窓は、住まいに必要な要素の1つです。
室内に光や空気を取り入れ、眺望をもたらす窓は、快適な生活を送る上で欠かせません。
窓は、取り付け位置や数によって部屋の印象が大きく変わり、住み心地にも関わってきます。
目的によって窓が設置される高さは様々ですが、床からどのくらいの高さがベストなのでしょうか?
こちらでは、窓の高さの話を中心に、住まいにおける窓の重要性についてお話ししていきます。
窓の設置に床からの高さなど決まりや基準はある?
建物に設置される「窓」の大きさ、形、高さは、その目的やデザインによって様々です。
窓は、高さや大きさなど、自由に選んで設置できるものなのでしょうか。
また、建築基準法などによる決まりや基準はあるのでしょうか。
高層階の窓などは特に、窓からの落下防止に設置基準が定められているのではないかと思うのではないでしょうか。
しかし実際には、窓を取り付ける高さに対して、建築基準法による決まりや基準はありません。
行政や金融公庫融資住宅の基準として指定されることもありますが、法律で決められているわけではないので、従わなくても違反ではないのです。
そのため、窓は「高さ」を自由に選んで設置することができます。
しかし、実際には機能性や安全性を考慮した「高さの目安」が存在します。
窓は、高さによって次のように分類されています。
●高窓
肩位置より高い位置の窓で、高いものでは天井近くに設置されるような窓
●腰高窓(腰窓)
大人の腰の高さ(窓の下端が床から800~900mm)に取り付けられている窓
●掃き出し窓
床からすぐの位置に窓の下端があり、人の出入りが可能な窓
この他にも、窓の設置目的によってそれぞれ最適な高さの目安があります。
次項で詳しくご紹介します。
窓の高さは床からどのくらいが最適?目的別に考えよう!
窓は、採光や換気、ベランダへの出入りなど、その目的によって設置位置(高さ)が変わってきます。
一般的にそれぞれの窓は、どれくらいの高さで取り付けられているのでしょうか。
ここでは、目的別に窓の標準取付位置(床からの高さ)をご紹介します。
【リビング用の掃き出し窓(縦幅2030mm)】
・床から0mmに設置。
・1階のリビングに多く用いられる掃き出し窓で、外との出入りがしやすい高さです。
【リビング用の窓(縦幅1300mm)】
・床から700mmに設置。
・リビング・ダイニングなどに用いる開放感を出す大きめの窓で、高さは腰位置よりやや低めです。
【一般的な居室の窓(縦幅1100mm)】
・床から900mmに設置。
・ソファなどが置きやすい、一般的な腰窓の高さです。
【2階個室などの小窓(縦幅900mm)】
・床から1100mmに設置。
・2階の部屋や廊下などに用いる窓で、落下防止の安全性を考慮した高さです。
【換気用の窓(縦幅700mm)】
・床から1300mmに設置。
・換気が必要な場所に用いる窓のため、吊戸棚や洗濯機の配置を考慮した高さです。
このように、窓の設置の高さには、家具配置との兼ね合いや、機能性、安全性などを考慮した標準位置がありますが、近年では住宅の自由設計に合わせて選べるようになってきています。
ショールームで窓の高さを体感できる?!
窓を設置する際、床からの高さとしてそれぞれ標準位置がありますが、基本的にどのような窓でも、希望する高さに調整して設置することが可能です。
窓の大きさや設置位置(高さ)は、機能性やデザイン性に大きく関わってきます。
特に、窓を設置する「高さ」を間違えてしまうと、家具が置けなくなる、高さのチグハグな設置で見た目の統一感に欠けるなど、設置後に様々な不具合が生じることがあります。
窓の設置で後悔しないためには、窓のある空間を前もってシュミレーションをしておくことが大事です。
実際の窓の高さを体感しておけば、完成時のイメージが沸きやすいですよね。
窓の高さを体感したい場合は、窓を取り扱うショールームへ行ってみましょう。
ショールームによっては、窓の大きさや高さを実際に体感できる装置を備えているところがあります。
上下左右可動式の壁を手で動かして、好みの高さ、好みの大きさの窓をつくることができます。
窓の部分には景色が描かれ、壁との対比でシュミレーションしやすく、実際の高さ・大きさが体感できるのでおすすめです。
窓の設置では床からの高さを上手に活かそう!
