入居前に押さえておこう!家賃の日割り計算や端数の処理方法

引っ越しをする際、「意外と初期費用が高くなってしまった…」という方もいらっしゃるでしょう。

初期費用の計算方法を理解しておけば、いくらくらいになるのか事前に見積もることができます。

今回は、初期費用に含まれる「日割り家賃」と、その端数処理についてご説明しましょう。

契約前に知っておきたい家賃の日割り計算と端数処理

初めに、「日割り家賃」についてご説明します。

日割り家賃とは、入居した最初の月の家賃のことです。

引っ越しの日取りは事情などによって人それぞれですが、月初ちょうどから新居に住み始めるという方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

多くの方は、月の途中から入居するかと思います。

そうすると、月の前半はその家にまだ住んでいないため、初月の家賃をひと月分払うと払いすぎになってしまいます。

そこで、入居した日からその月末までの日数に応じて家賃を計算するのです。

これが日割り家賃です。

初月を日割り家賃にするかどうかは、賃貸契約書に記載されています。

また、共益費や管理費も同じように日割りになります。

日割り家賃を計算するためには、計算方法と端数処理を知っておく必要があります。

では、次項にて日割りの計算方法や端数について見ていきましょう。

家賃の日割り計算方法は?端数とは?

家賃の日割り計算をするには、まず、1日あたりの家賃を計算しなくてはいけません。

1か月分の家賃を日数で割れば良いのですが、月によって1か月の日数は異なりますよね。

日数のカウント方法には、以下の2つがあります。

・1か月を30日とする
・実際の暦日数とする

暦日数とする場合は、実際の入居が5月であれば31日と数えます。

2月であれば28日です(うるう年を除く)。

このどちらのカウント方法を採用するかは大家さんによって決められており、賃貸契約書にも記載されます。

例えば、5月22日に家賃6万円のワンルームに引っ越したとしましょう。

月末の5月31日までは10日間あります。

1か月を30日とカウントする方法では、日割り計算は以下のようになります。

60,000円÷30日×10日=20,000円

一方、実際の暦日数とする場合は、以下の計算式になります。

60,000円÷31日×10日=19,354.8387...

きれいに割り切れず、小数点以下の数字が出てしまいました。

これが端数です。

この場合、端数をどう処理すれば良いのでしょうか。

日割り計算で端数が出たときの処理方法

家賃の日割り計算における端数処理については、いちいち賃貸契約書に記載されることはありません。

大家さんによって、四捨五入するのか、切り上げや切り捨てなのかが決定されます。

一律で切り捨てとしてくれる大家さんであれば、とても良心的と言えるでしょう。

この端数処理は、計算の最後に行うのではなく、1日あたりの家賃を算出する時点で行います。

前項の、5月22日に家賃6万円のワンルームに引っ越し、実際の暦日数でカウントするケースを例にご説明しましょう。

今回は端数を四捨五入するとします。

まず、1日あたりの家賃を求める計算の時点で、端数を処理します。

60,000円÷31日=1,935.48…≒1,935円

1,935円×10日=19,350円

すると、この場合の初月の日割り家賃は19,350円になることがわかります。

計算の最後で四捨五入をすると、

60,000円÷31日×10日=19,354.8387…≒19,355円

となり、計算結果が変わってしまうため、注意しましょう。

日割り家賃と間違えやすい「前家賃」

日割り家賃の計算方法や、端数処理についてご説明してきました。

ところで、賃貸契約の際に「前家賃」という言葉も耳にすると思います。

前家賃と日割り家賃、なんとなく似ているようにも感じますが、この二つは別物なのでしっかりと理解しておきましょう。

前家賃とは、入居した月の翌月分の家賃を前もって支払うことです。

不動産業界の慣習として、家賃はその前の月に支払うのが一般的です。

そのため、賃貸契約を結んだときは、入居月の家賃と合わせて翌月の家賃も支払う必要があるのです。

入居月の家賃が日割り家賃、翌月分の家賃が前家賃なので、間違えないようにしましょう。

このように日割り家賃と前家賃を合わせて支払うと、賃貸契約時に1か月分以上の家賃を支払わなくてはなりません。

また、鍵交換費用や保険の加入など、他にも様々な費用がかかります。

そうなると、初期費用がかなりの金額になってしまいますよね。

入居時の日割り家賃をできるだけ安く済ませることができれば、初期費用を抑えられます。

次項では、その方法について具体的にご紹介しましょう。

入居時の日割り家賃をできるだけ安く済ませるには?

入居時の日割り家賃をできるだけ安く済ませるには、例えば大家さんに端数処理を切り捨てにしてもらうようお願いしてみるという手段があります。

しかし、それによって節約できる金額はわずかです。

他にはどのような手段があるのでしょうか。

●2月に入居する

日割り家賃は入居日から月末までの日数で計算することは、お伝えした通りです。

1月20日に入居した場合、月末の31日までの日数は12日ですが、1か月遅く2月20日に入居した場合は、通常は月末が28日のため、9日になります。

すると、日割り家賃が3日分安くなるということになります。

引っ越しの日程に融通が利くのであれば、2月入居を考えてみると良いでしょう。

●フリーレントの物件を選ぶ

フリーレントとは、入居から一定期間、家賃が無料になる賃貸物件のことです。

例えば、その期間が1か月であれば、入居月の日割り家賃は必要ありません。

また、2か月無料のフリーレントであれば、前家賃も不要ということになります。

なぜこのようなフリーレントの物件があるのかというと、家賃を一定期間無料にすることで他の物件と差をつけ、借り手を見つけやすくするためです。

フリーレントの物件の多くは、「短期違約金」を設定しています。

これは、短期間で賃貸契約を解約すると違約金を支払わなくてはならないというものなので、注意しましょう。

退去時は日割り家賃が返還されるケースも!

ここまで、入居時の日割り家賃の計算や端数処理についてご説明してきましたが、退去時にも家賃を日割り計算するケースもあります。

例えば、4月20日に退去するとします。

4月分の家賃は通常3月中に支払っており、このとき1か月の家賃を支払っています。

すると、4月21日~30日の分は払い過ぎになってしまいます。

そのため、前払いした1か月分の家賃から、4月1日~20日までの日割り家賃を引いた金額が返金されます。

賃貸契約書での取り決め次第では、日割り計算ではなく、半月割りや月割りとなっているケースもあります。

半月割の場合は、4月15日までに退去した場合は4月1日~15日までの家賃で済みますが、4月16日以降に退去すると丸々1か月分の家賃がかかります。

月割りの場合は、何日に退去したとしてもその月の家賃を1か月分支払わなくてはならないので、返金されません。

どのような契約内容になっているか、退去前に賃貸契約書をよく確認しておきましょう。

日割り家賃を計算して入退居時の費用を正しく見積もろう

今回は、初期費用に含まれる日割り家賃と、その端数処理についてご説明しました。

家賃の日割り計算をする際の、日数のカウント方法や端数処理の方法については、大家さんによって決められます。

そのため、正確な金額を出すためには前もってそのあたりの取り決めを確認しておく必要があります。

もし事前に確認できない場合は、「1か月を30日でカウントする場合」や「暦日数でカウントする場合」などそれぞれのパターンを試算しておくと良いでしょう。