近年、不動産投資の一つであるアパート経営は、現役のサラリーマンや公務員など若い世代から検討する人が増えてきています。
家賃収入という安定した収益は魅力的ですよね。
アパート経営をはじめるには、まずアパートを建てる必要がありますが、建設には実際どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
こちらでは、建築費用や初期費用など、アパートを建てる際にかかる「予算」についてご説明していきます。
不動産投資としてアパート経営を考える人が増えている理由とは?
近年、アパート経営を考える人が増えているといわれます。
以前のように、不動産投資は資産家や地主が行うものという認識ではなくなり、誰でも取り組める資産運用の一つとなってきています。
アパート経営は、成功すれば利回りも良く、安定した資産運用が見込まれるため、幅広い世代から関心を持たれている分野です。
アパート経営では、次のようなことがメリットとして見込まれます。
●インフレヘッジ
若い世代では、このインフレヘッジを意識している人が多いようです。
不安定な景気の現代では、インフレになる恐れもあります。
インフレになると貨幣価値が下落し、現金の資産価値は下がってしまいますが、アパートなどの実物資産ならば景気の動向を受けにくく影響が少ないため、財産を守ることができます。
●老後の対策
日本人の平均寿命が延びる現代では、退職金や年金だけでは将来不安です。
また、老後のゆとりある生活のためにも、中長期的に資産を増やしていくことは大事です。
●相続の対策
資産相続では、現金と不動産でかかる税金が異なり、不動産の方が現金より相続税を抑えることができます。
このように、資産の所有の仕方を考えたとき、アパートなどの実物資産を所有する方が、現金資産の所有よりメリットがあるといえるのです。
ただ、アパート経営をはじめるには、アパートを建てるなど、建築費用や運用費用がかかります。
不動産投資を考えている場合は、失敗しないためにも、まずはアパート経営で必要な予算について知っておくことが重要です。
次項からは、アパート経営に必要な予算についてご説明していきます。
アパートを建てる予算には何が含まれる?
アパート経営は、アパートを所有することからはじまります。
アパートを手に入れる方法として、「建てる」方法と「購入する」方法が考えられますが、こちらの記事では、アパートを建てる場合について、詳しくご説明していきます。
アパートを建てる場合、予算項目にはどのようなものが含まれるのでしょうか?
一番大きな予算として考えるのは建築費用ですが、その他にも次のような諸費用が必要です。
●登録免許税
アパートの所有権を記録する手続きで、この登録時に国に収める税金です。
●不動産取得税
アパートなどの不動産の取得に対して課せられる地方税です。
●ローンの事務手数料
アパートの建設費用としてローンを組む場合、手続き時に発生する手数料です。
●保証料
ローンを組む場合、金融機関は個人の保証人の代わりに保証会社をつけます。
保証料は、保証会社に加入する際に発生する費用です。
これらの諸費用は、アパートの規模により変わってきますが、建築費用の5%程かかるとされています。
例えば、建設費用が6000万円の物件の場合、300万円の諸費用がかかることになるので、予算として最低限現金で用意しておく必要があります。
また、土地から探す場合には、土地の購入費用と諸費用がさらにかかります。
土地を探したり購入したりする際に、仲介手数料や土地の手付金(購入価格の10%)などがかかるため、これらも考慮して現金で用意しておかなければなりません。
土地から購入する場合は、建築費用の5%に加えて、土地購入価格の20~30%の現金も予算として必要です。
アパートを建てる予算を考える上で知っておきたい坪単価
アパートを建てる予算には、建築費用の他に、諸費用も加算しておく必要があることをお話ししてきました。
では、実際にアパートを建てる場合、どのくらいの予算が必要なのでしょうか?
これから、最も気になるアパート建築費用の概算相場をご紹介していきます。
アパートと一口にいっても、木造や軽量鉄骨のように種類があります。
建築費用は、建物の種類によって変わってくるため、種類別に「坪単価」をご紹介します。
1坪あたりの単価が分かれば、広さに準じて、大体の建築費用を求めることができるので参考にしてみてください。
●木造アパート:40~60万円
2~3階建て木造アパートの坪単価です。
木造はアパート経営で用いられる一番多い構造で、坪単価の価格も低めです。
●軽量鉄骨:50~80万円
「S造」とも呼ばれる軽量鉄骨は、2~4階建てまで建築可能ですが、木造に比べると坪単価は高めです。
次項では、この坪単価を元にそれぞれのアパートの概算相場を見ていきます。
アパートの建築費用の概算相場はどのくらい?
