賃貸物件を選ぶ際に、お気に入りの物件が見つかっても、住んだ後に後悔してしまったという話を耳にすることがあります。
よくあるのは、家賃を無理して生活費が苦しくなるケースです。
また、家賃を抑えたことで物件に対して不満が出る場合もあります。
例えば、家賃に5000円の差があった場合、どれくらい実生活が変わるのでしょうか。
こちらの記事でご紹介しますので、賃貸物件探しの際に参考にしてください。
お部屋探しの第一条件となる家賃
独立、結婚、就職、出産など、お部屋探しを始めるきっかけは人それぞれです。
どのような物件を選ぶかの基準として、「エリア」、「部屋の広さとグレード」、「家賃」の3つが挙げられます。
物件を探す際にこの3つを整理しておくとスムーズです。
「エリア」とは◯◯区内や勤務先まで1時間以内、実家まで歩いて行ける距離、など物件の場所です。
「部屋の広さとグレード」とは、「新婚生活用なのでリビングが少し広めの2LDK」「お風呂には追い焚き機能がほしい」「新築に住みたい」等の部屋と建物についての希望です。
最後に、収入に応じて支払える「家賃」です。
上記3つの基準を整理すると「〇〇沿線で駅徒歩10分以内、築10年以内くらいでなるべく新しい2LDKで宅配ボックスは必要、家賃は10万円位」となります。
これらを明確にしておくと、不動産営業マンも物件を探しやすいです。
そして、この3つの中でも一番大切なのは家賃です。
どれだけ立地や設備にこだわりがあっても、相応の家賃を支払うことができなければ生活できなくなってしまいます。
立地や設備も大事ですが、家賃に5000円の差があれば生活にも影響がでます。
まずは支払えそうな家賃の物件を探しましょう。
一般的には、家賃は手取り月収の30%以内で抑えることが推奨されていますので参考にしてください。
物件を見に行こう!物件を選ぶときは家賃相場を知っておくことも大事
「エリア」・「部屋の広さとグレード」・「家賃」の3点が絞り込めたら、不動産屋に足を運びましょう。
希望条件を営業マンに伝えると、いくつかの物件をピックアップしてくれます。
その中で、気になる物件があった場合、実際に物件を見に行くことになります。
いくつかの物件を内見すると、大体の家賃相場がつかめてきますが、物件にはあまり大きな差がないと感じることもあります。
案内が終わると、営業マンから気に入った物件があるか聞かれます。
「この物件は人気なのですぐになくなりますよ!」など必死で即決を迫ってくる営業マンもいますが、よほど気に入った物件がない場合は即決せずに少し検討しましょう。
一度住み始めると簡単に引っ越すことはできません。
部屋を内見した当日に不動産営業マンに勧められた物件が「実は周辺相場よりも割高だった。」「内覧の時は気持ちが盛り上がって新築に住んだけれど、家賃の支払いがきつく5000円安い中古でもよかった!」ということもあります。
物件を選ぶ際に希望条件に対して100点満点の物件はほとんどありませんが、家賃相場をよく理解した上で選びましょう。
想定家賃のプラス・マイナス5000円差の部屋も見てみよう
次に、当初想定していた家賃よりも5000円高い物件と安い物件を案内してもらいましょう。
これは、想定よりも5000円アップすることで、広さ・設備・生活利便性(駅や商業施設との距離)においてどれくらい居住性が高まるかを確認するためです。
月5000円を1日換算すると約170円です。
1日170円で「通勤が楽」「リビングが広くなって快適」等、居住性が格段にアップするのであれば有益かもしれません。
逆に、想定していた家賃より5000円安いお部屋で許容できそうであれば、浮いた5000円を趣味・娯楽や貯金にまわすことができます。
例えば「駅まで少し遠いけど十分歩ける」「少し古いけどそんなに気にならない」などの場合は、5000円で豪華な外食ができますし、1年間貯金し続けると、ちょっとした旅行にも行くことができます。
5000円の差でどのような物件があるか確認してみましょう。
家賃を5000円値下げしてもらうことは可能?
家賃は賃借人と賃貸人の同意によって決定されますので、値下げ交渉は自由にできます。
気に入った物件が自身の想定していた家賃より5000円高い場合は、ダメもとで値下げ交渉をお願いしてみましょう。
ここではちょっとした値下げ交渉のコツをお伝えします。
・良くない例
「どれくらい値下げできますか?」
「◯◯円まで下げてもらえますか?」
「もう少し下がったら検討します。」
・良い例
「家賃が90000円となっていますが、85000円なら申込みをしようと思います。」
NG例の場合、家賃がいくらなら申し込むのかが不明瞭で家主としても返答しにくいです。
またどこまで真剣に検討しているのかが伝わりにくいです。
家賃の交渉をする時はOK例のように「◯◯円なら住みますので是非よろしくお願いします。」という明確な意思表示をすることが大切です。
そうすることで、家主も前向きに応じてくれる可能性が高くなります。
また、季節によっても差があります。
部屋探しのピーク月(2~3月)は家主も家賃設定が強気になる傾向がありますが、閑散期(6〜11月)は値下げ交渉がしやすくなる傾向にあります。
家賃が5000円違うとどれくらい物件に差が出る?
それでは、家賃に5000円の差があると、一体どれ位の物件差があるのでしょうか。
例えば、乗降者数がそれなりに多い関西のある駅周辺の物件の場合、2LDKの新築家賃が約150,000円だとすると、築5~10年の物件は145,000円くらいです。
また、駅徒歩5分以内の2LDKの家賃が約150,000円だとすると、駅徒歩10~15分の物件は145,000円くらいです。
誰も住んでいないマンションか、少し使用感があるものの築の浅い中古マンションかでも、5000円くらいの差が発生します。
また、駅までの時間が10分くらい違うと、5000円の差が発生するということになります。
築5~10年の差では物件の外観・仕様・設備等に大きな差異はないように思います。
しかし、駅からの距離は毎日の通勤や通学に大きく影響します。
片道10分ですと往復20分、週休2日だと1か月で2時間以上を短縮している計算になります。
近年は酷暑や豪雨も日常茶飯事になっていますので、通勤時間の短縮は相応の価値があるでしょう。
賃貸物件と分譲物件の差
これまでは賃貸物件を前提としたお話でしたが、分譲マンションを検討するのも1つの選択肢です。
月の支払いを想定している家賃にプラス5000円で住宅ローンを組めば、賃貸よりもかなりグレードの高い物件を購入できる可能性があります。
2019年時点では、住宅ローンの金利は非常に低く、家賃とローンの支払額に大きな差はありません。
分譲マンションは、魅力的な物件に見えるよう設備の充実に力を入れていることが多く、賃貸よりも質の高い物件が多いです。
また、住宅ローンという負債を抱える一方で、不動産という資産を手に入れることになります。
ローンには終わりがありますが、家賃に終わりはなく掛け捨てとなり、どれだけ払っても畳1枚自分の物になりません。
長期的に居住する予定であれば、購入するのも1つの選択肢になります。
プラス・マイナス5000円の差で選択肢の幅が広がる!
物件を探す際は、まず無理なく支払えるような家賃を決めなければなりません。
そしてその賃料は、そのエリアによって相場というものがありますので、残念ながら掘り出し物は中々ありません。
近隣相場を頭にインプットした上で、5000円の差がある物件も見学してください。
また、家賃5000円の差は築年数・駅距離・設備等に影響しますが、そうすることによって、新たな発見があるかもしれません。
居住期間が長くなる場合は購入も視野に入れると、グレードの高いマンションに居住できる可能性が高くなります。