会社の異動や大学の卒業、新天地での活動に不可欠な引越し。
いざ自分の住んでいるマンションやアパートを退去しようと思ったら
「もっと早く言ってくれないと困るよ~」
「契約期間内の退去なので違約金払ってくださいね」
などと不動産業者から言われることもしばしば。
いざアパートを退去する際に困らないよう、注意すべきチェックポイントをお話します。
家主側がアパートを契約期間内に退去されたくない理由
賃貸アパートを引っ越すには様々な理由があります。
「なぜ好きなときに借りて、好きなときに出ていけないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、賃貸アパートを貸している家主側からしてみると
「少なくともこの人は契約期間内は借りてくれる=その期間は家賃収入がある」と期待して貸しています。
契約期間内に退去されてしまうと、家主側には、
・次の借り手が見つかるまで、家賃収入が入ってこないのは困る
・次の借り手のために部屋のクリーニングを入れたり、仲介してもらうには出費が掛かる
・もしかすると次の借り手が見つからないかもしれない
などの不安材料が生じてしまいます。
そのため、家主側は何とか契約期間内に退去することを防ごうと「契約期間内に退去する場合は違約金を支払ってください」などの制限をかけてくることがあります。
賃貸アパートを契約期間内に退去することが決まったら
家主側に、アパートを契約期間内に退去して欲しくない理由があるとしても、借り手としてはやはり、どうしても退去しなきゃならない事情というものは出てきます。
いざ、契約期間内に退去することが決まったら、まずは自分が住んでいるアパートの賃貸借契約書を探しましょう。
個人の方ですと契約書というものを結ぶ機会は少ないですし、目に付く所には置いていない、という方もいらっしゃるかも知れません。
また、「契約書を締結したかも良く覚えていない」「いまどき紙媒体の書類なんて捨ててしまって手元にない」という方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、、契約期間内に賃貸アパートを退去するには、この契約書の記載を確認することが非常に重要です。
どうしても契約書が手元にない、見つからないという方は、不動産会社に問い合わせると対応してくれる場合もあるので、一度聞いてみることをお勧めします。
賃貸アパートを契約期間内に退去するための契約書チェック
契約書が見つかった方は、次にその契約書の文言を順々に読み進めてみてください。
通常、アパートを賃貸する際には後々のトラブルを防ぐため、契約書へ「契約期間」や「契約期間内の解約」に関連した取り決め(条項)を設けているのが通常です。
例えば、
・契約期間の始期、終期の記載
・退去する1ヶ月前までに書面にて通知するような記載
・双方、解約を申し入れない限りは更新するような記載
があると思います。
契約期間の終期に注目してみてください。
この期間でちょうど引っ越すのでタイミング的にもOK、と思った方も実は注意が必要です。
「申し入れのない限り更新する」という趣旨の表現が入っていた場合は、いくらこの終了期間に出ていくことが決まっていたとしても、申し入れなしに退去することはできません。
契約期間内にアパートを退去する際の手続きとして、退去する前1ヶ月以上を開けて通知するよう記載いることが多い(まれに2ヶ月)です。
物件によっては「契約して●年以内に退去する場合、違約金として賃料1ヶ月分を支払うものとする」という、契約期間内退去の違約金を定めている場合もあるので注意して見てください。
もし、契約書を読んでいて契約期間内に退去する際の取り決め(条項)が見当たらなかった場合は、お住まいの物件を管理している不動産会社へ問い合わせてみてください。
賃貸アパートを契約期間内に退去する際の手続きについて
契約書中に契約期間内の退去に関する条項を見つけた場合、今度は実際にその記載に従った形でアパートの退去手続きを進めていきます。
大抵の場合は申し入れが必要になりますので、まずは何はともあれ不動産会社へ連絡します。
契約期間内に退去する場合、家主側はあまり良い顔をしません。
理由を告げた方が、円満に進むかと思います。(例えば、会社で異動になった、勤め先の事務所が変わった、子どもの進学先が今の家から遠いなど)
そして、不動産会社へ連絡すると、
・任意の形式で構わないので、書面で退去を申し入れて欲しい。
・契約したときに自社指定の「解約通知書」が付いていたと思うので、それを出して欲しい。(失くした、という場合は先方へ告げて、送付してもらってください)
・この電話で退去の申し入れは受け付けるので、後日立ち会い日等を刷り合わせましょう。
といったパターンの返答があります。
上2つの場合は、なるべく早めに書類を送付(できれば郵送する前にFAXも送って到着確認を)して、一番下のパターンの場合は口頭だけではなくメールのやり取りなど、形に残るものを控えておきましょう。
賃貸アパートを契約期間内に退去する際の更新料について
賃貸アパートを契約期間内に退去する際、契約期間や手続きとは別に「更新料」(契約期間更新のタイミングで家主側へ支払うもの)についても問題になることがあります。
一例として、
・3月末に引越しを予定しているけれど、契約期間の終期を見ると2月28日と書いてある。
・退去の申し入れは1ヶ月前まで。
・契約期間は申し入れがない限り自動的に更新。更新料は賃料の1ヶ月
というケースで検討してみましょう。
この場合、退去予定の1ヶ月前までに申し入れなので、2月中に退去の申し入れは必要になります。
ただ、契約期間が2月28日迄なので、厳密に言えば3月の1ヶ月間は契約期間が自動更新したうえで解約という流れになります。
「更新して1ヶ月しか住まないことが決まってるのに更新料を払うのは馬鹿馬鹿しい」と思う方もいらっしゃるでしょう。
この場合、契約書上は確かに更新が必要のように読めます。
ただ、不動産会社によっては、事情を話すと「じゃあ更新料は良いですから、1ヶ月期間延長しましょう」と言ってくれることもあります。
コンタクトを取ってみてくださいね。
アパートを契約期間内に退去する際にトラブルを回避するには
これまで実際、賃貸アパートを契約期間内に退去することが決まった前提でお話してきました。
上記の確認は、契約期間内もしくは契約するとき(アパートを借り始めるとき)にきちんと契約書類を確認しておくと、いざ退去する際になっても焦らず対処できます。
前もって自分が次に引っ越すときにどんな手続きを踏まなければならないのか、いつまでに何をしなければならないのかは、事前にチェックしておきましょう。
また、意外と侮れないのは家主・不動産会社とのコミュニケーションです。
引っ越す(家探し)の際、住む物件はもちろん大事ですが、その物件の家主がどんな方かを不動産会社に聞いてみたり、その管理している不動産会社自体がどんな対応をしてくれるかなどにも気を配れるとトラブル回避につながります。
賃貸アパートを契約期間内に退去する際の心構え
退去する際の手続きや更新料などについてご説明してきましたが、賃貸アパートを契約期間内に退去する際、一番重要なのは何といっても契約書で文言を確認しておくことです。
そして、その契約書に書いてある手続きを守ることも大事です。
新しい引越し先も当然気になる所ではありますが、現在お住まいのアパートの円満退去を進めることも心がけましょう。