アパートを建てることを漠然と考えていても、どのように計画したらいいのかわからないという人は多いのではないでしょうか。
アパートを建てる時に重要なのは、どのくらいの収益が上がるのか試算することです。
そうでないと、かけるべき費用も算出できません。
今回は、アパートを建てる時に役立つ、収益や費用の試算の仕方をご紹介します。
アパートを建てる敷地を調査してみよう!
アパートを建てる時の収益や費用を計算する場合、まず敷地にどのくらいの規模のアパートを建てることができるのか試算をしてみることが必要です。
土地には用途地域に基づいて建蔽率、容積率が決められているので、その敷地に建てられる建物の最大の延床面積は計算することでわかります。
土地ごとの用途地域、建蔽率、容積率は、役所の建築指導課の窓口や役所のホームページなどで調べることができるので問い合わせてみましょう。
例えば、300m²の敷地で第一種低層住居専用地域の建蔽率50%、容積率80%だとすると、アパートの延床面積の限度は240m²です。
そのうち共用部分で10%ほど使用すると仮定すると、室面積に利用できるのは216m²、つまり21m²の部屋が10部屋とれることになります。
ただしこれはあくまでも概算の計算方法です。
実際には土地の形状や接道の状況、その他の規制などで変わります。
アパートを建てる費用を構造別に試算してみよう!
アパートを建てる場合、建物の構造によって建築費用が変ります。
建築費用を試算する場合、一坪あたりの建築費である「坪単価」を使います。
一般的には、木造で建てる場合の坪単価が50万円から60万円、軽量鉄骨造の場合が70万円前後、重量鉄骨造の場合が70万円から90万円、鉄筋コンクリート造の場合が100万円から120万円と言われています。
例えば、先ほど試算した240m²のアパートを木造で建てるとします。
1坪は約3.31m²なので、アパートの延床面積は約72.51坪。
これに坪単価50万円をかけると3625万円となります。
同じ面積のアパートを鉄筋コンクリート造で建てようとすると、坪単価100万円として、7251万円になるというわけです。
どんな構造を採用するかは、アパートの規模や入居者のニーズ、どのくらいの賃料を見込めるのかで決めると良いでしょう。
用途地域によって建てられる建物に制限がある場合もありますので、注意が必要です。
建てるアパートはどのくらいの賃料が見込めるのか試算してみよう!
敷地から計算したアパートの総面積を基に、どのくらいの賃料が見込めるのか試算してみましょう。
アパートの賃料は、最寄りの駅や駅からの距離によって変わってきます。
まず、土地から駅までの距離を測ります。
1分あたりの歩く距離を80mとして、測った距離を80mで割ると、土地から駅まで歩いてかかる分数が出ます。
その条件を基に、賃貸物件の検索サイトで同条件の物件をピックアップします。
部屋の面積、建物の構造や築年数だけでなく、オートロックの有無やペット可などの条件は賃料に影響しますので注意しましょう。
ピックアップした物件からより条件が近いものを抽出し、その賃料の平均値に部屋数をかけたものが、月々見込める収入と仮定します。
もし、敷地内に駐車場やバイク置き場も想定できるようであれば、その賃料も収入に含めて計算します。
もしあまり多くの収入が見込めない場合は建てる費用を縮小する必要がありますので、収入を試算することはとても重要です。
試算した費用と収入から、利回りを計算してみよう!
利回りとは、元金に対する利益の割合ですが、アパート経営においては建てる費用の総額に対する年間の賃料収入で計算します。
例えば、建築費が3625万円の10世帯のアパート、一部屋あたりの賃料が5万円だとすると、(5万円×10部屋×12ヶ月)÷3625万円=0.16で、利回りは16%となります。
これは、7年間経過すると収入の合計が建築費を上回るという計算ですので、まずまず良好な運営ができる立地と言えます。
ただし、この16%というのはいわゆる「表面利回り」と言われるもので、実際の手残りを計算する「実質利回り」はもっと低くなります。
また、今回計算した賃料5万円というのはあくまで新築時の賃料であり、経年とともに賃料が下がることもあるので、利回りも長期的に続くものではありません。
表面利回りは、あくまで比較するための指標として用いるものですので、その点は十分理解して気を付ける必要があります。
アパートを建てる費用の見積もりを建築会社に依頼しよう!
利回りまで試算したら、実際にアパートを建てる費用の見積りを建築会社に依頼してみましょう。
アパートを建ててくれる会社を大きく分けると、工務店、アパート主体の建築会社、ハウスメーカーの三種類あります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
工務店は、木造の戸建てから鉄筋コンクリートのマンションまで幅広く建築を請け負う建築会社です。
特徴としては、比較的建築費が安めなことです。
エリアを絞って営業している会社もあるので、対象エリアかどうか確認が必要なこともあります。
次に、アパート主体の建築会社は、アパートの建築だけでなくその後の管理からメンテナンスまで請け負います。
建築後も長期的に任せられるところが魅力です。
逆に、経営途中で管理会社を変更したり、メンテナンスを他社に任せたりすることに融通が効きづらい点もあります。
ハウスメーカーは、戸建て住宅もアパートも建てる建築会社です。
建築費はやや高めですが、入居者受けするデザインを多く取り入れており、ハウスメーカーのネームバリューで入居する入居者がいることが大きなメリットです。
建築会社は、アパートの立地や入居者のターゲット層によって選定すると良いでしょう。
建築費の見積もりから再度利回りを計算してみよう!
建築会社に出してもらった見積もりを基に、再度アパートの利回りを計算してみましょう。
利回りを算出する時の賃料については、建築会社が作成した図面で不動産会社に賃料の査定を依頼すると良いでしょう。
年間の賃料収入の総合計を、建築費で割ると利回りが算出できます。
実際には、先程試算した場合より低くなることも多いかと思います。
図面のプランによって賃料も変わるので、プランごとに利回りを出して、どんな計画が最適なのか検討しましょう。
この時に注意したいことが二つあります。
一つ目は、建てる費用の総額についてです。
見積もりの形式によっては、建設に必要な工事の一部が「別途見積もり」で空欄になっている場合があります。
できるだけ実際にかかる総額を想定するため、概算で良いので把握しておくと良いでしょう。
二つ目は、希望している面積が確保できているかどうかです。
同じ総面積でも、一部屋当たりの面積が小さければ小さいほど見た目の利回りは良くなります。
しかし、立地によっては狭小のワンルームの需要がないところもあります。
需要と利回りのバランスの取れたプランを選択するよう気をつけましょう。
アパートを建てる時、大事なのはバランス!
アパートを建てる時に役立つ、費用や収入の試算の仕方についてご紹介しました。
いきなり建築会社に依頼するより、自分で簡単に費用と収入の計算をしておくと、効率的に計画を進めることができるようになります。
建築費と賃料、そして需要のあるプランの、三つのバランスがとれていると長期的に安心してアパート経営ができますね。