賃貸物件に住む際には、部屋の設備や周辺の環境だけではなく、特に気をつけたいことがあります。
それは、建物内で騒音が聞こえないかどうかということです。
鉄骨造などの鉄骨系のマンションであれば、騒音は聞こえないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、物件によっては、鉄骨系であっても音が聞こえる場合もあります。
ここでは、騒音問題で悩まされないための物件選びのポイントや、騒音問題への対処方法をご紹介していきます。
鉄骨造のマンション以外も含めて知っておこう!建物の構造
一般的な賃貸物件では、アパートやマンションのような集合住宅が多く見られます。
騒音問題についてお話しする前に、それらの構造についても知っておきましょう。
集合住宅の建物の構造には、おもに次のような種類があります。
●木造
おもな構造部分に木材を使用して造られた建物です。
他の構造よりも比較的建築費用が安く済むこともあり、木造アパートの家賃は一般的に低めに設定されていることが多くなっています。
通気性や断熱性などが高いというメリットがありますが、気密性が低いことにより、生活音がもれやすいので、騒音問題が起こりやすいというデメリットもあるとされています。
●軽量鉄骨造
使用している鋼材の厚さが6mm以下の場合は、軽量鉄骨造と呼ばれています。
軽量鉄骨造の特徴として、前もってメーカーの工場で製造された部材を現場で組み立てる仕組みということが挙げられます。
そのため、他の構造よりもコストも安く、短期間で完成するというメリットがあります。
●鉄骨造
骨組みとして鉄骨を使用している構造で、S造(STEEL)や重量鉄骨造とも呼ばれています。
柱と梁で支えるという工法で、耐久性や自由な設計ができやすいという点がメリットとされています。
●鉄筋コンクリート造
RC造とも呼ばれ、鉄筋とコンクリートを併せた構造なので、耐震性・耐火性・遮音性に優れていると言われています。
●鉄骨鉄筋コンクリート造
SRC造と言われ、その名の通り、S造とRC造のメリットを兼ね備えているため、RC造よりもさらに優れた構造となっています。
そのため、建築コストもかかっていることから、必然的に賃料などは高めの設定となるでしょう。
鉄骨造のマンションでも騒音問題がないわけではない?!
前章のなかで、木造の構造では気密性が低いために騒音が聞こえやすいことがデメリットというお話をしました。
では、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のマンションであれば、騒音がまったく聞こえないかと言うと、そうではない場合もあります。
軽量鉄骨造よりは比較的頑丈な仕組みになっているため、遮音性はありますが、その建物の壁や床の厚さにより、隣りの部屋の生活音・外からの騒音が聞こえることもあります。
鉄骨系の構造で、なるべく騒音が聞こえるのを避けたい場合は、しっかりと遮音材が使用されている鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションなどの物件を選ぶことをおすすめします。
また、次章からは、鉄骨造などの建物の構造以外で、騒音問題を避けるための物件選びのポイントをご紹介していきましょう。
騒音で悩まされたくない方は、ぜひ、そのポイントを押さえておきましょう。
騒音に悩まされたくない!良い物件選びのポイント
先ほど、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のマンションであっても、まったく騒音が聞こえないわけではないというお話をしました。
しかし、これから生活をしていく部屋を選ぶのであれば、できるかぎり騒音問題のない物件を選びたいものでしょう。
そこで、なるべく騒音問題の起こりにくい物件を選ぶためのポイントをご紹介します。
●床・壁などの厚さ
たとえ鉄骨系造のマンションだとしても、床や壁が薄いことにより、生活音が隣りや下の階の部屋へ聞こえてしまうということもあります。
遮音性のある理想的な壁の厚さは、20mm以上とされています。
●部屋の階や位置
できるだけ騒音問題を避けたいという方におすすめなのは、その建物の最上階や角部屋の物件を選ぶことです。
最上階であれば、鉄骨系のマンションでも聞こえがちな上の階からの足音で悩まされることはなく、角部屋であれば、隣りが左右どちらかの一部屋だけなので、聞こえてくる生活音の量が違ってくるでしょう。
