土地と土地の間には境界線が定められています。
もし、この境界線上にブロック塀の設置を検討しているのであれば、事前の調査や確認がとても大切です。
なぜなら、境界線に建てられたブロック塀を巡って、隣人同士の大きなトラブルに発展することがよく見られるためです。
そこで今回は、境界線にブロック塀をつくるときに守らなければならないこと、そして知っておいてほしいことをご紹介していきます。
境界線にまつわるルール!建物の距離
日本という狭い場所でたくさんの人が暮らしている以上、隣人トラブルというのは避けられないことの一つです。
なかでも、境界線を巡ったトラブルはよく見られるケースです。
境界線の位置によっては、不動産の価値にも影響が出てきますし、話し合いのすえ感情が高ぶりお互いに引くに引けない事態に陥ってしまうようなことが多いのです。
この境界線ですが、一定のルールが決められています。
まず、建物についてのルールです。
境界線付近に建物を建てる場合は、隣地との境界線から50センチ以上距離を離さなければなりません。
これは民法によっても定められています。
ただし、地域の慣習や用途によっては、一部例外が認められている場合があります。
地域の慣習とは、その土地に住む多くの人が、50センチに満たない距離で建物を建てている場合などが当てはまります。
たとえば、東京の一部の地域のように一つ一つの土地が狭く、建物が密集しているような場所のことです。
とはいえ、「この土地に地域の慣習が当てはめられる」という明確な決まりがあるわけではないので、絶対のルールということではありません。
次に地域の用途ですが、これはその土地が防火地域か準防火地域に指定されているかということになります。
ただこの場合も、建物にしっかりとした耐火構造がなされているかが問題になりますので、その点はしっかりと検査することになるでしょう。
境界線にまつわるルールは建物との距離だけではありません。
この記事の焦点ともなる、ブロック塀による目隠しについても、境界線のルールが決められています。
境界線のルールを守ろう!目隠しの設置
境界線には、一定の基準のもと目隠しの設置が義務付けられています。
その基準は、建物の窓や縁側と呼ばれる部分が隣地に面していて、その距離が境界線から1メートル以内である場合です。
もし、この基準が当てはまるのであれば、プライバシー保護の観点から目隠しを設置しなくてはなりません。
お互いのプライバシーが筒抜けだと、隣人間のトラブルにも発展しやすいので注意が必要です。
ただ、この場合も一部例外があります。
それは、窓から外が見通せない場合です。
窓がくもりガラスであれば、隣の家のプライバシーを侵害することはありません。
そのため、このような場合に限り、目隠しをつける必要はなくなるでしょう。
もちろん、建物と境界線との距離が1メートルを超える場合は目隠しの設置は義務ではありません。
さて、境界線には一定のルールのもと目隠しが必要だというお話をしましたが、よく選ばれる目隠しとしてブロック塀が挙げられます。
次の項からは、ブロック塀の特徴についてお話ししていきましょう。
境界線にはブロック塀を建てよう!そのメリットとは?
境界線に建てられる目隠しとして、ブロック塀が選ばれることがよくあります。
このブロック塀には、どのような特徴があるのでしょうか。
まず、メリットからお話しします。
●プライバシー保護
先ほどもお話ししましたが、境界線においてプライバシー保護というのは重要なポイントとなります。
その境界線に物理的な目隠しとなるブロック塀を設置すれば、プライバシーを侵害される心配が少なくなります。
これは、隣人トラブルを避けることにも繋がるでしょう。
●高い耐久性
ブロック塀の一般的な耐用年数は約30年と言われています。
この高い耐久性は、設置後のメンテナンスの頻度を減らすことができます。
●防犯対策
高さのあるブロック塀は、敷地内への侵入を難しくさせます。
そのため、空き巣犯などへの防犯対策としてブロック塀が役立つでしょう。
隣人トラブルの原因になるかも!?ブロック塀のデメリットとは?
前章の、境界にブロック塀を設置することのメリットに続いて、デメリットについてもお話ししていきます。
ブロック塀が抱えるデメリットを知ることで、今後想定されるトラブルも減らすことができるはずです。
●採光性や通気性の低下
ブロック塀を設置することで、日の光が入りにくくなり、風通しも悪くなってしまいます。
採光性と通気性の2点を守るためには、穴が開いた仕様のブロック塀にするなどの工夫が必要です。
●圧迫感がある
背の高いブロック塀を広い範囲で設置することで、見た目から圧迫感を受けやすいです。
この場合も、ブロック塀に等間隔で穴を開けるなどの工夫で、多少は緩和できるでしょう。
●倒壊の危険性がある
耐久性の高いブロック塀ですが、地震などの自然災害が原因で倒壊してしまう危険性があります。
もし、ブロック塀の倒壊に人が巻き込まれるようなことがあれば、その被害は計り知れません。
このような事態を避けるためにも、しっかりとした施工方法で、定期的なメンテナンスを行う必要があるでしょう。
トラブルを避けるために!ブロック塀が単独所有の場合
境界線に建てられることが多いブロック塀ですが、所有者を巡りトラブルが起きるケースもあるようです。
ブロック塀の所有者は、単独所有と共同所有の2つに分けられます。
まず単独所有ですが、これは境界線をまたがずに敷地のどちらか一方にブロック塀が収まっている状態を指します。
この場合、ブロック塀の設置費用やメンテンナンス費用、またブロック塀の倒壊により何らかの被害があったときも単独所有者の責任となります。
このことから、ブロック塀のデザインは自由に決められ、その後の管理も自分の裁量で判断することができると言えます。
とはいえ、あまりにも奇抜なデザインのブロック塀にするのは避けたほうが無難です。
たとえ自分の敷地内のブロック塀だとしても、隣の敷地の住民も目にすることは多いはずです。
これから先もお隣同士仲良く暮らしてくためにも、ブロック塀の設置計画は事前に知らせておいた方が、大きなトラブルを回避できるはずです。
ブロック塀を共同所有する場合はトラブルに注意!
共同所有は、境界線上に沿ってブロック塀を設置することで、2つの敷地が同等に使われている状態です。
ブロック塀の設置やメンテナンス、管理責任なども共同となり、それに伴う費用なども共同でまかなうことになります。
隣人トラブルに発展しやすいのが、ブロック塀を共同で所有する場合です。
ブロック塀の仕様や材質、それに伴う費用など、お互いの話し合いの中で妥協点を模索していかなければなりません。
ときには、自分の希望が受け入れてもらえないこともあるでしょう。
しかし、無理を言って隣人同士の大きなトラブルに発展するのは避けたいものです。
もし、どうしても譲れないことがあるのなら、ブロック塀を単独で所有することを考えてみるのもいいのかもしれません。
ただしその場合は、ブロック塀に関して自由に決められる代わりに、その責任はすべて自分で負わなければならないことは覚悟しておきましょう。
ブロック塀がトラブルのもとにならないために!
境界線にブロック塀を建てることで、隣人間のプライバシーが守られます。
しかし、景観に大きな影響を与えることになるので、ブロック塀の建設計画は前もって共有しておきましょう。
ブロック塀は所有者を明らかにすることで、建設時、またその後の対応も変わってきます。
隣に暮らしていく人たち同士、お互いが気持ちの良い関係でいられるような対処を目指しましょう。