マンションなど賃貸物件の間取りを見ていると、納戸・サービスルームなどと表記されているのに気づくことがあります。
納戸という言葉は比較的昔から使われており、収納スペースなどに使われると想像がつく方も多いかもしれませんが、サービスルームにはどういう意味があるのでしょうか。
また、納戸とサービスルームは部屋としての扱いは受けられないようですが、その理由も気になるところです。
記事では、納戸とサービスルームの意味や違い、通常の部屋との違いについても解説していきます。
納戸とサービスルームの意味!違いはあるの?
新しい新居探しでマンションなどの賃貸物件の間取りを確認することがありますよね。
間取りはマンションによってそれぞれ違いがあり、どういう形が自分たちの理想の住まいに一番合っているのか考えるのは楽しい作業でしょう。
さて、その間取り図でよく見られる表記として、納戸やサービスルームという言葉があると思います。
リビング・キッチン・洋室などと違い、納戸やサービスルームではパッと見て何に使うか分からないこともあるかもしれません。
納戸はその字の通り、何かを納めておく場所として使われることが多いことから、収納スペースと捉えていることが多いですよね。
それでは、サービスルームにはどういう意味があるのでしょうか。
実は、納戸とサービスルームは同じような意味で使われています。
それではなぜ、漢字とカタカナなど名前のつけ方が違うのかというと、和室のイメージの賃貸では納戸、洋室のイメージの賃貸ではサービスルームと分けているようなのです。
意味としてはどちらにも大きな違いはないということですね。
建築基準法で納戸・サービスルームはどういう位置づけ?
納戸とサービスルームには大きな違いはなく、和風か洋風かによって違いを出しているようです。
確かに納戸とサービスルームでは言葉の響きにも違いがあり、漢字とカタカナでは感じ方にも違いがあります。
ですから、それぞれ部屋の雰囲気に合った呼び方が好ましいともいえますね。
では、納戸とサービスルームは建築基準法の観点からすると、どういう位置づけがされているのでしょうか。
納戸とサービスルームは、建築基準法では「居室と認められない部屋」ということになります。
居室とは、人が生活するのにある程度長い時間過ごすことが想定してつくられた部屋のことです。
実にさまざまな条件があり、その条件を満たすことによって初めて居室として扱うことができるのです。
居室の例としては、リビング・寝室などが当てはまり、快適で健康的に過ごすという基準が求められます。
しかし、納戸・サービスルームにはそのような基準は必要ないという前提でつくられているといってもいいでしょう。
居室との違いから納戸・サービスルームをより知ろう!
建築基準法の観点から、納戸やサービスルームを居室に当てはめることはできません。
それならば、居室を知れば、居室が納戸やサービスルームと、どう違うのか分かることができそうですよね。
ここでは、居室の建築基準法での定義をお伝えします。
居室の定義として
・採光
・換気
この2つが重要な点として挙げられます。
まずは採光についての解説です。
採光では部屋の窓の大きさに基準があり、窓の最低面積が床面積の1/7以上と決められています。
広さ的には部屋として問題ない場合でも、窓の大きさが基準に満たない場合には納戸やサービスルームとなってしまうということです。
一軒家と違い、マンションなどでは窓のない部屋や、窓の大きさが居室として満たない部屋もありますよね。
そのような部屋は、納戸やサービスルームという扱いになります。
賃貸マンションを内見したときに、部屋が広いのになぜサービスルームになっているのか疑問に思った方もいるかもしれませんね。
その場合は、採光や換気など建築基準法での基準を満たしていないことが考えられます。
サービスルームが広いスペースだから子供部屋として使いたいと思ったとしても、居室としての条件は満たしていませんので注意が必要です。
納戸・サービスルームとの違いはここにも!居室には換気が必要!
前項では、居室の定義として採光・換気があること、次に採光について具体的にお伝えしてきました。
ここでは、換気に関して解説していきます。
居室には、換気機能がついていることが条件としてあります。
また、換気機能としての条件は、窓などの開口部が床面積の1/20以上であることが求められています。
もしその条件を満たさない場合は、別に換気設備をつける必要があるのです。
それでは、なぜ換気機能が必要になるのでしょうか。
一戸建てだけでなく、マンションなどの賃貸物件でも、高気密高断熱の住まいということが求められています。
高気密高断熱の住居は気温に左右され過ぎない住空間を作り出したり、光熱費の削減にも効果が期待できます。
しかし、高気密であるということは、窓を開けない限り、それだけ空気の入れ替えが行われにくいことを示しています。
空気の入れ替えがないと、悪い空気がいつまでも留まってしまい、健康に良くありません。
こういった背景に、換気機能を居室の各部屋に取りつけることが義務づけられているのです。
納戸・サービスルームと居室の違い、主なものは採光・換気の条件があるかどうかになります。
使い分けされている場合も!納戸とサービスルームの違い
前項では、納戸とサービスルームには厳密な違いはないとご説明してきました。
和風か洋風かで使い分けがされているだけともお伝えしましたね。
しかし、最近では納戸とサービスルームは分けて解釈されている場合も多いようです。
というのも、スペースの大きさによって、納戸とサービスルームを使い分けていることが増えてきているからです。
最近の傾向として、3畳くらいまでのスペースには納戸、5畳以上の大きなスペースの場合はサービスルームとしている物件が多いようです。
3畳くらいでは住空間としては狭すぎることもありますし、ちょっとした物置スペースとしての扱いになっているのでしょう。
また、5畳もあれば居室としては扱えないものの、使い方次第では自由に使うことができるスペースだということですね。
実際にこのようなサービスルームのことをフリールームと呼ぶことも増えており、意味的にはサービスルームと書かれているよりもフリールームと書かれているほうが分かりやすいかもしれませんね。
賃貸の間取図を確認!納戸とサービスルームの表記
賃貸の間取図を確認してみたとき、納戸は納戸、サービスルームはサービスルームと表記してあればいいのですが、なかには省略したアルファベット表記になっている場合があります。
納戸の場合は「N」、サービスルームは「S」となっているようです。
リビングなどの表記と合わせた形では違いがあり、「3LDK+N」と書かれていたり、「3NLDK」と書かれていることがあります。
納戸やサービスルームは、プラスされて最後に表記される場合と、部屋数の後に記載される場合があるのです。
ちなみに、3NLDKとは、最初の数字は居室の数、Nは納戸、Lはリビング、Dはダイニング、Kはキッチンになります。
あまり見慣れないアルファベットが間取り図に乗っていたら、上記のような表記になっていないか確認してみましょう。
納戸とサービスルーム基本的には大差はない
納戸とサービスルームの違いですが、基本的に大きな差はないようです。
しかし、最近の傾向として、納戸は3畳くらいまでのスペースを、5畳以上のスペースとなるとサービスルームと使い分けている物件も多いようです。
納戸・サービスルームと居室との違いは、採光・換気があるかどうかでした。
居室ほどの快適さはありませんが、納戸・サービスルームには色々と使い道がありそうですね。
納戸・サービスルームを有効に使えるかどうかが、快適な生活に結び付くことになるでしょう。