貸主から敷金の返還で領収書の発行を要求された場合の対処法

賃貸を退去する際、部屋の状態が良ければ、普通なら敷金が返還されることになります。

しかし、敷金を返還された際、貸主から領収書を発行してほしいと言われることがあるようです。

このような場合、領収書は発行するべきなのでしょうか?

敷金の意味合いも考えながら、敷金の返還における領収書の発行について考えていきます。

敷金ってどういうもの?支払った場合に領収書はもらえるの?

敷金の返還で貸主から「領収書を発行してほしい」と言われて、戸惑う借主は多いようです。

貸主としては、きちんと敷金を返還したという証明のために、領収書の発行を求めているものと思われます。

賃貸において敷金トラブルはよく発生していますので、それを未然に防ぎたい思いもあるのかもしれません。

ここでは、敷金がどういうものかをご説明し、借主が敷金を支払った際の領収書はもらえるのか確認していきましょう。

敷金は、契約時に家賃と一緒に支払うものですよね。

退去の際の原状回復のために、あらかじめ支払うことになっています。

家賃は戻ってこないのに対して、敷金は退去の際に返還される可能性があります。

例えば借主は、貸主に家賃の領収書を請求できても、敷金は一時預かり金という形となりますので、領収書の請求は基本的にはしないことが一般的です。

もし、借主がどうしても敷金の領収書が必要なのであれば、貸主には「預かり証」のようなものを発行して対応してもらうことになるでしょう。

貸主から敷金返還の領収書を要求された!発行するべき?

契約時に敷金を支払った際、領収書のようなものを受け取る借主はあまりいないでしょう。

元々敷金は預り金でありますので、領収書の発行は基本的にされないことが多いのです。

それでは、領収書をもらっていない敷金の返還で、貸主から領収書を請求されてしまった場合、どう対応すればいいのでしょうか。

敷金は、基本的に領収書が必要となるような債権ではありませんので、返還されたからといって領収書を発行しなければならないわけではありません。

また、一般的に領収書を持っている個人の借主はあまりいないかもしれません。

そうなると、領収書をわざわざ用意しなければならなくなります。

そういったことを避けるためには、まずは領収書を発行しなくても済む方向で考えてみましょう。

領収書を発行せずに済むかもしれないのは、敷金の返還が銀行振り込みでされた場合です。

貸主が銀行振り込みで敷金の返還をした場合は、振り込み時に振り込み明細書を受け取っているはずです。

それを領収書とすることはできないかどうか、まずは確認してみましょう。

貸主に敷金返還の領収書を発行することに!書き方は?

貸主に敷金返還の領収書を要求されて、発行することになったとします。

領収書にはどのような文面で書けばいいのか分からない借主のために、こちらでは領収書の書き方をご紹介します。

【敷金返還の領収書の例文】

・最初に、貸主の会社名や氏名を記入します。

・本文「私、(借主の氏名)は入居時に(貸主の氏名)に預けました敷金〇〇万円のうち、原状回復費用を除いた〇〇円を退去後に返還され、受け取りました。」

・最後に、日付、住所、借主の氏名、印鑑

といった内容の文面で、領収書を作ればいいかと思います。

もしかすると貸主側で文面の指定などあるかもしれませんので、自分で作成する前に確認してみましょう。

なお、この領収書には印紙が必要になります。

もし領収金額が、5万円未満であれば印紙を貼る必要はありません。

しかし、5万円を超える場合は、200円の印紙を貼らなければなりません。

印紙を貼らないことは印紙代を支払わないことになり、罰則が科せられる場合がありますので注意しましょう。

また、印紙には割印をすることを忘れないでください。

もし敷金返還の領収書に印紙を貼らなかったら?

前項では、敷金返還の領収書に印紙を貼らなかった場合、罰則があるというお話をしました。

ここでは、印紙を張らなかった場合の罰則はどういうものなのかご説明していきます。

敷金返還の領収書に印紙を貼る必要があるのは、領収金額が5万円以上の場合です。

もし返還される敷金が5万円に満たない場合には、印紙を貼る必要はありません。

印紙を貼らなかった場合の罰則は、支払うべき印紙代の3倍の金額を過怠税として支払わなければなりません。

なお、印紙を貼らなかったことを自ら申告した場合は、1.1倍の過怠税が課せられます。

また、印紙が必要なことを知っていながらわざと貼らなかったような場合、懲役1年以下、または罰金20万円以下を受けることになります。

領収書の発行には、いかに印紙が重要かが分かりますよね。

5万円以上の領収書には、200円の印紙税がかかることを覚えておきましょう。

貸主から敷金の預かり証をもらっている場合!敷金返還時の注意点

賃貸において、敷金の領収書ではなく、預かり証をもらっているような借主もいらっしゃるかもしれません。

その場合、その預かり証は退去の際、どうすればいいのでしょうか。

貸主は敷金を預かっている証拠として、預かり証を発行する場合があります。

その預かり証は、敷金が返還されたら基本的に退去の際に貸主へ返却したほうがいいでしょう。

なぜなら、それは借主にとっては敷金を返還してもらっていないという証明書になるからです。

もし、預かり証の返還なしに敷金を貸主が返還した場合、敷金を返還したにもかかわらず、預かり証はまだ借主が持っていることになります。

なかには、預かり証を悪用するような借主も存在するかもしれませんので、預かり証をいつまでも借主が持っていることに不安を感じる貸主もいることでしょう。

自分は悪用しないと確かに思っていても、貸主としてはたくさんの借主と接してきているでしょうから、さまざまなトラブルも経験しているはずです。

貸主にあらぬ疑いがかけられぬよう、敷金の返還があった際には預かり証を返却するようにしましょう。

敷金を支払ったのに敷金の返還がされない場合の対処法

敷金トラブルのなかで、借主が入居時に確かに敷金を支払ったのに、退去の際に貸主から敷金の返還がされないような場合があるようです。

特に原状回復の箇所もなくクリーニング代だけであれば、かなりの敷金が返還されるはずです。

返還されるべき敷金が戻ってこないとなると、借主としても困ってしまうところでしょう。

このような場合、どう対処すればいいのでしょうか。

まずは、賃貸借契約書を確認してみましょう。

契約の条件として敷金の支払いが明記されていれば、敷金は必ず払われているはずです。

その点を貸主側に指摘してみましょう。

次に、借主が敷金を銀行振り込みで支払った場合、振り込み明細書を受け取ったと思いますが、そちらがあれば支払いの証明になります。

他には、前項でもお話しした預かり証を受け取っている場合、その預かり証を提示することでも支払いを証明することができます。

預かり証は、家賃のような領収書ではありませんが、支払いの証明に使うことはできるでしょう。

銀行の通帳記入によって、支払いが証明できることもあります。

これらの方法を試して、貸主に交渉してみてください。

敷金返還の領収書!発行するなら文面や印紙に注意

貸主から敷金返還の領収書を要求された場合、貸主が銀行振り込みで敷金を返還したのであれば、その振り込み明細書で代用できないか確認してみてください。

もし領収書を発行するのであれば、文面はご紹介したような内容を最低限記載することが必要でしょう。

貸主側で指定がある場合もありますので、その場合はそれに従ってください。

なお、5万円以上の敷金の返還の領収書には印紙が必要ですので、忘れずに貼りましょう。