賃貸物件は、木造アパートか軽量鉄骨造の場合が多いですね。
建物が古くなるにつれて、相対的に音が響く物件は増加しますが、新築だからといって、騒音対策がバッチリとは言い切れません。
ですから、入居者同士の騒音トラブルも多いのです。
そこで今回は、特に音が響きやすい木造アパートの防音対策についてご紹介します。
木造アパートなどで騒音トラブルが絶えない理由
アパートで他人と同じ建物内で生活している入居者にとっては、色々な騒音が気になるものです。
入居者本人が気付かずに、自ら騒音を出している場合もあれば、近隣住人が騒音の元となっている場合もあるでしょう。
次第に、それは不満となり、騒音トラブルへと発展してしまいます。
しかし、「トラブルを起こしてやろう」と考える人はおそらく、いないでしょう。
それでも、アパートなどの集合住宅において、騒音トラブルが後を断たないのは、なぜなのでしょうか。
その理由のひとつに、部屋の素材が、音をよく伝えるものでできているということが考えられます。
つまり、騒音トラブルの原因は、音が伝わり過ぎるからなのです。
古い木造アパートと、新築の鉄筋コンクリートマンションを比較したら、どちらが騒音トラブルになりやすいと思いますか。
これは、圧倒的に古い木造アパートのほうが、騒音トラブルになりやすいでしょう。
近年は、建物の素材も変化しつつあります。
しかし、木造アパートには、メリットもあります。
通気性や断熱性の高さ、梁がないので家具を置きやすい、小規模なので住人の顔がわかりやすいなどです。
ですが、木材は音を通しやすいなどのデメリットもあり、素材がトラブルを誘発するということがあるのです。
効果的に騒音対策をするとしたら、建物がどんな素材でできているかを、考えることも大事ですね。
木造アパートでなく鉄筋コンクリートのアパートなら騒音はなくなる?
木造アパートとは、壁・柱・床・梁・屋根などの主要構造部に木材を使った建築物で、構造上、小規模な造りとなっています。
たいていの物件が、平屋か2階くらいの低層住宅です。
軽いのに強度もあり、加工が簡単なので、賃貸住宅で使われる場合が多いのです。
しかし、トラブルになりがちな音の防音は、木造アパートの場合は特に難しいと言えます。
音の感じ方には、もちろん個人差があります。
小さな音にも過敏な入居者がいたとして、その人が気にならなくなるレベルの防音は、不可能と言っても過言ではありません。
当然、木造と比較すると、鉄筋コンクリートのほうが音を遮断する能力はあります。
しかしながら、鉄筋コンクリート造りでも、コンクリートの厚さや鉄筋の太さが、全て同じではありません。
また、鉄筋コンクリート造りは木造とは異なった音の伝わり方をするので、これも建物の構造次第という側面もあります。
つまり、鉄筋コンクリート造りでも、音に関しては簡単に解消はできないということです。
そして、それが木造だと、よりいっそう限界点が低いということです。
煩わしいと感じる生活音の響きは、千差万別です。
同じアパートの住人として気持ちよく暮らすためにも、入居者同士が騒音を抑える工夫は必要です。
次は、木造アパートに暮らす際にやって欲しい、騒音対策についてご紹介します。
木造アパートの騒音対策で入居者ができること①
ここでは、木造アパートの騒音対策で、入居者ができることについてご紹介します。
木造アパートの部屋に、ひと工夫をするだけで、効果的に遮音が可能になります。
さっそく、その方法について見ていきましょう。
●壁の近くに音の発信源を置かないようにする
木でできた壁は、音を伝達しやすい性質があります。
そして、音は衰退しながら広がっていきます。
もしも、音が小さくなっていく前に、壁に当たったら、大きいまま伝わってしまいます。
そのため、壁の近くに、音の発信源を置かないようにするだけでも、効果があるでしょう。
●壁の近くには背の高い家具を置く
壁の近くにタンスなどの背の高い家具を置くことで、遮音効果をアップさせることができます。
背の高い家具を置くことで、直接壁に音が衝突しないだけ、音の漏れが低くなります。
もっと遮音効果をアップさせたい場合は、家具の中に荷物をギュウギュウに詰めておきましょう。
意図的に障害物を配置することで、遮音効果を生むことができます。