窓の設置では、大きさや形選びも大切ですが、床からの高さ選びはさらに重要です。
一般的によく用いられる「腰高窓」は、窓の下端が床から800~900mmの高さが標準ですが、チェストなどの家具を置く場合、窓位置と重なってしまうことが多くあります。
家具の設置を考えて、窓の高さ・大きさを決めておくと後悔のない家づくりができます。
高さのあるチェストを設置したい場合には、カーテンとの干渉なども考え、余裕を持たせた窓の高さに調整しましょう。
例として、窓の設置位置(高さ)を1100mmとりチェストの設置空間を確保して、縦幅900mmの小さめの窓を設置するなどの方法があります。
窓下のスペースを有効活用できるよう、窓の設置位置(高さ)は前もって調整しておくと良いでしょう。
この他、採光や風通しが目的の「高窓」や「地窓」のように、より高い位置やより低い位置に設置する窓も、高さを活かすことでおしゃれに居室を演出します。
高窓は、高い位置に設置するため外からの視線を受けにくく、窓の取り付けに躊躇するような部屋にも用いることができます。
また、高い場所からの採光により部屋全体を明るくすることができる利点も持ち合わせています。
さらに、高い位置に窓を設置することで、室内に温度差が生じ、自然な空気循環がもたらされます。
地窓は、床面近くに細長く取り付けられる窓で、廊下や玄関での採光で、おしゃれな空間を演出します。
このように、窓は、設置する「高さ」を活かすことでいろいろな効果が得られることが分かります。
窓はいつ選ぶ?後悔しない窓選びをしよう!
新築やリフォームなどの家づくりでは、まず間取りやデザインから検討する人が多いのではないでしょうか。
間取りやデザインももちろん重要ですが、同時に追加検討しておきたいのが「窓」です。
家づくりの経験者の大半が、「家づくりの検討項目の1つとして「窓」を重要視すべき」と答えています。
また、「できることならもう一度「窓」を考えたい」と思っている人が多いとの報告もあります。
「窓の高さを床からもっと高く設置しておけばよかった」、「とりあえず窓をと付けてしまったが使い勝手が悪い」など、窓は建築後にトラブルの原因となることが多いのです。
家を建てた後では、窓は簡単に変更することができません。
採光や風通し、部屋の暑さや寒さなどに大きく関わる窓は、慎重に設置の検討をする必要があるのです。
では、窓の設置はいつ選び、どのタイミングで決定すればよいのでしょうか。
窓を検討するのは、間取りの検討と同時進行がベストです。
部屋の間取りを考えると同時に、その部屋のイメージに合う窓づくりを考えましょう。
明るい部屋づくりに大きな窓を複数取り入れたり、窓を額に見立ててピクチャーウィンドウを設置したりと、間取りと部屋の雰囲気を考えながら、窓の配置も検討していきましょう。
今ある窓の高さや大きさを変えたい!リフォームで窓をなくすこともできる?
窓の設置は、新築時やリフォーム時の初期段階で検討が必要とお話ししてきました。
では、家を建てた後でも、窓の床からの高さや大きさなどを変えることはできるのでしょうか。
基本的には、建てた後でも変えることは可能です。
ただ、窓の床からの高さや大きさを変えるリフォームでは、外壁の改修工事も必要なため、足場の設置など大掛かりなものとなります。
また、費用は25万円~50万円と高額が予想され、工期も長くなると考えられます。
窓のリフォームを考えるならば、まず専門業者と相談して、既存のサッシを壊さず窓の交換で改善できる方法を探りましょう。
窓の断熱や遮光、防音や防犯のリフォームならば、窓の交換だけでも十分対応が可能ですが、家具の配置などで窓自体をなくしたい場合は、窓を塞ぐ必要があります。
窓を塞ぐリフォームにはいろいろな方法があり、窓をなくすことも可能です。
室内側のみ壁にする簡易なリフォームから、室内も外壁も完全に壁に作り替える高度なリフォームまで、予算に合わせて選ぶことができます。
どうしても窓をなくしたい場合には、希望に合うリフォーム方法を検討してみましょう。
窓は早めに検討を!特に「高さ」を重要視しよう
窓は、家づくりのなかで間取りと同じくとても大切な要素です。
家を建てた後では、窓の改修は費用的にも時間的にも負担が大きくなってしまうので、新築時には早い段階で慎重に検討する必要があります。
窓の大きさや形はもちろん、設置する「高さ」をしっかりと考慮して、どのような窓にするか決めていきましょう。
部屋のイメージに合う、おしゃれで快適な空間づくりの要素として「窓」を上手に設置しましょう。