マンションなどの集合住宅で、ベランダのお隣と自宅を隔てる仕切りをご存知でしょうか。
これは仕切り板、隔て板などと呼ばれ、プライバシーを守るために役立っています。
そのベランダの仕切り板が壊れたときに、どのようにしたら良いかこちらでご紹介します。
あわせて、ベランダの仕切り板の強度や、壊れてしまう状況、壊れてしまったときの対応などもお話ししますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
マンションの隣室との間にある仕切り…どのような役割をしている?
マンションやアパートに住んだことのある方は、ベランダをお隣と仕切る板を見たことがあるでしょう。
この板は、通常、仕切り板、隔て板、蹴破り戸、ベランダ隔て、隔板(かくはん)などと呼ばれます。
また、仕切り板の素材には、ケイカル板とフレキシブル板の2種類のものが使われています。
この2つの素材には、法廷不燃材料と呼ばれ、サイズが変質しにくいという特徴があります。
法廷不燃材料とは、建築基準法に基づいて認定されており、加熱を開始してから20分以降に燃え始める素材でできた材料をさします。
ちなみに、ほかの不燃材料には、石やコンクリート、アルミや石膏ボードがあげられます。
ケイカル板は軽量で、低層なアパートなどで使用されることが多く、強度は弱めです。
一方、フレキシブル板はセメント質原料を使用しているため、ケイカル板の2倍程度の重さですが、強度が高く、高層マンションなどで多く使用されています。
仕切り板はお隣との空間を分ける役割はもちろんですが、火災などの非常時に仕切り板を壊すことで、避難経路を確保するようになっています。
「非常の際はここを破って隣戸に避難してください」や「非常時に備えて、ここには物を置かないでください」などの記載が仕切り板にあるかと思います。
このような表示のある方向に避難すれば、避難器具のある場所にたどり着けます。
反対に、何も表示がない場合はその方向に行くことはできず、避難器具もないことを意味しており、隣人がそちらから避難してくることとなります。
非常時にベランダの仕切りは本当に破れるものなの?やり方は?
では、マンションやアパートのベランダに設置されている仕切り板ですが、はたしてどの位の力で破れるものなのでしょうか。
非常時に、避難経路の確保のため必要となった場合の壊し方をお話しします。
前項でお伝えした、非難するべき方向(仕切り板に表示がある方向)を確認したら、仕切り板を壊します。
壊す際には、道具を使ったり、手にタオルや布を巻いて叩いたり、固い靴をはいた状態で蹴ったりと、いくつか方法があります。
仕切り板は思っているよりも頑丈にできているものなので、強めの力で壊すようにしてください。
また、非常時にいち早く壊すためにも、同じ個所を一点集中して壊すようにします。
壊れてくると、壊れ口がギザギザに割れることが多いので、そのような尖った部分はさらに壊し、人が通れる大きさまで穴を開けましょう。
壊れるまでに時間がかかるかもしれませんが焦りは禁物です。
もしもマンションの仕切り板が壊れたらどうする?
普通に生活していても、マンションやアパートの仕切り板が壊れてしまうこともあるかもしれません。
壊れてしまう状況には以下のようなものが考えられます。
・台風や竜巻などの自然災害によって壊れた場合
・物がぶつかったり、子供が誤ってぶつかったりなどして壊れた場合
・ヒョウや雪の落下などで壊れた場合
このように、非常時以外で仕切り板が壊れてしまった場合には、まずは写真を撮って、破損の状況を記録に残しておくことが大切です。
特に、自然災害による破損であれば、住人の過失とならないことがほとんどなので、すぐに写真を撮っておくと良いでしょう。
ぶつかってしまったなどの、住人の過失である場合も、破損当時の状況を説明しやすくなります。
写真を撮ったら、その後はどの場合であっても、早急に管理会社や大家さん、マンションの管理組合などに連絡をします。
それから、破損した仕切り板の穴をふさいで応急処置しておきましょう。
その方法には段ボールやシート、薄い板などを利用して破損した箇所にあてるなどのやり方があります。
修理が完了するまでは、プライバシーや防犯の意味でも不安材料となるでしょうから、応急処置後もベランダへの出入り口の鍵だけはしっかりとかけるようにしてください。
ベランダの仕切り板の交換にかかる費用は?どの位で直る?
