行義務があります。

それでは、敷金の支払いは、弁済にあたるのでしょうか。

敷金とは、不動産の賃貸借の際、賃料などの賃貸借契約上の債務を担保する目的で、借主が貸主に交付する停止条件付返金債務を伴うお金とされています。

敷金契約は、敷金授受の合意と、敷金の交付によって成り立つものとされているのです。

ですから、敷金の支払いはあくまでも敷金契約の成立のためのものであり、敷金契約の債務の履行として支払われるものではありません。

そのため、敷金の支払いは弁済には該当しません。

つまり、領収書などの受領証書の交付義務はないことになります。

領収書としてではなく、預かり証をもらいましょう。

敷金の返金の際に必要?預かり証について

決して安くはない敷金を預けたのだから、せめてその証明は欲しいという方も多いですよね。

一般的には、礼金や当月分の日割り家賃については領収書、敷金については預かり証が発行されます。

そして、借主が退去した後に敷金の返金を受ける際に、貸主に預かり証を返します。

ところが、滅多にないことではありますが、敷金の預かり証を発行しないというケースもあります。

それはなぜなのでしょうか。

それは単純に不動産会社内の慣習や、銀行の振り込み手続きを行っている場合は、振込票が発行されたり、銀行口座に入出金の履歴が残るといった理由からです。

実質的な理由としては、借主が預かり証を失くして、第三者に悪用されることを防ぐ目的もあるようです。

また、敷金の預かり証は印紙税法に該当するため、敷金が5万円以上の場合は200円の印紙の貼付義務が発生します。

つまりは、貸主の経費を節約したいという思いもあるようです。

ちなみに、印紙税は、

・5万円未満 非課税
・5万円以上 200円
・受取金額の記載のないもの 200円

となります。

敷金の預かり証が発行されない場合に気をつけること

しかし、敷金を渡す借主側としては、汗水流して働いたお金を預けたにも関わらず、領収書などが何ももらえないのも釈然としないものですよね。

そして、書類が何もない状態で、本当に敷金が返金されるかどうかも不安になりますよね。

そこで重要なのが、敷金預かり証なのです。

敷金預かり証は、不動産契約時に預かった敷金について証する書類です。

ここで、仮に預かり証を出してもらえない場合に、気をつけておくことをお話しておきます。

借主は、賃貸借契約が終了して退去した後、賃貸借契約に関係する全ての債権(未払賃料、原状回復費用)充当後の、残った敷金について貸主への返還請求が可能です。

この時点で、トラブルことなく敷金が返還されれば問題はありません。

しかし、現実においては揉めて、返還を求める裁判を起こす人もいます。

簡易裁判所には、法律をよく知らない人でもわかるような、簡単な書式が用意されています。

つまりは、法律の専門知識がない人でも、簡単に裁判が起こせるのです。

裁判では、敷金を支払ったことの証拠の提出が求められます。

ですから、万が一のためにも、敷金を振り込みした場合は、銀行から発行される振込票をしっかりと保管しておくことが大切です。

敷金預かり証の内容

前項でご紹介した例は稀なので、ほとんどの場合は、敷金預かり証を作ってくれるでしょう。

敷金預かり証では、誰が、いつ、いくらを預かっているのか、しっかりと明記しておく必要があります。

では、一体どんなことが明記されているのでしょうか。

●物件名や金額、敷金預かり者氏名

誰から誰に対して発行した預かり証なのか、どの部屋の敷金なのか、預かっている敷金はいくらなのかといった内容は、必須事項として明記されています。

●敷金返金時について

一般的な賃貸借契約の場合、原状回復費用やクリーニング費用、滞納家賃などを敷金から差し引いて、返金されることがよくあるケースです。

現実には、返金されたとしても、預けた金額の何割かしか戻ってこない場合が多いように感じますが。

これらは賃貸借契約契約書にも、すでに記載されている内容ではあります。

しかし、トラブルにならないためも、返金する際には、債権・債務、工事費などを精算してからとなることを、しつこいくらいに明記されていることで、貸主・借主双方で安心できるでしょう。

●賃料の増減があった場合は、別途覚え書きを

貸主は、賃料の増減などによって、敷金の積み増しや一部返還の必要があった場合は、その都度、覚え書きを相互に交付するなどの対応が必要となります。

次は、借主が敷金を返金された場合に、領収書は発行すべきなのかについてお話します。

敷金が返金されたら領収書を発行すべき?

買いものをすれば、必ず領収書がもらえますよね。

領収書は、サービスや商品に対して、お金の支払いをする側が、確実に支払ったということの証明に、またお金を受け取った側が、確実に受け取ったことを証明するために発行されます。

では、貸主から敷金が返金されたら、借主は領収書を発行すべきなのでしょうか。

民法では「債権の弁済をした者が、弁済を受領したものに対して受取証書(領収書)の交付を請求できる」と定められています。

賃貸借契約終了後、敷金の返金を受領した場合には、法律上の「弁済」に該当するので、借主は受取証書、つまり領収書を発行する義務があります。

一般的な傾向では、貸主側が用意する領収書に、借主がサインをすることが多いでしょう。

貸主が「敷金をしっかり返金した」という証拠が必要だと要求してきた場合は、銀行振込の振込書でも証拠にできるでしょう。

敷金が返金された際の領収書の書き方

最後に、敷金が返金された際の領収書の書き方について、ご紹介します。

インターネット上にも、領収書のテンプレートがいくつかあります。

それらを活用すれば、簡単に作成できるでしょう。

●日付欄

日付欄には、必ず領収書を発行した日を明記しましょう。

●領収書の宛名

領収書を受領する側の、正式名称を記載します。

相手が法人の場合には、前株なのか、後株なのかを間違えないように気をつけてください。

なぜならば、「株式会社」という表記全てで、法人の名称なのです。

ですから、そこを間違えてしまうと、別の会社ということになってしまいます。

有限会社や合資会社なども同様のことが言えるので、気をつけなければいけません。

当然ですが、(株)や(有)などのように、略した表記も使わないようにしましょう。

さらに、文字が丁寧に書かれているか、誤字や脱字がないかなども、よくチェックしましょう。

●金額欄

記載された金額が、簡単に改ざんできるようでは困りますね。

金額の記載は、改ざんを不可能にするために、必ず金額の前に「¥」、「金」、金額の後ろに「※」、「也」、「ー(バー)」の記号を付けましょう。

さらに、桁数を増加させるなどの不正防止のために、3桁ごとに「,(カンマ)」を使うことも忘れずに。

書き方の例を挙げると、

・「¥○○○,○○○※」
・「金○○○,○○○也」
・「¥○○○,○○○ー」

となります。

●但し書き欄

但し書きは、何に対する支払いなのかが、受領する側が理解できるように必ず記載しましょう。

例えば、「○○アパート○号室○年○月○日に退去した敷金返金分として」などと、できるだけ具体的に記載するようにしましょう。

●収入印紙貼付

領収金額にそった収入印紙を貼って、割り印を押します。

5万円以上の領収書には、収入印紙が必要となります。

●発行人欄

領収書の発行人の住所と氏名を明記して、印鑑を押します。

敷金返金トラブルを防ぐ

実は、賃貸で最も多いトラブルは敷金返金や、クリーニング費用の負担のことだという話を耳にします。

貸主は契約時に、敷金や原状回復の説明を、しっかりと行う義務があります。

トラブルを起こさない、また起きてしまったときのためにも、賃貸契約に関わる書類の扱いは慎重にしなければいけませんね。