住宅(共同住宅を除く)の階段は蹴上と踏面のバランスが重要

注文住宅で家づくりを始める方は、自由な設計に夢が膨らんでいることでしょう。

最近の住宅では、目を惹くおしゃれな階段をたくさん目にしますね。

しかし、階段の寸法は建築基準法で基準が定められているため、その規定に沿った設計をしなくてはなりません。

住宅(共同住宅を除く)の階段には、どのような決まりが定められているのでしょうか。

使い勝手が良いとされる階段の蹴上と踏面のバランスについてもご紹介します。

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階段の寸法は法律で決められている!

注文住宅では、自由な設計ができるのが大きな魅力のひとつですね。

しかし、階段にはさまざまな制約があることをご存知でしょうか。

普段何気なく利用している階段には、幅や高さ、角度、形状などさまざまなものがありますが、実は、建物の用途や面積によって階段の寸法は決められています。

階段の寸法には建築基準法施行令の規定があるので、法が定める基準を守らなくてはなりません。

そのため、設計者は定められている寸法を基準として階段を設計しています。

万が一、この規定に沿っていない階段を設計してしまうと、既存不適格建築物になる場合もあるので注意が必要です。

また、建築基準法施行令では、階段および踊り場の幅、蹴上、踏面、踊り場位置の4つについて基準を設定しています。

この記事では、住宅(共同住宅を除く)の階段には、どのような基準が定められているのかに焦点を当ててお話しをします。

その前に、まずは階段の寸法を理解する上での重要ワードを次項で解説します。

階段寸法のワード「踏板」「蹴込み板」「側桁」「蹴上」「踏面」

階段の寸法についてお話をする中で、普段の生活では聞きなれないワードが出てきます。

建築の専門用語でもありますので、まずはそのワードがどのようなものを指すのか解説します。

階段が構成されている、「踏板」「蹴込み板」「側桁」から見ていきましょう。

■踏板(ふみいた):階段をのぼるとき、足をのせる板を指します

■蹴込み板(けこみいた):踏板と踏板の間の垂直部分、つまり立ち上がり部分で引っ込んでいる部分を指します

■側桁(がわけた):階段の両側にある斜めの材を指し、踏板や蹴込み板を固定しています

このほか、「蹴上寸法」「踏面寸法」がどこを指す寸法であるかもあわせて理解しておきましょう。

■蹴上寸法(けあげすんぽう):階段1段分の高さを指します

■踏面寸法(ふみづらすんぽう):踏板の上面の有効な奥行きを指します

最低限これらのワードをおさえておけば、住宅(共同住宅を除く)の階段寸法についてスムーズに理解することができるでしょう。

法規制による住宅(共同住宅の共用階段を除く)の階段寸法とは?

それでは、住宅の階段寸法の基準はどのように定められているのか、さっそく見ていきましょう。

建築基準法によると、一般住宅(共同住宅の共用階段を除く)の階段寸法は下記のようになっています。

・階段と踊り場の幅:75cm以上
・蹴上:23cm以下
・踏面:15cm以上
・踊り場位置:高さ4m以内ごと

しかし、実際のところ上記のように定められた最低限の寸法で階段をつくると、実生活において使い勝手が悪いと感じることが多いようです。

例えば、ここに定められた蹴上23cmの高さは急に感じる人が多いはずです。

また、階段をのぼる際、足を踏面にしっかりのせて安全にのぼりおりするためには、もっと余裕のある奥行を確保した方が良さそうです。

このことからも分かるように、建築基準法で基準とされている階段の寸法は、安全性などの面からこれだけは守るべきという最低の寸法が定められたものです。

そのため、実際の使いやすさは別問題ということになります。

では、使い勝手が良い階段寸法とはどのようなものでしょうか。

住宅(共同住宅の共用階段を除く)の階段は「蹴上の2倍+踏面=60cm」がおすすめ

建築基準法で「住宅(共同住宅の共用階段を除く)」とあるように、「一般的な住宅」と「マンションなどの共同住宅で皆が利用する階段」とでは、目的が異なるため考え方が違います。