では、マンションやアパートなどでベランダの仕切り板を交換するとなると、どの位の費用と時間がかかるのか見ていきましょう。
大まかな目安としては、最低でも2万円から3万円程度の費用がかかるようです。
フレームが破損しておらず、板だけの交換ならもっと安くすむでしょう。
場合によっては、繁忙時期や見積もり料などの関係で価格に変動が生じ、4万円から5万円程度の請求がくることもあります。
また、賃貸物件ですと、管理会社や大家さんの方で手配してくれることが大半で、過失のない破損なら借主が費用を負担することはないでしょう。
しかし、持ち家のマンションの場合ですと、管理組合がやってくれるかもしれませんが、ご自分で手配することもあるかもしれません。
知り合いにたまたま職人さんがいれば安くすむこともあるかもしれませんが、リフォーム会社などの専門の業者に頼むと少し割高になる傾向があります。
しかし、その分しっかりと近隣への配慮などがきちんとしているので、安心といえます。
自然災害による破損の場合には、火災保険が適用されることがありますので、もし入居の際に保険へ加入しているなら一度書類を確認してみると良いでしょう。
また、交換にかかる時間ですが、仕切り板の交換自体の作業は1~2時間程度で終わると言われています。
しかしながら、自然災害による破損の場合などは、他にも同じように依頼者が殺到する場合もあるので、手配するまでに時間がかかり1か月ほど時間を要する、などということもあるようです。
もしも管理会社や大家さん、管理組合などに連絡をしてから、修理されず時間が空いてしまったときは、再度連絡をとるようにしてみると良いでしょう。
マンションの仕切り板が壊れたとき対応するのは自分?お隣?
では、実際にマンションやアパートで、ベランダの仕切り板が破損してしまった場合に、対応するべきなのは自分なのか該当するお隣なのか悩んでしまうかもしれませんね。
交換をする際には、居住空間を通ってベランダに出る必要があり、住人の協力がなければ交換不可能です。
また、この板を交換するためには、ベランダのどちらか一方からでないと交換ができません。
つまり、交換する際には、仕切り板を取り付けている、ビスの頭のある方向のベランダ側からでないと交換ができないというわけです。
もしも、ビスのない方向のベランダの住人から修理依頼があっても、交換にはお隣の立ち合いが必要となるので結果的にはお隣の協力が欠かせません。
そのため、破損したベランダの仕切り板にビスの頭がある側の住人が、仕切り板の交換の主体となると覚えておくと良いでしょう。
とはいえ、修理の主体が自分側である場合はともかく、お隣側が修理の主体であっても、今後のご近所づきあいのためにも任せきりにするのは賢明ではありません。
修理の際は、双方がコミュニケーションをとるようにすれば、今後の印象を良くすることができ、良好な隣人関係が保てるでしょう。
ベランダは共用部分!仕切り板の近くは物を置かないようにしよう!
もしかすると、マンションやアパートのベランダは、自分のプライベート空間という認識で、家具などを置く方もいるかもしれませんね。
しかし、ベランダは火災などの非常時には避難通路となることが消防法で決まっています。
そのため、極力マンションやアパートのベランダには、仕切り板の付近だけではなく、大きな家具や家電、冬用タイヤなどの私物を置くことはやめるようにしなければなりません。
特に賃貸物件にお住いの方は注意が必要でしょう。
場合によっては、上記のような理由だけでなく、景観を損なうという理由で管理会社から撤去するように求められることも少なくないようです。
私物はもちろん、ゴミなどを置いて近隣トラブルになるケースもありますので、日頃から注意をすることが大切です。
ベランダの仕切り板の意味をきちんと理解しよう!
マンションやアパートにあるベランダの仕切り板は、プライベート空間を作るだけではないことがわかりました。
仕切り板を取り払うことで非常時の避難経路となるため、日頃からベランダや仕切り板周辺にはものを置かないように心がけてください。
自然災害などによる仕切り板の破損には、ご自分が費用を出すことは少ないかと思いますが、修理を依頼する際にはまずは現状を写真で記録するなどして、わかりやすくすることが大事です。
そののち、早急にマンションの管理会社や大家さん、管理組合などに連絡を取るようにしてください。