上記のような対策をすることで、隣人との騒音トラブルが起きる確率を、低下させることができるのです。
木造アパートの騒音対策で入居者ができること②
前項に引き続き、木造アパートの騒音対策で、入居者ができることをご紹介します。
●隙間テープや防音シートを活用
アパートの壁を、入居者が勝手に防音素材にする工事を行ってはいけません。
しかし、手軽に騒音対策をしたいですよね。
そういう場合は、隙間テープや防音シートを活用しましょう。
安価で手に入り、誰でも簡単に張り付けることができるので、とても便利です。
ドアや窓の隙間には隙間テープを張り、壁や床には防音シートを張ってみましょう。
それだけでも、効果は違います。
パネル型の防音壁も販売されていますが、こちらを張り付ける作業は、大家さんの許可を必ず得てからにしましょう。
●カーテンやカーペットは厚手のものにする
音が侵入してくるのは壁からだけではなく、床や窓からも入ってきます。
この対策には、厚手のカーテンやカーペットを使用しましょう。
そうすることで、遮音効果をアップさせることが可能です。
それでも下階の住人が、足音の苦情を伝えてくるようであれば、カーペットの下に防音シートや畳を入れることで改善できるでしょう。
騒音対策=近隣住民へのマナー
木造アパートでの防音は完全には難しいとしても、少しの工夫をすることで軽減させることができます。
入居者同士が、お互いにできる騒音対策は行うべきなのです。
これはもはや、近隣住人へのマナーとも言えるでしょう。
騒音トラブルを避けるために大事なことは、もうひとつあります。
それは、近隣住人との関係を強化することです。
日頃から、顔を合わせた際に気持ちよく挨拶したり、ちょっとした会話をするだけでも、騒音に対して寛大になってくれることがあるからです。
誰でも、顔を知らない人より、顔見知りの人には理解を示せますよね。
騒音問題の基本は「先手必勝」なのです。
人間関係が希薄な現代ではありますが、自分から努力して、近隣住人との適度な距離感を作れるようにしてみましょう。
木造アパートは、防音対策などの工夫次第で、住み心地も快適になります。
賃貸アパートを探している人は、新生活に木造アパートはいかがでしょうか。
古い木造アパートをリノベーションして入居者を増やす方法
ここまで、木造アパートの騒音対策についてお話してきました。
最後に、大家さん向けのお話をひとつご紹介します。
日本全国には、数多くの賃貸住宅が溢れていますね。
よって、入居者が希望の部屋を選択して住むことができます。
一方で、他の物件と差別化できない物件は、入居者が決まりづらくなっているのが現状です。
そのため、築年数が経過した木造アパートなどでは、空室が目立つようになりました。
入居者がいないと、大家さんは困ってしまいますよね。
そこで、古くなった木造アパートをリノベーションしてみましょう。
そうすることで、空室対策も可能なのです。
●骨組みを活かす
木造ならではの、柱や梁の質感を活かして、洗練された和室を作ってみましょう。
畳の部屋は、需要に合わせて、フローリングに変更してもいいですね。
柱や梁の風合いに合わせた無垢材を使用することで、さらにオシャレな雰囲気作りができるでしょう。
●古い木造アパートの押入れをリノベーションする
古い木造アパートをリノベーションするときの大きなポイントは、押入れにあります。
若者などに好まれる生活スタイルは、部屋数は少なくても開放的な空間です。
押し入れをなくすことで、部屋を広く使うことが可能になります。
●外観もリノベーションする
賃貸住宅の外観を重要視する入居者も多いです。
特に、古い木造アパートはちゃんと手入れがされていないと、雰囲気がおどろおどろしくなってしまいがちです。
古い木造アパートの周りは、雑草が生えているような空き地になっていることが多く、リノベーションのやりがいがあります。
植栽やオシャレな照明を施すことで、雰囲気が断然良くなるでしょう。
空室率が悩ましい大家さんは、思い切ってリノベーションをして、入居者を募集してみてはいかがでしょうか。
入居者ができる常識的な対策はしっかりと
アパートの防音には、限界があります。
木造だったら、なおさらです。
騒音トラブルを避けるためにも、入居者は近隣住民への気遣いをしっかり伝え、できる限りの騒音対策をしていることを、アピールすることも大事です。