家を新築する際は、決めるべきことが山ほどあります。
その中の一つが「階段」です。
階段で特に失敗するようなことはない気もしますが、案外そうでもないのです。
ここでは、階段の設計で注意すべき点について、失敗例から学んでいきましょう。
これから家を新築される方のみならず、現在お住まいの家や中古住宅を購入して階段のリフォームを考えられている方に向けても少し触れていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
階段の種類はどんなものがある?
一言で「階段」と言っても、家によってその階段の形もさまざまです。
昔ながらの家では、玄関を開けてすぐの廊下に面した階段が多かったですよね。
最近の新築では、リビング階段も多いようです。
階段の形は、直線状のものもあれば、途中に踊り場のある折り返しの階段、螺旋階段ということもあるでしょう。
デザインに関してはひと昔前と違っていろいろなものがあります。
例えば、スケルトン階段と呼ばれる階段がその代表例とも言えるかもしれませんね。
デザインだけではなく、階段の幅・勾配に関しても、その家ごとに異なります。
見た目優先で階段を決めてしまうと、のちのちに「失敗してしまった」ということにもなりかねません。
そこで、階段の設計で注意すべき点を実際の失敗例を挙げて事前に学んでおきましょう。
新築する際は注意!階段の失敗例から学ぼう!間取り編
「家は三回建てないと理想の家にはならない」と言われているように、大体は何かしら後悔することが多いようです。
しかし、実際には家を三回新築することは難しいですから、なるべく失敗を最小限にしておきたいものですよね。
そこで、階段を設計する前に、失敗例を参考にしてみましょう。
まず、昔ながらの、玄関を開けてすぐの廊下にある階段はどうでしょうか。
この場合、お風呂上りなどで階段を昇ろうとする際、突然の来客と対面してしまう可能性があります。
また、お子さんがいらっしゃるご家庭であれば、二階で泣いている子供に気がつかないこともあるのです。
さらに、階段が廊下に面して玄関も近いので、冬場は寒いです。
それでは、リビング階段はどうなのでしょうか。
リビング階段は、リビングを通らないと二階に行けないですよね。
そのため、お子さんの友人が遊びに来た際には必ずリビングを通ることになります。
ですから、リビングが散らかっていると自分の子供に恥をかかすことになるかもしれないので、リビングを常に綺麗にしておく必要も出てきます。
また、リビングに階段があることによって冷暖房効率が悪いです。
特に、吹き抜けのリビング階段は、冬場の暖房効率は非常に悪くなります。
新築する際は注意!階段の失敗例から学ぼう!デザイン・形編
家を新築する際の階段の失敗例は、もちろんデザインや形の面でもあります。
最近人気のスケルトン階段であれば、
・子供やペットが隙間から転落の危険性がある
・子供やペット用の落下防止のゲートをつけられない
・階段掃除をすると、その都度ゴミが下に落ちてしまう
などが失敗例としてよく見られます。
階段の形が直線であれば、
・階段の二階から一気に一階まで転落する可能性がある
ということがあります。
階段の形が螺旋状であれば、
・大きい荷物を運び入れることが困難
というようなことがありますね。
また、階段の勾配を急にしてしまうと、
・今はいいとしても、高齢になったときに階段の昇り降りがしにくくなる
などと、住んでみてから気がつくことも多いようです。
さらに、階段に窓を設置しなかったり照明が少ない場合、
・日中でも暗い
・照明が少ないため、夜に階段を昇り降りする際に危険
という事例もあります。
以上のように、階段がどこに配置されているか、さらには階段のデザインや形によって失敗してしまうかもしれないのです。
自分と自分の家族の日常生活を想像し、その想像に沿うような階段にすることが理想と言えます。
階段はデザインを重視したい!失敗しないためにはどうする?
自分の家を新築するとなったら、とにもかくにもデザインを重視したいという方も多いことでしょう。
それならば、失敗例を参考にしつつデザイン重視の階段にしてみましょう。
例えば、おしゃれな家で最近よくみかけるスケルトン階段にしたいのであれば、転落がネックとなります。
ですから、転落事故の防止策はしっかりととる必要があります。
しかし、転落防止のゲートはつけられないことが多いです。
このような場合は家の色調やデザインに合わせて、ブラックやホワイトの転落防止用ネットを取りつけることをおすすめします。
ネットであれば、必要がなくなった際には簡単に取り外すこともできます。
また、階段の床材を滑りにくいものにするといいでしょう。
そうすることで、階段から滑り落ちにくくすることができますね。
コストの面についてもお話をしておきましょう。
階段のデザインを重視すると、往々にしてコストが高くなりやすいです。
スケルトンだから使う資材が少なくてコストが安いと思われがちですが、そうでもないのです。
さらに、階段の素材をアイアンなどにすると非常に高額になることもあります。
ほとんどの人が一度きりになるであろう家の新築ですから、デザインを重視したい考えもよくわかります。
しかし、限られたコストの中で、何を優先するかをよく考えるようにすることも大切です。
新築だけじゃない!階段をリフォームする際の注意点
新築ではなく、もともと住んでいる家や中古住宅を購入して階段をリフォームするというケースもあるでしょう。
古い住宅の階段であれば、勾配が急すぎたり、幅が狭すぎたりということも多いです。
そのような階段は、危険なのでリフォームを考えた方がいいかもしれません。
特に、小さなお子さんや高齢者が一緒にお住まいということであれば、階段はなるべく緩やかに、手すりも忘れずに設置します。
また、階段の踏み板の素材も、滑りにくいものを選ぶようにしましょう。
階段の失敗例にもあるように、デザインも大切ですが家族の安全が何より一番大切です。
階段のリフォームは、案外コストをそこまでかけずに行うことができます。
もちろん、階段のデザインや素材、工事を請け負う工務店によっても価格の差はありますが、だいたい50万円ほどの予算でリフォームできることが多いようです。
現在の家や中古住宅を購入して階段のリフォームを検討されている方は、一度、工務店に相談してみてはいかがでしょうか。
理想的な階段にするには?
それでは、どのような階段にするとより理想的な家を新築することができるのでしょうか。
まず、家族の生活動線がどのようなものなのか、よく考えてみましょう。
例えば、帰宅してまっすぐ二階の部屋に行くのが習慣とであれば、玄関と階段は近い場所にある方がいいです。
そのような間取りを考えると、階段下を収納スペースにしたりトイレや帰宅後の手洗い場にすることもできるでしょう。
そうではなくて、帰宅したらまずは家族が集まるリビングに顔を出したいということであれば、リビング階段がいいですね。
このように、自分のみならず家族全員の動線を考えて、建築士と相談しながら階段の位置を考えましょう。
ただし、それぞれの階段にはこれまでお話ししてきたような失敗例もあります。
生活動線を考えての階段の位置、階段のデザインや形のメリット・デメリットなどを総合的に判断して、階段を決めるようにしましょう。
家族のことを思い浮かべて理想的な階段に!
新築やリフォームをする際、デザインのことだけを考えて階段を設計してしまうと、住んでみてから失敗だったと気がつくことがあります。
どのような階段にするか決めるときは、デザインのみならず家族の動線を思い浮かべて決定するようにしましょう。
また、家族の中に小さいお子さんや高齢者の方がいたり、ペットを飼われている方は、階段が安全かどうかについてもよく確認するようにしましょう。