窓の高さの標準とは?採光・通風・プライバシーを確保する窓

これから住宅を建てる、購入するというとき、デザインや間取りなどは重視するかもしれませんが、窓までは気が回らないという人は多いでしょう。

平面図では、数字で窓のサイズのみ書かれていることもあり、素人にはわかりづらいということもあります。

採光や通風・プライバシーに大きく関係してくる窓。

標準的な高さやサイズはありますが、それぞれの環境に適した窓を設置したいですよね。

窓の高さについてご紹介しますので、自身の住宅に適した窓を見つけましょう。

住宅に使われる標準的な窓の高さは3つ

住宅を建てるとき、または購入するとき、重視する部分はいくつかありますよね。

住宅のデザインや間取り、部屋数、耐震性、または価格など、重視したい部分はたくさんあります。

そして、日当たりも気になるポイントだと思いますが、日当たりに関係してくるのが、窓の高さや配置です。

日当たりも大切なのですが、窓をどの高さにしてどこに配置するのかによって、明かりや風の入り方が大きく変わってくるのです。

窓の高さなど、気にしたことはないかもしれませんね。

窓の高さ、という点から窓を見てみましょう。

標準的な住宅において、窓の高さは大きく3つとその他に分けることができます。

・掃き出し窓
・腰高窓
・高窓
・その他の窓

窓の高さは住宅のデザインによってさまざまで、ひとくくりにできない部分もあるのですが、大きく分けると上記のように分けることができます。

高さが自由に変えられる掃き出し窓

日本の多くの住宅に標準的に設置されている窓のひとつが、「掃き出し窓」です。

掃き出し窓は、窓の高さが床から人の身長の上まである大きな窓です。

自宅の庭やベランダにそのまま出ることができるため、庭に面した部屋に設置されることが多いです。

掃き出し窓という名前は、ほうきでゴミをそのまま外に掃き出していた窓というのが由来だそうですよ。

大きなサイズの窓ですので、住宅や部屋のデザインに大きく影響を及ぼす重要な窓です。

標準的なサイズは、このようになっています。

幅1690mm×高さ2030mm

幅1690mm×高さ1830mm

窓は幅を動かせないことも多いのですが、高さに関しては自由度が高く、部屋に合わせて変えることができます。

窓を大きくして解放感を演出したい、住人の身長が高いから窓も高くしたい、などさまざまな理由で窓を高くする人もいるようです。

ただ、窓が高くなると窓の面積が大きくなります。

そうなると日差しもきつくなり、夏には部屋の温度が上昇してしまいます。

また、窓は壁に比べて断熱性も低いため、冬には窓から冷気が入ってきて寒いです。

このように窓を高くするのはデメリットもありますので、大幅なサイズ変更よりも、標準の窓の高さを目安にして少しアレンジするくらいが良いかもしれません。

インテリアと調和する腰高窓!標準的で使いやすい

「腰高窓」は、成人が立った状態で腰の高さにある窓のことです。

ダイニングテーブルなどと同じ高さですね。

具体的には、床面から80cm~100cmほどの高さに設置される窓です。

こちらも掃き出し窓と同様に、日本の住宅でよく使われています。

約1800mm×約900mm程度が標準的なサイズです。

通風や部屋のデザインなど、さまざまな目的で設置されます。

また、腰高窓は家具の配置を邪魔しにくいという点で掃き出し窓より有利です。

ソファやチェスト、ダイニングテーブルなどを窓の前に配置することができるため、掃き出し窓よりもインテリアコーディネートの幅が広がります。

窓と家具の高さをうまく調整すれば、カーテンと干渉しないようにすることも可能です。

腰高窓の前にダイニングテーブルを配置すると、外を見ながら食事を取ることができて、日常生活に彩りが出ますね。

また、窓枠の厚みを利用してちょっとしたオブジェを置いても部屋のアクセントになります。

掃き出し窓のように大きな窓は明かりや風を多く室内に取り込んでくれるのが魅力ですが、西に面している部屋では、日差しが強すぎることがあります。

