敷金が返金されない!こんなときはいつまで待てば良いの?

アパートを退去してしばらく経つのにいつまでも敷金の返金がされなくて困った、という経験がある人は意外と多いのではないでしょうか。

実は敷金の返金トラブルは昔からたくさんあります。

賃借人が不当に高額な原状回復費用を請求されたり、長期にわたって敷金が返金されなかったりなどという内容です。

今回は、敷金の返金と原状回復費用をめぐる時代の変遷と、敷金の返金がされない場合の対処の仕方を、詳しくご紹介します。

そもそも敷金とはどんな役割なのか?

敷金とは、賃借人が賃料を滞納した場合の補填や退去時の原状回復の費用に充てる預かり金です。

入居前に賃借人が賃貸人に預け入れます。

滞納を補填するためのものといっても、いつでも自由に補填できるわけではありません。

例えば「今月家計が苦しくて、ちょっと敷金から家賃の充填をお願いします」と賃借人からお願いするようなことはできません。

敷金で補填するのは、どうしても支払いができなかった時の最終手段です。

一般的には、賃借人の滞納が長引いて賃貸人より退去勧告をした際に、退去時の精算として敷金を返金しない手続きを行うケースが多いですね。

敷金のもう一方の役割である原状回復費用に充てるというものついてですが、これは退去時に賃借人が支払う原状回復の費用を敷金から差し引いて賃借人に返金するというものです。

しかし、この敷金から差し引いて支払う原状回復の費用をめぐって、賃借人が不当に高額な原状回復費用の請求をされたり、賃貸人がいつまでも敷金を返金しなかったりなど、賃貸人と賃借人との間でトラブルの元になることが非常に多かったのです。

以前は敷金が返金されないのが当たり前の時代だった!

2000年になる前後くらいまでは、不動産業界において敷金は返金されないのが当たり前の時代でした。

その頃は敷金の金額も大きく、通常は賃料の2か月分、場合によっては3ヶ月分という賃貸借契約がほとんどでした。

賃借人は、退去する場合に賃貸人から原状回復についての費用負担を求められ、敷金で足りなければ追加して支払うことも珍しくありませんでした。

その当時は「原状回復とは入居する前の状態に戻すこと」というのが賃貸人の共通した認識でした。

そのため、例えば壁クロスが一部日に焼けて変色したような場合でも、部屋全体の壁クロスの張替え費用を全額賃借人が負担していたのです。

賃貸人は敷金は返す必要がないと考えている人が多く、原状回復費用にはほとんどかからなかったのに敷金がいつまでも返ってこないといったトラブルもありました。

当時は敷金だけでなく礼金も2か月分を支払うような賃貸借契約がほとんどだったため、賃借人の負担は非常に大きかったのです。

しかし、1998年に国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が公表され、原状回復とは経年劣化による住宅の損耗については賃貸人負担であるという方向性が示されたのです。

法改正で敷金の役割が明確にされた!

国土交通省のガイドラインが発表されてから22年後、2020年4月施行予定の法改正で、ガイドラインの指針が法律として明文化されることになりました。

改正民法622条の2によると、敷金はあくまでも賃借人の債務不履行があったときに弁済するためのものであり、何もなければ全額返すものです。

また敷金はいつまでに返金するかについては、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」(改正民法622条)と規定しています。

賃借人が部屋を明け渡しているのに、不当に長期にわたって敷金をいつまでも返金しないということは民法の規定に反することになります。

また、全体的な流れとしては、賃借人が退去したあと敷金は全額返ってくるのが当たり前という方向になっていることは間違いないでしょう。

こうして敷金の役割が明確にされていながらも、一方で原状回復費用の負担についてはまだ当事者同士の解決にゆだねられたままです。

敷金をいつまでに返金すべきなのか契約書を確認!

敷金の返金については、賃貸借契約書に明示してある場合とそうでない場合があります。

「明け渡しから60日以内に敷金を返金する」などと明示してある場合や、「明け渡し後速やかに敷金を返金する」などと期間がかかれていない場合もあります。

では、期限がかかれていない場合にはいったいいつまでに返金すべきなのでしょうか?

契約書に「遅滞なく」「速やかに」「直ちに」と書かれている場合、それらは全て具体的な期間を示していませんが、それぞれの言葉の持つ意味は異なります。

最も短い期間が求められるのが「直ちに」であり、なにより優先的に行うことを表しています。

また「遅滞なく」とは正当な理由による遅滞は許容されるものと解されています。

「速やかに」というのはその中間になります。

いずれにしても「正当な理由がなければすぐに返金する」というのが正解です。

敷金がいつまでも返金されない理由はどんなものがある?

敷金がいつまでも返金されないような場合、その理由として考えられることはいくつかあります。

ひとつは、賃貸人側が原状回復の費用負担について納得していない場合です。

もうひとつは、原状回復の費用負担については納得しているものの、賃貸人が返済する敷金を持っていない場合です。

前者の場合は、原状回復の費用負担について折り合いがついていないため、賃貸人との話し合いをする必要があるでしょう。

できれば管理会社や仲介会社に間に入ってもらうと解決が早いです。

後者の場合ですが、賃貸人が返済する敷金を持っていない場合というのは、賃貸人が預かり金である敷金を使ってしまっているようなケースです。

お金の管理がずさんだったり、賃貸経営が赤字だったりするような場合、賃貸人が敷金を使ってしまうというのはまれにあるようです。

また、賃貸人が敷金を管理会社である不動産会社に預けて、その不動産会社が返金をしなかったり倒産してしまっていたりするようなケースもあります。

敷金がいつまでも返金されなければ少額訴訟を!

延滞した賃料などなく原状回復の費用についても話がついているのに、理由もなく敷金がいつまでも返金されないという場合は、少額訴訟を起こすことも方法の一つです。

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払い請求を目的とする手続きのことです。

訴訟というと時間や費用がかかるのでは、としり込みする人が多いですが、少額訴訟というのは申し立て費用が安く即日判決がでるため時間もかからないためそれほど難しくはありません。

少額訴訟にかかる費用は、申請書に貼付する収入印紙代と、訴状を郵送するための切手代のみで、合わせても一万円程度くらいしかかかりません。

少額訴訟を起こすには、簡易裁判所の窓口で訴状用紙を受け取り、記載して提出します。

口頭弁論日が決定され、口頭弁論日当日に判決が言い渡されます。

もし、訴状の内容が裁判所で認められても、賃貸人が敷金の返金をしない場合は、賃借人は賃貸人を差し押さえるために強制執行を申し立てることが可能になります。

敷金の返金についてはしっかり主張をして大丈夫

アパートを退去してしばらく経つのにいつまでも敷金の返金がされないなどの、敷金の返金トラブルについて解説しました。

敷金についての取り扱いは時代によって変遷があり、年々賃借人にとって不利でなくなるよう変わってきていますね。

もしいつまでも敷金が返金されない状況が続くようであれば、少額訴訟を検討してもよさそうです。