みなさんは、自分が住んでいるアパートのドアのサイズを知っていますか?
知っているという人は意外と少ないのではないでしょうか。
なぜなら、自分で選んだものではなく、入居時には既成のドアがついているからです。
しかし、ドアのサイズによっては、ちょっとしたトラブルが起きることもあります。
そこで、アパートのドアのサイズについて勉強していきたいと思います。
アパートのドアの一般的なサイズ規格とは
アパートなどの集合住宅では、同じアパート内はみんな同じ玄関ドアがついていますね。
そのため、慣れないうちは自分の部屋の番号を確認しないと、別の部屋と間違いかねません。
しかし、もし部屋ごとに違うドアがついていたとしたらどうでしょう。
部屋間違いはしなくなるでしょうが、アパートの外観に統一性がなくなり、ちぐはぐな印象になってしまうのではないでしょうか。
このようなことから、アパートでは部屋数だけ同じ玄関ドアが必要になるため、標準のサイズの既成の玄関ドアを採用することが多いといえます。
部屋の数だけ特注のものをオーダーして作っていては、アパートの建築費もかさんでしまいますね。
では、標準のサイズとはどのようなものでしょうか。
アパートやハイツなどでは、片開きのドアが一般的で、高さが191.2~200センチ、幅が78.5~87.2センチ程度が標準のサイズです。
広々とした空間と天井高を売りにした高級マンションなどでは、天井高に合わせて高さ231.2センチのドアを採用している場合もあります。
また、片開きではなく、幅の広い親子ドアを使っているところもあります。
しかし、一般的なアパートでは、この標準サイズの片開きドアがほとんどといってよいでしょう。
アパートのドアの高さ、昔は180センチが標準だった
ただまれに、古い建物の場合など、高さが180センチサイズの場合もあります。
実は180センチというのは、昔からの鴨居つきの日本間の高さで、以前は建築業界ではそれが標準でした。
田舎のおばあちゃんの家あるあるですが、玄関の扉も和室の鴨居も低く、頭をぶつけたことはありませんか。
しかし以前はそれが普通だったのです。
そして、その日本間の高さに合わせて、洋間も玄関も、扉やドアの高さを180センチにしていたわけです。
しかし、現在は身長180センチを超える人も少なくありません。
特にアスリートとかでなくとも、一般人でも185センチを超える人もざらにいます。
もし180センチの高さの玄関ドアの場合、身長185センチの人は毎回かがんで部屋に入らなければなりませんね。
170センチ程度の身長の人でも、多少圧迫感があり、かがんでしまうかもしれません。
このように、日本人の身長が時代を経るにつれて伸びてきたことで、現在では、玄関のドアの高さはほぼ200センチが標準になっています。
居室の天井高に至っては、建築基準法で210センチ以上と定められており、アパートでも210センチ以上はあるはずです。
また、マンションなどでは240センチ以上の天井高が主流になっています。
アパートのドアのサイズで起こるトラブル
ところで、アパートの玄関のドアのサイズによっておこるトラブルにはどんなものがあるでしょう。
引っ越しなどを頻繁に経験している方ならご存知でしょうが、家具や荷物がドアから入れられないというトラブルが起こることがあります。
玄関ドアの構造は、まず壁の開口部に外枠を設置し、それにちょう番などを使ってドア本体を取り付けます。
また、ドアの屋内側には内枠があり、ドア本体の上下左右は内枠と多少重なっています。
ドア本体は内枠がストッパーとなり閉まる仕組みです。
そしてその重なり部分にゴムパッキンなどを使用して、機密性を保っているわけです。
そうしなければ、雨風や外気が玄関から屋内に侵入してくることになります。
つまり、ドア本体の大きさが、そのままドアを開けたときの開口部ではないわけです。
そのため、家具をドアサイズの範囲内で買ったつもりが、入らないといったトラブルになるのです。
たとえばうちの場合ですが、ドアサイズは外側から測ると高さ200センチ×幅846センチですが、実際の開口部は高さ194センチ、幅79センチです。
この場合、もし80センチ四方の家具などを買った場合、どのようにしても、玄関から入れられないということになってしまいますね。
サイズを測る場合は、ドア本体ではなく、開口部の実寸を測ることが大切です。
そして家具などは、それより1~2センチ余裕を持ったサイズを選ぶようにしましょう。