腰高窓であれば風を取り込みつつ入ってくる日差しは少なくなりますので、日当たりの良すぎる部屋にもおすすめです。

天井に近い高さの高窓はプライバシー保護に最適

「高窓」は壁の上の方についている窓で、一般的に肩よりも上に設置されているものを指します。

トイレや洗面室などによく採用されます。

外を眺めることは難しく、採光や換気が目的で設置されるのが一般的です。

高さがある窓ですので、柔らかい光が差し込みます。

ただ、洗面室に設置する場合は洗濯機や洗面台をどこに配置するのかも考えておいた方が良いです。

洗濯機の真後ろに高窓があったら、換気がしにくいですよね。

ほかにも、高窓はプライバシーが気になる部屋の窓としても採用されることがあります。

例えば、住宅密集地で隣家との距離が近い場合、大きな掃き出し窓では気持ちが落ち着かないですよね。

高窓は明かりと通風を確保でき、しかも気になるプライバシーも守ってくれます。

最近では壁掛けテレビが標準的になってきましたので、テレビを掛ける壁の面積を確保するために高窓を設置するという人もいるようです。

また、高い場所に窓があると煙突効果で熱い空気を外に排出しやすくなります。

換気という意味でも高窓は大きな効果を持っているのです。

標準の高さ以外の窓も魅力的

「掃き出し窓」「腰高窓」「高窓」という3つの窓の高さをご説明してきました。

しかし、窓の高さはご紹介してきた3つ以外にもあります。

いくつかご紹介します。

■地窓

地窓は床面に接して設置された窓です。

足元にある低い位置の窓のことですね。

高窓と同様にプライバシー保護の効果が高いうえ採光と通風の役割を果たしてくれます。

地窓と高窓をひとつの部屋に設置すると、効果的に自然換気ができて省エネ効果が期待できます。

やさしい明かりが入ってきますので、寝室や和室におすすめです。

■肘掛け窓

床に座ったときに、窓枠にちょうど肘を掛けられる高さの窓を肘掛け窓といいます。

床面からの標準的な高さは、360mm~450mmほどです。

和室によく使われ、床に座ったまま外の風景を楽しむことができます。

日本人には落ち着く窓の高さですね。

ソファよりも床の生活をしたいという人におすすめです。

■天窓

屋根に設置する窓、天窓は採光という意味ではとても効率的です。

一日中明かりが差し込み、家の中を明るくしてくれます。

FIX窓(はめ殺し窓)が採用されることも多いですが、手動や電動で開いて換気できる天窓もあります。

明るい家にしたくても窓のつけすぎには注意

掃き出し窓、腰高窓、高窓、その他の窓の特徴をうまく活用して、採光や通風、プライバシーを確保できる住宅にしていきましょう。

しかし、気を付けてほしいのは、あれもこれもと窓を設置しすぎないことです。

日差しをたっぷり入れたいから窓をたくさん設置したい、となった場合、その部屋の壁の面積が少なくなってしまいます。

そうなると、家具はどこに配置すれば良いのでしょう。

また、窓が多すぎると冷気や熱気が入ってきやすく逃げていきやすいため、冷暖房効率も下がってしまいます。

隣家や道路からの視線も気になりますよね。

とにかく窓をたくさん、というのは一度立ち止まって考えた方が良さそうです。

日差し・通風性・プライバシーがどうなっているのかまで含めて窓の高さや設置箇所を考えていきましょう。

窓には標準といわれるサイズがありますが、自由なサイズ変更や配置が可能です。

標準的な窓の高さや大きさだけでは対応できない部分も出てくるかもしれませんので、ハウスメーカーや専門家に相談しながら決めるのもひとつの手ですよ。

大切な役割を持つ窓を忘れないで

日当たりや風通しは平面図だけでは想像ができないものですよね。

敷地がどのような形状になっているかや近隣の環境でも窓の高さや配置は変わります。

窓の高さや配置は専門家でないとわからないこともありますので、相談してみると良いですよ。

ほかのことに気をとられて忘れ去られがちな存在の窓ですが、実は住環境においてとても大切な役割を持っています。

ぜひ、窓のことも頭に置いておいてくださいね。