最近では、エアコンは住宅設備の中でも、標準設備のひとつとして考えられるようになってきました。
日本の厳しい夏は、エアコンなしでは乗り切るのが難しいですよね。
しかし、賃貸アパートなどでは、エアコンが付いていない部屋もあります。
そのような場合、自分でエアコンを取り付けても良いのでしょうか。
アパートにエアコンがなかったら
日本は四季がある国ですから、1年の中で寒暖の差が大きいですよね。
特に夏は、湿度が高いため、エアコンなしでは眠れない夜もあります。
近年では、エアコンは、住宅設備において標準装備として扱われるようになっています。
それは、アパートにおいても同じことが言えます。
アパートでも、もともとエアコンが備え付けられている物件が多くなりました。
しかし、中には、エアコンが付いていない、というアパートも存在します。
もしくは、設置されていたエアコンが壊れてしまった、ということもあります。
そのようなとき、アパートの部屋にエアコンを取り付けたいと思う人もいるかと思います。
しかし、エアコンの取り付けには工事が伴います。
そして、壁に穴を開けることにもなります。
賃貸アパートにおいて、エアコンの取り付けは可能なのでしょうか。
エアコンの取り付けは工事が必要
エアコンの取り付け工事についての取り決めは、物件ごとに大きく異なっています。
そのため、エアコンの取り付けを行う前に、契約内容をしっかりと確認することが必要となります。
このとき、大家さん・管理会社としっかり話し合っておかないと、後の思わぬトラブルが起きる可能性もあるのです。
賃貸アパートは、入居者が所有しているわけではありません。
所有者である大家さん・管理している管理会社に、許可を得る必要があります。
エアコンの取り付け工事では、室内機を固定するため、壁にネジ穴を開ける必要があります。
また、エアコン用の配管穴が開いていない部屋の場合は、アパートの壁に、外まで貫通する穴を開ける必要があります。
この穴は、直径が5~10cm程度になりますので、小さな穴ではありません。
このような壁に、穴を開けるような工事は、通常禁止されています。
取り付け工事が終わった後に、トラブルになるのを防ぐために、事前に大家さん・管理会社に話を通しておきましょう。
配管穴がない部屋の場合は、配管穴の場所も確認する必要があります。
エアコンを取り付けた後の修繕
エアコンの取り付けについて、大家さん・管理会社に許可を得る際に、確認しておくことがもうひとつあります。
退去時のことです。
エアコンの取り付けは、壁にネジ穴を開けたり、配管穴を開けたり、アパートの壁にキズを付けることになります。
このキズについて、退去時に修繕費用が掛かる場合があります。
賃貸アパートですから、入居者は退去時に原状回復しなければなりません。
原状回復は、国土交通省によって、その負担が定められています。
入居者は、故意・過失・善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること、とされています。
しかし、通常の使用を超えるような使用、というあいまいな表現では、解釈が幅広いです。
そのため、解釈は、人それぞれになってしまいます。
この解釈が、入居者、大家さん・管理会社で、大きく異なることがあるのです。
エアコンの取り付けは許可するが、退去時に原状回復すること、と言われたら、配管穴を塞ぐ工事まで行わなければならないかもしれないのです。
思わぬ原状回復費用を請求されないために、エアコンの取り付け工事の許可を取ると同時に、退去時の修繕についても、きちんと確認しておくことをおすすめします。
アパートのエアコンに関する費用負担
賃貸アパートの部屋にエアコンを取り付ける場合、その費用は誰が負担するべきなのでしょう。
入居者が払うべきなのでしょうか。
それとも、大家さんが払うべきなのでしょうか。
この負担者が誰になるのか、これも確認が必要になります。
入居者の希望でエアコンを設置するのだから、入居者が払うものと、思っている人もいるかと思います。
しかし実は、大家さん・管理会社に負担してもらえることもあるのです。
賃貸借契約書の中に、以下2点が記載されている場合は、大家さん・管理会社にエアコンの取り付け工事を負担してもらえます。
・契約期間中の修繕
・「設備」に冷暖房設備
まず、「契約期間中の修繕」については、入居者が物件を使用するため必要な修繕を行わなくてはならないという内容が記載されていれば、修繕は大家さん・管理会社負担になります。
エアコンを取り付ける前に契約内容を確認しよう
もうひとつ、「設備」に冷暖房設備と記載されていた場合です。
一般的な賃貸借契約書では、アパートの部屋に付随している設備を、一覧にしてあります。
その設備一覧に、冷暖房、もしくはエアコンと記載されていれば、エアコンは大家さん・管理会社のメンテナンスに含まれることになります。
そのため、一度、賃貸借契約書をよく読んでみることをおすすめします。
しかし、ここで大家さん・管理会社に負担してもらえるのは、メンテナンスの部分です。
これらの2点の条件を満たしていたとしても、入居者の都合によるエアコンの取り付けは、入居者負担になります。
契約内容を確認して、どのような負担になるのか、大家さん・管理会社と相談しましょう。
また、2点の条件を満たしていない場合は、大家さん・管理会社にエアコンの工事費用を負担させることはできません。
この場合は、入居者がすべて負担して、エアコンの取り付け工事を行うことになります。
アパートの大家さんによって対応はさまざま
入居者の都合でエアコンを取り付けた場合、退去時にそのエアコンはどのようになるのでしょう。
これも、大家さん・管理会社に相談することが必要になります。
原則、アパートの退去時は原状回復をしなければなりません。
つまり、はじめから付いていたものはそのまま、後から取り付けたものは取り外す、ということです。
であれば、取り付けたエアコンは取り外して、持っていかなければなりませんよね。
また、専門の業者に取り外してもらう必要があります。
このように、一般的に取り外しが難しい設備について、大家さんに買い取りを請求できることがあります。
これを、造作買取請求権と言います。
造作とは、取り外しが難しく、客観的に便益を与える物という解釈です。
しかし、エアコンは、この請求ができる場合もありますが、取り外しができるので請求できないという考え方もあります。
そのため、最終的には、大家さんとの話し合いになります。
取り外しなどの手間や工賃などを考えると、無償でも良いから置いていきたい場合もあります。
大家さんに了承を得られれば、それでもOKです。
「取り付けても良いが置いていってほしい」「取り外していってほしい」「どちらでも良い」など、アパートの大家さんによって、その対応はさまざまです。
賃貸アパートは自宅ではありませんので、部屋に何かをする場合は、必ず確認や許可が必要になります。
トラブルや、多額の修復費用の請求などにならないよう、心配であれば前もって相談することを心がけましょう。
エアコンで生活の快適さが変わる
アパートでは、使える冷暖房設備が限られているため、エアコンのない部屋での生活はツライこともあります。
エアコンが付いているかどうかは、部屋を選ぶうえでも、重要なポイントになっています。
大家さんの立場から考えてみても、入居率のアップや現在の入居者のために、エアコンの設置について、もう一度考えてみても良いのかもしれません。