アパートの玄関ドアだけでなく室内ドアでもトラブルが起こる
また、これはアパートの玄関のドアだけに限ったことではありません。
ドア開口部の実寸を有効開き幅などといったりしますが、アパートの室内ドアでも同様のことがいえます。
特に室内ドアは、ドアを開いても、ちょう番で留められているドアの厚みが開口部を狭くします。
それに、室内ドアにも規格のようなものはありますが、古いアパートなどでは、狭いスペースに居室を確保するため、規格外の設計がされていたりします。
一般的には、室内ドアの高さは190センチ~200センチ程度で統一されており、幅はシングルドアで63センチ、68センチ、71.2センチ、83センチなどです。
一番幅の狭いであろうトイレのドアでも、幅63センチはあります。
それが、なぜか洗面室が幅50センチのドアサイズだったとしましょう。
おそらく、限りあるスペースに無理やり洗面室をこしらえたのでしょう。
このような場合、洗濯機など、せっかく玄関ドアから搬入できても、洗面室に入らず、洗濯パンに置くこともできません。
また、押し入れなども、規格外のサイズの戸はよくあります。
組み布団一式がたたんで出し入れできない場合、和室の押し入れの意味がありません。
物件を選ぶ際には、このようなイレギュラーのドアがないかなどもしっかりチェックしておくことが必要です。
親切な不動産屋さんなどは、注意喚起をしてくれる場合もありますが、してくれない場合も多いでしょう。
ドアのサイズを知らないと費用がかかることも
ところで、実際に引っ越しのときになって、もし、玄関ドアから家具などが入らないという場合はどうなるのでしょう。
このような場合は、引っ越し屋さんか重量屋さんに頼んでベランダ側から搬入しなければなりません。
その場合、日を改めなければならなかったり、通常の引っ越し料金と別にお金がかかります。
業者さんの人数にもよりますが、それだけでも最低1万円~2万円はかかってしまいます。
クレーン車を頼んで吊り下げて搬入しなければならないからです。
このような余計な費用をかけないためにも、玄関のドアの開口部を、内側からきっちり採寸しておくことが必要です。
最近の引っ越し屋さんは搬入のテクニックも高度で、手が入る隙間がなくても、ものさえ通ればドア幅すれすれの家具でもなんとかしてくれます。
持ち手つきキルトなどでくるんで、前後で抱えたり、床を滑らして搬入してくれるのです。
しかし、ものが入らない場合はどうしようもありません。
1センチ2センチのサイズの違いが搬入の可否を分けることになるのです。
また、家具などは分解すればアパートの玄関から搬入可能な場合もありますが、基本的に家電は分解ができません。
これまで使っていたものを持ってきて、引っ越し時の費用を節約しようと考えていても、買い替えなければ仕方がない場合もあるでしょう。
玄関以外にも、室内のドアの開口部もしっかり把握しておくことが大切といえます。
アパートのドアの取り付け方法でサイズが変わる
もうひとつ、ドアのサイズに関して注意する点があります。
アパートがかなりの築年数を経過している場合など、過去にドアの交換をしている場合があります。
このドアの交換には2種類の方法があって、ドアの外枠ごと交換する場合と、外枠はそのままで、古い外枠の中に新しい外枠を設置する方法です。
外枠ごと交換の場合は、既製品を使用するため、一応の標準サイズというものがあります。
一方、以前の外枠に新しい外枠を押し込む方法は、カバー工法といい、工期が最短1日で済むという利点があります。
しかし、ドアサイズが標準より多少小さくなってしまいます。
ドア本体も、リフォーム用に標準より小さく作ってある場合がありますので、サイズを知りたい場合は図面などで済まさず、実地で計測することです。
計測のチャンスは内覧の際ですが、次のお客さんの案内の時間などもあり、営業マンに気を使ってしまいがちです。
しかし、ドアの計測は大切なことなので、ぜひメジャーを持参して計測してください。
そして、室内の建具などもしっかりチェックすることが大切です。
正確なドアのサイズを把握することは意外と大事
アパートのドアのサイズについてみてきましたが、知らないと意外と大事になりますね。
トラブル回避のためにも、ドアのサイズを知ることはけっこう大切です。
家具の搬入だけでなく、次に搬出するときまで尾を引くと心得て、ぜひ入居前に正確なサイズを把握しておきましょう。