アパートの坪単価は木造や軽量鉄骨など構造の違いにより差があることをお話しました。
また、同じ構造のアパートでも、2階建てと3階建てでは、かかる費用が異なってきます。
地域差などもあるため、ばらつきはありますが、こちらでは、目安となるそれぞれの概算相場を算出し挙げていきます。
●木造アパート
【50坪】
・2階建て:3,000~4,000万円
・3階建て:4,000~6,000万円
【60坪】
・2階建て:3,500~4,500万円
・3階建て:4,500~6,500万円
【80坪】
・2階建て:4,500~6,500万円
・3階建て:6,500~8,500万円
【100坪】
・2階建て:6,500~7,500万円
・3階建て:7,500~1億1,000万円
木造アパートは建築費用が低めなので、木造で建てる場合は6,000万円程度を目安に予算を組むのがおすすめです。
●軽量鉄骨アパート
【50坪】
・2階建て:3,500~5,000万円
・3階建て:4,500~7,500万円
・4階建て:6,000~1億500万円
【60坪】
・2階建て:4,500~5,500万円
・3階建て:5,500~8,500万円
・4階建て:7,500~1億2,000万円
【80坪】
・2階建て:5,500~7,500万円
・3階建て:7,500~1億2,500万円
・4階建て:1億~1億5,500万円
【100坪】
・2階建て:7,500~9,500万円
・3階建て:9,500~1億5,000万円
・4階建て:1億3,000~2億
軽量鉄骨アパートを建てる場合は、1億円くらいを目安に予算を組むとよいでしょう。
安全にアパート経営するために用意しておきたい予算(自己資金)
アパート経営では、アパートを建てる建築費用はもちろん、その後の運営に使う資金も必要となります。
アパート経営を考えている場合には、できるだけ手持ちの資金を用意してからはじめるようにしましょう。
ローンを組む際、頭金がない場合は審査が通らない可能性もあります。
また、ローンで借りる金額が多ければ多いほどリスクは増えますし、高い賃貸経営となることも考えられます。
さらに、アパート経営を続けていくうちに、収入と収支のバランスが崩れ、返済が難しくなる恐れもあります。
このような事態に対処できるように、アパート経営を考える場合には、建設費用や諸費用を用意するだけでなく、できるだけ手持ちの資金を確保しておきましょう。
金額としては、ローンを半年から一年くらい払える程度の予算を確保しておくのが無難です。
具体的には、投資額の1割か1,000万円程度用意しておくと安心と言われています。
アパート経営のような不動産投資では、あらゆる事態に備えて十分な資金を手元に残しておくことが安全策です。
アパートを建てる予算をできるだけ抑えたい!そのポイントは?
アパート経営はアパートを建てることをはじめとして、運転資金の確保など投資金額が大きいものなので、予算はできるだけ抑えたいものですよね。
最後に、予算を抑えるために考えられるいくつかのポイントをご紹介します。
●複数の建築業者から見積もりを取る
アパートを建てるためには、まず建築業者を選ぶことからはじまりますが、業者によって見積もりに必ず差がでるので、複数の業者でプランを考えてもらうことが大切です。
このとき一括資料請求サービスを使えば、一度の入力で複数社に資料請求することができるので、利用してみましょう。
●優良業者を見つける
建築やアパート経営の依頼は、信頼できる業者に頼みたいものですよね。
親身になってくれて、メリットだけでなくデメリットまで細かく教えてくれるような業者は優良業者といえるでしょう。
また、予算を抑えるなら大手メーカーではなく、地域の工務店に依頼してみてはいかがでしょうか。
大手メーカーでは保証や長期的なケアが見込めますが、広告宣伝費や中間マージンなどが建築費用に上乗せされているので、その辺りのコスト削減も考えて業者を選ぶと良いでしょう。
●価格を抑えた構造や設計を検討する
デザインを重視したアパートはおしゃれで素敵ですが、形が複雑であったり、使用する材料が多くなったりするほど建築費用はかさみます。
構造や設計の面でシンプルなものは、建築費用も抑えられます。
飽きのこないシンプルでおしゃれな形を提案して、長く住み続けてもらえるようなアパートにしましょう。
アパート経営を今後の人生プランに!
アパート経営を考えている人は、いろいろな目的をもっていることと思います。
将来や老後の収入源を確保したい人や、持っている土地を有効活用したい人、資産運用をしたい人など様々でしょう。
近年、アパート経営は予算さえあればそれほど難しいことなくはじめられる事業といわれています。
アパート経営に興味のある人は、まず予算や運営方法などしっかり知識を身につけてから、今後の人生プランとして検討してみてくださいね。