他にも調査を!騒音問題に遭いにくい物件探し
鉄骨造などのマンションでも騒音に悩まされないような物件を探すためには、次のようなことについても前もって調べておくと良いでしょう。
●そのマンションや近隣にどのような人が暮らしているか
静かな環境で生活を送りたいとしたら、その建物がある地域に、どのような人たちが暮らしている傾向があるかということについても把握しておくと良いでしょう。
近くに大学のある地域は、その建物にも学生が住んでいる可能性もあり、深夜まで仲間と騒いでいるなどして、外からもにぎやかな声が聞こえることが多いかもしれません。
また、小さな子どものいるファミリー層が多い場合には、上の階に走りまわる子どもがいないかどうかも確認しておくと良いでしょう。
鉄骨造のマンションであっても、足音というのは響きやすいので、子どもであっても、走りまわることにより、下の階の部屋に騒音が響きわたるという場合があります。
●過去の騒音問題について不動産会社に直接聞く
物件を決める前に、その部屋や建物で、過去に騒音トラブルが起きていないかということについて、不動産会社に聞いてみるということも手段の一つです。
その部屋が長期間空き部屋になっていたり、空き部屋が多かったりする場合は、特に気をつけましょう。
自分が騒音元になる可能性も!?賃貸物件で気をつけたいこと
これまで、騒音に悩まされないための物件選びのポイントをご紹介してきました。
しかし、鉄骨造のマンションをはじめ、様々な賃貸物件に住んでいる場合には、自分が騒音元となる可能性もあることを知っておきましょう。
騒音になり得るとされる音というのは、おもに次のような音です。
●テレビや音楽の音
テレビを設置する場所というのは、一般的に隣りの部屋に隣接している壁側になることが多いでしょう。
その場所に置いたうえで、大きな音量にしてテレビや映画を観ていたら、隣りの部屋や上下階の部屋にも音が聞こえてしまう可能性は高くなります。
特に、夜の遅い時間帯には気をつける必要があります。
小さな子どもがいたり、朝早く起きて出勤したりする人など、それぞれ生活スタイルの違う人々が暮らしている集合住宅です。
テレビや音楽の音には十分に配慮することを心がけましょう。
●ドアの開閉の音
物件により、ドアの材質は違っています。
どのような材質にしても、ドアを強く開け閉めすることにより、音が近隣の部屋に響くことはよくあることです。
時間帯に関わらず、ドアを勢いよく開閉することは避けましょう。
●洗濯機や掃除機の音
先述したように、集合住宅に暮らす人の生活スタイルは様々です。
早朝や深夜の時間帯に、大きな音が出る洗濯機や掃除機を使用することは騒音トラブルに発展しかねません。
極端な時間に使用しないように気をつけることが必要です。
鉄骨造のマンションでも騒音問題が!対処方法とは
一見、遮音性の高そうな鉄骨造などのマンションであっても、隣りの部屋などからの音が聞こえてくる場合もあります。
音が聞こえてくるということは、自分の部屋からも音が聞こえていることにもなるでしょう。
お互いに防音をするためにも、音の発生元について気をつけることが必要ですが、音を完全に消すことは難しいことです。
そこで、できるだけ音を防ぐための対処方法には、以下のようなことがあります。
●本棚やタンスなどの比較的大きな家具を壁際に置く
音のしやすい部屋が隣接している場合には、本棚や衣装ダンスなどを壁側に置くことにより、直接響きやすい音を抑える効果が期待できます。
●防音性のあるカーペットを敷く
足音が下の階や隣りの部屋に響きにくくするために、カーペットを床に敷くという方法もあります。
たとえ鉄骨造などであっても、足音というのは響きやすいものです。
住み始める際に、早めにカーペットを敷いておくと良いでしょう。
●騒音で悩まされた場合
万が一、他の部屋からの騒音がひどく、困る場合には、まずは管理会社へ相談をしましょう。
くれぐれも、音のする部屋へ直接クレームを言いに行くことはトラブルの元ともなり得ますので、避けましょう。
物件選びと防音のポイントを押さえて快適な生活を!
できるだけ騒音で悩まされないための物件選びのポイントはおわかりいただけたでしょうか。
たとえ条件の良い物件であっても、集合住宅となっている賃貸物件に住む場合には、騒音で不快な思いをしないように、お互いに配慮をすることが大切です。
ここでご紹介したようなポイントを心がけながら、快適な生活を送りましょう。