そのことを前提として、お話を進めていきます。

前項では、建築基準法の基準に沿うだけでは、使い勝手が良くないというお話をしました。

どんな寸法の階段が使いやすいかは個人の感覚によるところもありますが、多くの人が利用する公共施設などでは、緩やかな階段になるよう蹴上15cm、踏面30cmという設計がされていることが多いです。

これは、蹴上と踏面のバランスがポイントになっています。

「蹴上の2倍+踏面=60cm」

これは、日本人の標準的な歩幅60cmに合った計算式で、階段をのぼりおりしやすい寸法と言えます。

公共施設に多い緩やかな階段にあてはめても、「15cm×2+30cm=60cm」となっています。

また、踏面に関しては、一般的に20~30cmくらいあると安全だと言われていますが、それもクリアしていることになり、安全に歩けるよう配慮された階段と言えます。

住宅の階段においても、同じく60cmが上り下りしやすい階段の目安です。

例えば、蹴上19cm、踏面22cmにすると「19cm×2+22cm=60cm」です。

60cmよりも小さくなると小股でのぼりおりするイメージになり、窮屈な階段に感じられるかもしません。

逆に60cmを大きく超えると、大股でのぼりおりすることなることを覚えておきましょう。

蹴上と踏面のバランス以外にもある!使いやすい階段を見分けるポイント

ここでは、新築やリフォームで新たに階段を設置する場合に気を付けたいポイントについてお話しします。

前項でもお話ししたように、建築基準法施行令の基準に沿ったうえで蹴上と踏面のバランスを取ることが大切です。

そのほか、住む人の体格や歩幅を考慮した寸法でつくることも不可欠と言えます。

また、家は長く住むものなので、子供が成長したあとや住む人の年齢が高くなったときのことも考えておかなくてはなりません。

あまりに個性的な階段にしてしまうと、のちのち不便であったり、危険を感じることがあるかもしれません。

また、緩やかな階段は安全にも思えますが、一段あたりの踏面を広くして傾斜を緩やかにするため、蹴上が小さくなり同じ階高では段数が増えることになります。

階段の面積が広くなると、その分スペースを取ってしまったり、コストがかかることにも繋がるので、その点も注意が必要です。

また、共同住宅であるメゾネットタイプは、1階と2階をつなぐ室内に階段が設置されています。

次項では、メゾネットタイプの階段に焦点を当てたお話をします。

共同住宅のメゾネットタイプでは螺旋階段に注意

共同住宅でも人気のあるメゾネットタイプですが、マンションやアパートとは違い、室内に1階と2階をつなぐ階段が設置されています。

戸建てのような雰囲気を感じられるのが魅力的ですが、メゾネットタイプの階段でも気を付けたいポイントがあります。

それは、開放的なメゾネットタイプに設置されていることが多い「螺旋階段」です。

螺旋階段は、一般的な階段より省スペースに設置できることから、メゾネットタイプに取り入れられることが多いです。

階段周りの空間に広がりを持たせるので、おしゃれ空間に住みたいこだわり派の方に人気とも言えます。

しかし、実際にのぼりおりしてみると、階段が急であったり荷物を持ってのぼりおりすることにストレスを感じることがあるかもしれません。

そもそも動線が直接ではないため、大型の家具などは運べないこともあります。

また、踏板が三角形のため足の置き場が狭くなり、慣れるまでは踏み外しの不安感もあるかもしれません。

実際にのぼりおりをして、蹴上と踏面のバランスのほか、その使い勝手を確かめてみることが大切です。

建築基準法に沿ったうえで蹴上と踏面のバランスを!

階段の寸法は、建築基準法で基準が定められていることが分かりました。

しかし、安全を確保するうえでの最低の寸法であり基準法通りの設計では使い勝手が悪くなってしまう恐れがあります。

蹴上と踏面のバランスを考え、実際に住む人の歩幅や使い勝手を考えて設計することが大切です。

また、螺旋階段はおしゃれで目を惹きますが、デメリットもあるので実際にのぼりおりをして生活に不便がないか検討してみましょう。